2002年06月の記事


「日本侠客伝」「昭和残侠伝」を久しぶりに見た
夜中に急に室田の出ている映画が見たくなった。
ビデオ屋に行く。

あてずっぽうで初期の仁侠ものと
深作の仁義なき戦いを借りる。

「昭和残侠伝」マキノ雅弘
「日本侠客伝/関東篇」マキノ雅弘
「日本侠客伝/大阪篇」マキノ雅弘
の3本をとりあえず見た。
「昭和残侠伝」に、青年時代の室田を見つけた。
あの独特な少し三白眼ぎみにする目の表情はまだ感じられず、奇妙な存在感も薄かった。
「日本侠客伝」には見当たらず。

意外な再発見。
もっとも意外というのは俺自身にとってというだけのことだが。

若い頃に見たマキノ雅弘は奔放なエネルギーを感じず、退屈だった。
でも、夕べ見た「日本侠客伝」二本は、
マキノの品の良さが隅々まで出た佳い映画だった。
とりわけ大阪篇がいい。
暴力の突出と奔放さだけに特化していった
その後のヤクザ映画と異なり、時代と寝ていないことがよくわかる。

時代と寝るな…

もうそんなたわ言を誰も口にしなくなったが。

思わぬ収穫だった。


同じ時間に菱沼さんは古い西部劇を見て愉しんでいたらしい。「アラモ」


金曜夜の朗報がなかったら
さてどんな週末の選択があり得たのか。
朗報は間違いなく選択肢を増やした。
まさか仁侠映画をまとめて見る週末になるとは
考えもしなかった。
17歳のオンタイムと重ね合わせながら、
けっこう複雑な感慨あり。


しかしこうなってくると
「総長賭博」「3代目襲名」あたりもぜひ見直したい。
それに「緋牡丹博徒」も。

一部がDVDでリリースとあったので予約しようとアクセスしたら、
すでに初回分は売り切れ。
東映は相変わらず、読みが甘い。
東映に限らず邦画各社はおどろくほど
対応が後手回りで、みごととさえ言えるが。
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朗報あり。
10時前、DVDに焼けたと言うので受け取りがてら飯を食うことに。
紀伊国屋の前で待ち合わせると、渡辺の携帯に電話。
好評だったという報せ。
気を良くし、祝杯をあげようと焼き肉屋に向かうが満杯。
しかたなくラーメン屋に行き、カウンターに並んで餃子で乾杯。

気が晴れた。
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外出せず
終日、外に出ず。
こんな寒さは、冷水をかけられた感じにさせられる。
過ごしやすさを通り越して、冷え冷えとした気分。
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夏とは思えない寒さにあせる
腹がすいたのでコンビニに行こうと外に出たら、震えた。さむい。冷雨。
予報では明日は普通に戻るといってたが、今夜は寒い。
熱いお茶とパンを買い、公園で食べていると、芯から震えた。

カゼぎみなので、外に出ず、「レクサスとオリーブの木」上巻を読みはじめ、気がついたらこんな時間になった。
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ゆめばかり、みている。
眠るたびに、編集中の夢を見る。
昼寝をしながら見た夢には
板橋が出てきた。
みんな一本になっているが、夢の中では
アシスタント。

六月の三週間は、
考えていたよりもずっと深い部分に響いていたのだと思う。

[ガーベラ]サイトを閉じた。
100MB近いウエブデータをすべて削除。
二つ理由がある。
第一に、リアクションが遅く、デジタルライブラリープランが一向に進展しないことに飽きたこと。
第二に、個人的に維持していく気分が消失していることに気づいたこと。

正解のない仕事をしてしまったことが
自分の中のあちこちを揺さぶり出している。
そんな感じがする。
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覚え/ワイルド・ワイルド・ウエスト
●ルーシー
巨大車輪の自転車
同/エンジン付きもあり
大陸横断列車の走り/煽り
馬車etc
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燃えつきるまで★★★★
唯川l恵/幻冬舎

明け方に読み出し、そのまま読了。
唯川の小説は、これがはじめて。
めずらしく朝日の書評に惹かれて読んだ。

おもしろく読んだが、
主人公の怜子が31歳にしては、会話がひどくおばさんじみているのが気になった。
若い作家だとばかり思っていたので、すこし引っかかった。
読み終わり、著者略屐を見ると40代半ば。
じっさいにおばさんだった。
なぜか30歳くらいの書き手だとばかり思っていたのでおかしかった。


寒い。


これから六本木。
r-FDITへ。井口さんと約束。

ついでにイメージサイエンスに作品集。
すっかり遅くなったが、つきあいのあるプロデューサー8人に渡すように、渡辺に頼んだ。

そのあとはできたら四谷で髪を切りたい。
徹夜続きだったせいか、すっかりのびた。
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ワイルド・ワイルド・ウエスト★★★★
DVD。
とぼけた珍発明ぶりが、チキチキバンバンのリメイクのようで笑えた。

