石版
 また一つ、町の文具屋がシャッターを下ろした。プリント用紙を買いに行き、店先で立ち止まった。いつもB5判の用紙を売ってくれていた。このサイズは入手しにくくなっている。

 小学校1年生の1学期の間はノート(当時は帳面と言っていたが)を与えられなかった。ボール紙に黒い塗料を塗ったものに、滑石を細くしたもので字や絵を書くのだった。

 小さな黒板拭きのようなもので消しては書くので、机の上は白い粉がいっぱいだった。これが「石版」である。「石版」は、確実に死語となっているであろう。

 日本が貧しかったからなのか、小学校1年生程度には、紙がもったいないと思っていたのだろうか。同じような経験をお持ちの方もいられると思う。紙は貴重品扱いだったと思う。