雪道
 昭和30年代まで、我が家を2百メートルも過ぎると、そこから先は県境の村まで、一本の雪道だった。馬の背のようになっていて、滑るたびに両側の柔らかい雪に、膝のあたりまでぬかる。

 今では冬でも車が疾駆している。たかが道一本と言われるにせよ、それを作ってもらったほうからすれば、どんなにありがたかったことか。立派な道路がある所に生まれれば、わかるはずもなかろう。

 簑笠に藁沓で橇を引き、山の方に向う姿が目に浮かぶ。一本の雪道にかかわるさまざまな苦労は、今では昔話にもなっていないのだが。

 そこに着目してくれた政治家がいたことを、まだ忘れていない人々がいることは確かだと思う。あるいはまた・・・。

編集 ペン : 道は人との交流も広げてくれますね。採算だけで考えてはいけないと思います