DVDビデオコンテンツとROMコンテンツの両方が入っているというのが、すぐれ物。
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後が無いなら、守る意味はあるのだろうか。
まどろみながらドイツ-韓国戦を観戦。
拮抗した、いいゲームだった。
サッカーを見ていてしみじみ思うのは、
野球を見なくなった理由。
野暮ったさ。


ふと思ったこと。


韓国は0-1のロスタイム4分で
なぜまだ守りに選手を割いたのだろうか。
後が無いのなら、GK諸共、11人総掛かりで
ドイツゴール前に結集しても良かったのではないか。
もう何点入れられようと同じで、
必要なのが1点を入れることなら、守ることにどれだけの意味があったのか。

サッカー音痴である前提での、素朴な疑問だが。
今年はじめての枝豆を飽食しながら、そんなことを思った。
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ビートルズは12月31日午後11時58分48秒に生まれたらしい。
サンダルを突っかけ、紀伊国屋に。
寒い。氷雨。引っ返そうと思ったが
面倒くさいのでそのまま。
唯川恵の「燃えつきるまで」/幻冬舎をやっと入手。
ほかに「世界がもし100人の村だったら」VOL2と、
地球の時間を100年に置き換えた
「世界がもし100年の物語だったら」/夏目書房も。
これはいかにも便乗丸出しの間に合わせモノだったが、
空間を時間軸に置き直すという発想はうなずけた。
ひとつだけ強く印象に残ったこと。

イギリスのリバプールでビートルズが結成されたのは、
地球時間99年目の最後の日付である12月31日。
午後11時58分48秒のことだそうだ。

シミュレーションの正確さはともかく、
メタファの凄み、威力に驚かされた。

また、
100人の村の原点という「1000人の村の現状報告」/ドメラ・メドウズと、
「100人の村」白書は、示唆に富んでいた。
池田香代子の文章は、やさしく力強く、現代口語の手本のようで、感心。

itunesへのMP3とりこみ、
この二日で400曲を越える。
合計930曲になった。
これだけあれば退屈なロケ暮らしも
いくらかは暇つぶしになるだろう。
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一日遅れの独り試写会
昨日の仕上げをSVHSにコピーしてもらい届けてもらった。

丸一日遅れてチェックするのは初体験。
それだけ疲れたということか。

二回、見た。

スーパーの修正は、なるほど指摘通り。
良くなっていた。
ルーシーのファーストカットの色調整も良くなった。
キーワードの遊びは、山岡スタイルのままがベターだったように思うが、
納品モノである。ここはプロデューサーに譲った。
ストレートさから言えば、プロデューサーのこだわりがベターだろう。

総じて、納得。



5案残りか3案になるのか。
いきなり決定になるのか。
次のステージがあるなら
修正点も見えた。


梅雨寒の季語のままの一日。
窓を開けると北からの風が吹き込んでくる。
今宵は、満月。
ま、めでたい。
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放火と爆睡。
夜中に何度も目が覚めた。

ひりひりした感覚が消えず、ヒートアップしたままエンジンが止まらない感じ。

ふらふらとキッチンに行き水を飲んだ記憶、3回。

見た夢。足りない映像を必死になって探し回っているという切迫したシーン。

アップの後の夢にしては、妙にリアルだった。
こんどの仕事が《正解なし》であることが、こんなところに現れる。

12時間、眠った。
半ば夢。半ば熟睡。
フィジカルな疲労はあちこちに残っているが、気分は回復している。

いつもの《仕事》との、これが、落差。

起きたら、マンションの7階と8階の間の踊り場でぼや騒ぎ。真っ昼間の放火というのも珍しいが、7階と8階の間などという地上から離れた場所で、よく火を放つに気になったものだ。
よほど逃げ足に自信のあるやつなのか。
ここ数日、こんなことが続いていると管理人の話。

小ぶりの木刀でも買ってくるかな。

今日以後、しばらくは非常階段を使ってみることにする。
もっとも昇りは辛いから降りるときだけだが。

このマンションにはどこやらの組関係のオフィスがあるらしいから、自警についちゃ、ま、万全だろうか。
そっちの方がきわどいか。
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OK?
連絡あり。
OKが出たとのこと。

まずは良かった。

これで安心してぶっ倒れることができそうだ。

4時過ぎにクローを出た。
そのまま満腹餃子館へ。
満ちゃんにホームページの話などしながら、鉄板餃子と焼き餃子、つけ麺を頼み、
美人茶をゆっくりと味わった。

味わったと書いたが、
さすがに今日は朦朧としていて味は不明。
うまかった日々の記憶だけを頼りに食べた。

それから蒲田に。
途中、相馬さんから電話。
あっちは検討中で少し延びそうだと。
延びなければ断るところだった。

疲れたからではなく
どこかモードが切り替わった、
そんな感じが強い。

十年ぶりくらいに軌道がチェンジされていく、
そんな気配が濃密である。


今日の修正は、
きわめて前向きなものになった。


直しは、たいていどうでもいいものが多く
いたずらに冗長になっていくことが大半である。
こんどのケースのように、チェックのたびに
ブラッシュアップできていくことは、
じつはとても珍しいことだ。

