国民〇〇
 自転車でなら坂がない限り、往復5~6キロくらいは大丈夫。主な客は老人の小さなス-パーで、日々の食糧を調達している。ペタルを踏みながらふと思った。

 国民服というのがあった。国民帽もあった。国民食というのもあった。米麦を混ぜて1日3合、魚や野菜を含め、カロリーは2.400くらいだったと思う。多分、今日並みだった。

 服や帽子ほどどころか、ほとんど普及しないうちに、食糧欠乏が始まったように思う。南瓜の蔓を食い、天井が写るようなお粥を一杯だけ啜って、日を送った記憶が鮮明に残っている。

 それにしても今では、自分が消費するご飯は、1日に1合でも余るほどだ。変われば、変わったものである。