米田氏の失敗
 「参ったなあ」と呟きながら語る。幅5~60センチくらいの用水を、サンダル履きのまま飛び越えようとしたという。
 
 年齢72歳を忘れていた。簡単に向こう岸に移っているはずが、水のなかへボッチャリ。畦道のわきだったので、怪我はないという。憮然とした面持ちで「歳だねえ」と付け加える。

 暴れ馬のそばを通るとき、さっと体をかわした剣客がいた。その馬を避け、遠回りをした剣客もいた。後者の方が達人であると。昔読んだ少年講談の一節を思い出した。        
 「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」としばしば聞く事は、こういう場合にも当てはまるようだ。