モノは、関わり手が多いほど、こぼれ落ちていくから。

とはいえ、疲れはした。
正解のないままに進むことが
これほど疲れと快感を引き起こすと
考えたこともなかったから。


まずは、眠る。
やっと眠れる。
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メモ/月のひつじ 
七月六日公開
シネスィッチ銀座ほか
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覚え6/24朝
スタジオ。越中島、クロー。
越中島でカラスではなんだか戦国絵巻のようではあるが…

アトムの一部とルーシーの一部の調整以外は、スーパーの上げ下げ。
今回のスタジオワークでいちばんラクな日となる、はず。

昨日、DVDの「西部開拓史」を見ていたら
移動のイメージにもってこいなことを発見。
次に残れば、要チェック。
さらに古代地図/インドの象に乗った世界イメージなども。

ラングのメトロポリスはDVD版をチェックすること。

アナキン少年の動きありのシーンを再チェック。ヒロインのポーズを内容に合わせて追加。

水中シーン/アビスを再チェック
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その名は「先行者」。アトムもびっくり
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/tamasiitop/robotyuugoku/robotyuugoku.htm
資料にしようとロボットの情報を検索していたら、こんなページにぶつかった。
朝から笑わせてもらった。
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星菫派音楽顧問DVDやっと完成
ストップしていた菊池さんの「森の記憶」のDVDを渡辺が完成させた。
ピクチャーDVDにし、パッケージもつくっているらしい。
明日あたりにはすへべて揃えて菊池さんに送れるとか。

ぼくからのオーダーはただ一点。

ラストに東京星菫派のロゴを入れて欲しいということ。
作品集4のために山岡君がデザインしてくれたロゴを、
はじめて使ってみることになる。

明日の準備も終わったし、いよいよアップだ。
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マッドマックス全3巻
マッドマックス全3巻を見終わってから寝た。
その間、ノーとブック/デスクトップ共に
ノートンディスクドクターを3回ずつにフラグメント解消も。
OSXにしてからフラグメントの頻度が増した。
同時にCDからの取り込みにも精を出す。

封を切っていないCDが30枚以上あった。


菱沼さんからベサメムーチョなど珍しいMP3を4曲もらったので、刺激されMP3のライブラリーを増やすことにした。
あるていど取り込んだら編集してみるつもり。


マッドマックス。
ジョージ・ミラーは奇妙な才能の持ち主であることをあらためて痛感。

初見では派手なアクションシーンにばかり目が行っていたが、
3巻を通して見ると、通底する時代認識がくっきりと浮かび上がってくる。
日本の映画には黒沢も含め、歴史的に欠落している要素である。

とりわけ第3巻の「サンダードーム」など、これが10年以上前とは思えないようなディティルの想像力。
エンドロールに「バイロンに捧ぐ」とあって、
その心意気が随所に出ていた。

DVDのコレクションboxを買い、放っておいたが、まとめて見たことは正解だった。

メル・ギブソンは、この後、
考えてみればつまらない映画にばかり出ていることもよくわかった。
つまらないと言うより、薄められたような、と言うべきか。
ハリウッドが何をブラッシュアップし、
そして何を奪っていくのかが、
しみじみとわかる。そんな感想も。
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Antonio Carlos JobimとElvis Costello
ぼんやりしながら、デスクトップにノートンをかけ、断片化を解消し、ノーとブックに7枚の音楽を取込んだ。
収穫は封を切っていなかったAntonio Carlos Jobimの1枚。ほぐれる。
ほかにはElvis Costelloの復帰盤。これも封を切っていなかった。
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ひさしぶりの夕陽のガンマン★★★★!
床に這うようにしてDVDをセット。
迷った末に「夕陽のガンマン」。

しかしプレステ2はどうしてすんなりDVDを再生せずに、ぐたぐたした画面を痴呆のように出し続けるのかフシギだ。
これがうっとうしくて見るのをやめたことが何度あったか。

それはさておき夕陽のガンマン。
いやずいぶん久しぶりにお目にかかったが
なんてキッチュでスタイリッシュなつくりなのだ、とびっくりさせられた。

笑いながら見入っているうちに、疲れが溶けた。
リーバンクリーフ。渋いなあ。
モリコーネ、いいなあ。
ハリウッドの西部劇は見てられないけど、
マカロニウエスタンはいいなあ。
脳天気そのものだもの。

ソファではなく、床に寝転がって見るテレビというのもいい。
なんか、とことんくつろいだ、という気分になる。

今夜はこのまま「マッドマックス」に突入。
とりあえず第一巻から。
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その後。
眠りと覚醒を繰り返しながらサッカーをぼんやりと眺め、たけしの色彩紀行を録らなければと思いながら面倒でRECできずにだらだらと見ていた。ゆっくり菩提樹の湯につかり、二試合目のサッカーを見始めた。で、途中であきる。古いCDを引っ張り出し何枚かitunesにとりこんだがそれもあきた。何をする気にもなれないのでMADMAXでも見ようかなとふと思った。思ったままで止まっている。

十日あまりのツケがまわった、そんなところか。
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そののちのパンドラ
「ないちゃだめ」
パンドラがとほうにくれていると、小さな声がしました。
「だいじょうぶよ、わたしがついているから」
声は箱の中からきこえます。
「あなたはだあれ?」
パンドラはおそるおそるたずねました。
「わたしは『きぼう』です。
人間が『わざわいに』まけないよう、
おてつだいをします。
くるしいとき、かなしいとき、こまったときは、
どうかわたしをよんでください。
わたしはいつも、あなたたちの心の中にいます」
パンドラは「きぼう」のおかげでげんきをとりもどし、
またエピメテウスとなかよくくらしはじめました。
「きぼう」はパンドラだけのものではありません。
わたしたちが、くるしいとき、かなしいとき、こまったときに、
くじけず、あきらめずにいきていけるのは、
心の中の「きぼう」が、なぐさめ、はげましてくれるからなのです。
ほら、ごらんなさい。
雪がふり、風がふきつける、寒い冬。
でも、春はもうそこまできているのです。

 歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」
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夏至を祝う。
広尾地下。午前1時20分。アップ。

最後に樹上から最初の一歩を踏み出す
ルーシーの足音を録って入れた。
足音の主はミスター武田。

最後の最後に
250万年続くことになる人類の最初の一歩の音の仕込みが
この仕事の大ラスとなったことは喜ばしい。

示唆的である。

テープ戻しをしたら山岡君を送り届けながら帰る。

酒が飲めれば、このまま繰り出したいところだが
体の芯まで疲れがにじみ出してもいるから
まっすぐ帰ろう。


久しぶりに福島さんの「風に献ず」から引く。

  《十年を再び生きることをまた、くわだてんとす風よ情は》

ちょっとハイになっている。


十二時間にわたるMAVの間、なぜなのか考えつづけ、その答えがふいに見つかった。


正解のない世界。


これが解答。
ただ一つの答えである。


ルーシーは
その一歩を踏み出した瞬間から生涯を終えるまで
ただの一歩も正解としての歩みはなかったはず。

だから彼女は、
「ここではないどこかへ」と歩き続けられたのだ。

そのはるかな
気の遠くなるような夜と昼の堆積の上に今夜がある。

大げさに言えば、そういうことなのだ。

きっと。


では、祝杯をかかげよう。
誰よりもおれ自身に向かって
そしていとおしいすべての人に向けて。


夏至の宵に
乾杯。
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まだすたじお
まだ広尾の地下。佳境がつづく。


山岡君がrEDITで編集しているというのを聴き、渡辺にパンドラのケーキをことづけた。

ほどなくしてスタジオに彼が顔を出した。
差し入れのパンドラを手に。

みんなでそのケーキを相伴する。

パンドラのケーキを。


さてこれからまとめである。
役者がそろったところで、上映会を兼ねた…
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http://www2.malts-mermaid3.com/
菱沼さんから教えられた
堀江謙一の太平洋横断ライブ。

http://www2.malts-mermaid3.com/

小さな点がぽつんとある。
その点はリアルタイムで太平洋を
たった一人で航海中の堀江さんのヨットである。

どんな空を見上げ
どんな想いを抱いているのかと
想像しているだけで胸が熱くなる。

スタジオの音のまとめは
ただいま「あなたもルーシー」。
予想をはるかに超えて胸に染みる。
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ぼくの夏やすみ2
スタジオ。
音素材を貼り込む作業の間にウエブを見ていたら
「ぼくの夏休み2」の詳細が出ていたのでコピー。
一昨年は四日坊主で終わったが、
ことしは何日目まで行けるのだろうか。
ネット注文。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++

海の上に、白い入道雲が浮いていた…『昭和50年8月。母親が出産を迎えた9歳の少年「ボク」は、おじの家に夏休みが終わるまでの一ヶ月間預けられることになりました。ボクが居候するのは、おじ夫婦が経営する民宿「茜屋(あかねや)」。独りぼっちで連絡船に乗ったボクがたどり着いた富海(ふみ)の町は、美しい夕焼けに包まれた、ちっぽけな町でした。夏休みだというのに、さっぱり客がやって来ない民宿を切り盛りするおじちゃん、おばちゃんと、その子供のタケシとシゲル。富海の人々との触れ合いや、民宿にやってくる謎のお客が巻き起こすチン騒動…。それは愛すべき人々と、愛すべき風景が織り成す幸せな物語。』夏休みの1ヶ月間を自由に過ごすというシステムはそのままに、さらに面白さを増した昆虫採集・虫相撲・魚釣り。加えて、水中探検・自転車・日焼けなどの新しい要素が盛り沢山!そして、当時の懐かしさを演出する数々のアイテムが登場します。
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啓示というわけでもないか
唐突に夏日になっていた。
気を取り直し、ことしはじめての白いズボンを穿く。
半袖のポロシャツ。夏。
渡辺のクルマに向かうまでの
わずか10メートルに満たない距離を歩く間に
強烈な陽射しが体の隅々まで染みとおっていく感じがあった。

一年前のむじなの森には
こんな陽射しの日がよくあった。

その森は跡形もなく、
ぽちの行方もしれない。


思い出すともなくいくつかの短い森の夏が過った。


クルマ。
渡辺はゆうべオフィスにたどり着きそのまま倒れ込んだらしい。
それでも朝には起きて、コメントのタイミングをチェックしたとか。
やらなくてもいいよと言っておいたが、おかげで大助かりだった。

いつものコースで広尾に。
予定とより少し遅れてスタジオ。

音楽を敷いているところだった。
2時過ぎからナレーター。
5つのプランを彼なりの解釈でトーンを変えてくれた。
こちらからあらためて指示することもなし。
仕事が独り歩きし始めているのをやっと実感。
勝ったな、そう思えた瞬間だった。

武田くんと細部をチェックしながら録音をすすめる。
一時間あまりでアップ。
ロビーではイングランド-ブラジルが佳境に。

4時過ぎから効果音の貼り付けに入る。
そして今、4時半過ぎ。


「ここでは…」が己のものだけに
各プランをどれだけ盛り上げていけるかが
自らに課したハードルだった。


荒編集で徹夜4日。
本編集で2日。
わずか10日あまりで6日の徹夜の果てに今日がある。


他人のプランをどう表現するかという
自分としては手がけたことのない試みだった。
振り返れば、
他人の書いたものをカタチにする仕事を引き受けたことは
はじめて。
フォーカスが合わないままに進めざる得なかったことが
果たして良かったのか悪かったのか。

細かなSEが付け加えられ
映像に厚みが増していくのを横目で見ながら
まあ、いいじゃねえか、
と思えている。


どんなふうに受け入れられるかは
もうどうでもいいのではないか?


疲れた時間の堆積の彼方に今日のこの時間があるが
ふしぎとイヤになってはいない。


一歩も引くことなく
前にだけ歩を進めて来ることができたな
そんな気分がある。


なぜかと
問うてみるが、まだ
答えはでない。


この仕事が
まだ夢想だけを集めたものであること…


あるいはそこに
そこだけに答えが隠されているのかな。
そんなふうにも思えだしてはいる。


夢や思い
だけを集めたパンドラの箱。

たぶんそれが答えのはず。


とすれば
これからおれがどんな仕事を
引き受けていけばいいのか
あるいはそうしなければいけないのか。

つかめたのではないか?



疲れ切ったはずの時間を
疲れを感じずに乗り切れたのは
そういう啓示が秘められていた…


そう受け止めてみたい。
この仕事は
思いがけないことに
ターニングポイントになるだろう。
この一年、それが「水の惑星」の意味だと思ってきたが。
あれは先駆けだったのだ。





ポジティブ野郎なのである。おれは
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痕跡
12時間なんとか眠ったが。

戻って眠りに落ちるまで3時間以上かかった。
頭の先から指の先まで、チリチリした感覚が消えず、まぶたが閉じなかった。

起きたが、全身倦怠。
かっかしながらシャツ1枚になってエアコン効きすぎのスタジオにいたせいか。

これから広尾に。
とりあえが音は入れられることに。

音が入れば。世界は動く。
想いでななく、痕跡となる。

もとより
ある日、月の光に、風のざわめきに、星のまたたきに、けものたちの遠ぼえに…
身体の底にある何かを刺激され
人が「ここではないどこかへ」向かったのだとする。

その人の潰えることのない憧憬や道半ばで尽き果てた口惜しさが、
歴史の中に地図の「進化」というカタチで遺された。

そんな想いを元に書いたのが四月のはじめ。

象形文字は「憧憬」文字でもあったのだ、
漢字の、文字の起源はだから、
夢の成就と絶望の名残でもあるはず。


つまり、
遺されたものには
いずれも、在るのだ、ということ。


これから広尾ですることは
そのちっぽけな地図のひとつを手に入れること。
そして、その地図をそこで火にくべること。

共感が、霧消していた。

疲れた。
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34時間
今度のクロー滞在は34時間。
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ここではないどこかへ
スタジオ。クロー。
結局、朝まで金庸の「天龍八部」第四巻を読み続けた。
水滸伝「突破」の章も。

梁山泊軍いよいよ国家と全面衝突に突入。
北方のペンは冴えきっている。
これまでの誰の水滸伝よりも、熱く濃い。

「天龍八部」もまた中盤の佳境にさしかかる。
読み始めたら、やめられずに徹夜。

五月晴れのような日ざしを浴び湾岸を東上。


昨日までで、さすがに先が見えたのだと思う。
精神は正直だ。

現在、パート1/2が終わり、3にさしかかったところ。

予定ではもうアップのつもりだったが
焦らず丁寧に挑めている。
寝不足にもかかわらず、テンションは高い。

きっとこのまま3/4/5と維持できるだろう。


井口さんの音楽の構成、みごとなものだ。
つまると、音を聴くことで前に進める。


とにかく、アップしたい。


あれもこれも
書きたいテーマが口を開けて待っている。
そんな気分になりつつある。


そのためだけに、
この仕事はあったのではないのか。


掲げた旗は、
「ここではないどこかへ…」だもの。
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蒲田行進曲LD版
明日の編集用にLDを引っ張り出したついでに
「蒲田行進曲」を見つけたので、つい見てしまった。

舞台よりも映画が優れていたレアケース。

満腹餃子館の満ちゃんは、この頃の平田満よりも
いくらか柔和なことを発見。
しかしLDはなんと重いことか。


水餃子が食いたくなったが、寝ることにしよう。

渡辺が明日用のDVDを届けてくれる。
チェックしたら大サービスで、古代地図が入っている上に、
ムービーメニューつき。

ま、それだけゆとりが出てきた、というところ。

準備万端。
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古いLDはノイズがひどい
ブレードランナーを入れようとLDをチェックしたが、見飽きたのでやめる。
ここまでの荒編分をDVDに焼いてもらうことにし
明日に備える。
クローはまだ無線LANに対応していないので
つないだものをウエブ保存しておいて編集中にチェックするのに
128kしか使えないので仕事にならない。
せいぜいメールチェック程度しかできないと
実際には相当に支障をきたす。

こういうことをいくら話しても大手は理解に時間がかかる。
消耗なことである。
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髪の長さ
フィールドを疾走していくスローモーションを眺めていると
サッカーは、長髪の方がよく似合うゲームだな。
風にたなびく。風を切る。風に乗る。
ヘッディングもまたしかり。
トッティをはじめイタリアの選手が見栄えのするのはそのせいではないのか。

ハゲはともかく、ベッカムヘアは韋駄天走りにはちと寂しい。
凛々しさと雄々しさに欠ける。

スタジアムの拾いを見ていて
昼の宮城のサポーターと歴然とした違いを発見。
表情。

付け焼き刃というのは、隠せないものだ。

歌聴きゃ、わかるよな。
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赤い狂騒に鳥肌。
韓国ーイタリア戦。鳥肌が立った。


今出来の熱狂と、持続力との差異。
スタジアムがキムチの海のように揺れる様は壮観だった。


ひさしぶりに足の指の爪を切る。
5mmはのびていた。


怒り、歓び…
個人というものに立脚しようとしている場所と
そうではない場所との決定的な差。


ネコと遊んでいると
目の前で生起した突発事情に
まことに敏捷に反応することに驚かされる。
そしてすぐに忘れてしまうことにも。


浮き草だけでつくられた
黄金の国・ジャパン。


どこかの小説家ではないが
「あ・じやぱん」

そんなところだろう。


余白。
NHKとCXの根本的な差異もまた
強く印象に残った。
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満足
第3稿ベースにつないだものを持ち帰って
ゆっくり見た。
満足。

明日の第4稿ベースブラッシュアップで
大満足も見えた。

なんとかここまでこれた。
他人の褌で相撲をとる、という
はじめてのスタイルだったが
ま、いいじゃねえか。
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4稿アップ
台本第4稿アップ。
雨の宮城スタジアムを横目に眺めながら。


NHKはしかし解説者の選択をほんとうに誤解している。

楽しくない。その一言に尽きる。


久しぶりにMLをつくることにしよう。
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いつもの立ち食いそば
電通の後、六本木へ。
立ち食いそば屋に寄りrEDITへ。
山岡さんとかんたんに打ち合わせ


水滸伝の今月号のタイトルは《突破》。
旭屋で金庸の第四巻も入手。

終われば、読める。
それを楽しみに、まず眠ろう。
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蒲田ル・マン
ちょうど朝6時にアップ。

あの狭いオフィスに6人が朝まで。
みんな疲労困ぱいだろうな。

自分でも、どうして持っているのかわからないが、
最後まで脳は動いていた。

後はみなさんに任せ帰宅。
三時間眠ったら病院に。
それから試写。


こんどの仕事では、
すこしばかり命を削った気がする。


なんのためにと問うてみるが
確たる答えもない。
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まずOK。
クリップスから届いた素材を渡辺とチェック。
ここまで集められれば御の字。

第三稿用のナレーションをオンリーで録る。

2分/2分/3分/3分/1.5分

これにプロローグと各タイトルパートあり。

集まった素材を考えればAとBはさらに30秒ずつのばせる。
ざっと15分程度になるか。

「あなたもルーシー」のプロローグ部だけをつないでみた。
ナレーションを重ね、音楽をあてる。
感動。

もうこれでいいじゃねえか。

そんな気になった。


これから素材をパソコンに抜き出す。
朝までに終わるかどうか。
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読み直して泣けた。
アップ。


AからDまですべてシミュレーションし直した。
まず、この時点では完璧。

第2稿とほぼ同じ時間をかけた。
なんという遠回りとは思う。

届けてくれた音楽イメージを聴きながら
もう退けねえぞ。それだけを念頭に、
いま現在の俺の才能でたどり着けるところまで行けたと思う。

さらに差し入れられた
広尾はクレモン・フェランのチョコレートケーキのほろ苦い甘さ。
渡辺の淹れた大ポットいっぱいのコーヒー。
夜半から鳴り出した雷鳴とその後の激しい雨。


さらに中島みゆきのアルバム「大銀幕」。


無形有形の「はげまし」が
こんな夜には身に沁みた。


夜中に間違い電話をかけて寄越し
ついでに激励してくれた相馬プロデューサーにも感謝しよう。


「あなたもルーシー」を書ききれただけでも、心を閉じなかった甲斐あり。
読み直して涙がこぼれた。
これが書ければ、この仕事はもう終わりだ。
何も思い残すことはない。



渦中に、遠ざかる想いが二つあった。
意外だったが、そんなものだとも思う。


さらに思いがけず、姿を結ぼうとする像もあり。
十年という時間が、ほんとうに何か意味を持ち始めている。
十年の空白。十年閉ざした想い。


さよならだけが人生ならば
邂逅するのもまた人生。


あれもこれも断ち切って
歩いてもいいじゃねえか。


なんだかやけに意気が上がる。


さらば
そして
こんにちわ、だ。


さて野ぐそでもして寝るか。

と、書いたら、ビカッと夜が割けた。
雷公はまだまだ暴れ足りないらしい。
雷は怖いので部屋に戻ってくそしよう。


もう梅雨明けだな。
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5分でびしょ濡れ
オフィスから部屋に戻るわずか5分間で
上も下もずぶ濡れになった。
濡れたついでに公園の日本クチナシを手折った。
ついこの間咲いたばかりなのに
もう黄ばんでた。

さらについでに新聞配達くんからスポーツ紙を購入。
中国青年だった。

もう餃子を食うのはやめよう。
唐突にそう思った。

雷はまだすごい音を立てている。


入ったばかりの梅雨が終わる、そんな気配あり。


東京に飽きた。
ケリがついたらしばらく旅に出よう。
南会津のカネマンのおやじの所にでも転がり込んでみるか。
それとも湯の花温泉に居候を頼むか。
あるいはびっき沼の阿部さんの山の学校にでも寝かせてもらうか。

いま、すぐ近くに落雷。
超迫力の大音響。

たどり着けたのだから
あとは固めるだけ。

東京にとどまる理由もない。


仕上げは21日。夏至。
符牒はぴたりだ。
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チョコレートケーキとルーシーの夢
井口君が編集した曲をMP3にしたものと
チョコレートケーキを持参でオフィスにいきなり。

聴いているうちに、希望が出てきた。
もっとも曲のせいかチョコレートケーキのせいかわからぬが。

勢いを得てC案に着手。
ふくらんだ。ここだけで3時間かけて
頭の中でつなぎ直す。
本来のプランにより近づいたものになった。

これからD案。

ルーシーは2カットにわけて使うことにし
渡辺につないでもらった。OK。

夜は、これからである。
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命の別名、ほか。
渡辺に買ってきてもらった赤飯弁当を食べ
ソファに身を横たえた瞬間に、萎えた。

30分ぼんやりとし、復帰。

気が乗らないので中島みゆきヒットパレードで乗り切ることにする。

「命の別名」。
これじゃ去年のむじなの森じゃねえか、と思いながらボリュームアップ。
そして、ヒートアップ。


誰かの電話で、新宿が大変なことになっていると…
仕事どころじゃないよ、とも。


振り返れば俺の新宿は騒乱の街。
サーチライトに照らされてあの街の夜に向かって仁王立ちした秋山さんの小さな姿がふと浮かんだ。


落差の大きさにコトバが消えていく。


この国にサッカーの熱狂は似合わない。
あれは個人が存在している国のスポーツだもの。


あれにもこれにも蓋をして
目の前のゴミにさらばを告げたい。


中島は
「たかが愛に迷い そしてたかが愛に立ち止まらされても 捨ててしまえないたかが愛」
をリフレインするたびに表情を変えて歌いつぐ。背筋がぞくっとするような盛り上げ方に、いまさら驚いた。

「せつなさに疲れて息が止まっても」愛情物語

しかしなんつう歌詞を書くのだろうか。
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カンマあるいはピリオッド
けじめをつけた。


数年来の問題にピリオッドを打つことに。
何が最良の道なのかは、もうどうでもいいと思った。

長い時間も、過ぎてみれば古びたアルバムほどの意味もない。

俺は、それをいつ、「あきらめた」ことになるのか。
十年前か。十五年前か。七年前か。三年前か。
あるいは昨日や一昨日のことなのか。

まだ十分に若く、世界が可能性だけでつくられていた
はるか昔のことなのか。


俺は、無力である。


手をこまねいて見ている他に術が無い。


目の前にあるのは《仕事》という名の不毛。
この不毛の中に、いまは身をさらし続ける以外に、
道はないのだ。


ここではないどこかへ…

企画書の気の利いたコピーとしてではなく
己自身に突きつけられたコトバだったのではないのか。


様相は、すでに漫画である。
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メモ6.14
●手持ちのLDからDVに落としたものをリストアップしておきます。

  1.コヤニスカッティ 全編
  2.Les Films Lumiere
            蒸気機関車汽車、飛行船、自動車レース、花車、人力車
            自転車遊び、蒸気船など
            いずれもリミュエール兄弟が撮った19世紀末の映画
  3.Western light   アメリカ西部の大峡谷空撮/移動の3つのルート追加用
  4.真夏の夜のジャズ 1958年ニューポートでクルマの上にバンドが乗ってパレード
            /夢のある乗り物の系譜に使用
  5.スターウォーズ  砂漠のロボットコンビ/ヒューマノイド・オペラ
  6.FIFTH ELEMENT  未来都市イメージ、未来タクシー/ヒューマノイドオペラ
  7.未知との遭遇   魂を奪われた人々の表情
  
●追加希望です

  1.アラビアのロレンス
  2.007ゴルドフィンガーのプロローグの一人用ヘリ
  3.オペラ、ミュージカルなどで登場人物の表情がしっかり撮れているもの
  4.アップルの1997 Think Different Campaign
http://www.uriah.com/apple-qt/
  
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フェイクと急先鋒
熱中の結果としての徹夜のつもりだった。
MAVドタキャン。17年目ではじめての体験。

怒りも屈辱も、なかった。

善後策を打ち合わせた後の帰りのクルマの中で
半分は寝ながら、さらに帰宅し風呂に入った後で3時間あまり
なぜこうなったかを考え続けた。

さらに14時間眠り熱いシャワーでこの一週間の砂を落とした。

さらに考えてみた。

結論。
彼と我との《場》の本質的な隔たり。
指摘はいずれも修正可能であり、修正すればベターなものになることは自明。
寄せ集めをまとめるだけだから、勝負の綾は、使える時間とカネだけにある。
問題はただ一つ。
ゴールを決めていたこと。
そのゴールを絶対時間として設定し、
一週間のエネルギーを注ぎ込んだこと。

ダメならのばしてもいいというゴール。
ロスタイムの終わりを告げるホイッスルだけを、耳を澄ましきって待ち続けた。
アクロバティックではあるが、交通事故さえ起きなければ、頭を下げ続けてもゴールに持ち込める所までたどり着いていた。
はずだった。0-0の膠着をぶちやぶるホイッスル寸前にジャンプして放ったヘッディングシュート。
視界にはネットだけ。跳び出したキーパーの影すらも無い。
当てる。飛ぶ。ポストの四角にボールが入る。ホワイトアウト。

見てもいないサッカーになぞらえりゃ、こんな気分か。
少なくとも悔いはないゲームオーバーのはずだった。



フェイク。
ロスタイムそのものがフェイク。


怒りも屈辱もなく、ぼう然とした気分だけで、指摘を聞いた。

指摘を聞き、自分がこの後を引き受けたほうが良いのかどうかを尋ねた。
そうしてほしい、と答え。

その答えの真意がどこにあるのかはもう気にならなかった。


自分が立っていたフィールドが
実はもっと巨大なフィールドの一部であったことに唐突に気づいた。
11人の世界がある。その11人の中の一人のボランチだけに、
全体とはまた異なるフィールドがある。
そんなふうに考えてみた。

彼と我との違いは、そこに。

そこだけにあったのではないのか。


降りろ、と言われなかったことは情の問題ではなく、
あくまで勝つための方程式にのっとったものだと考えれば
経緯は砂にしみるように得心できる。


怒りも虚脱もなく、聞いていられたのは
たぶんそんなことを無意識の中でイメージできたのだと思う。


さらに、試されているのだな、
という思いも強い。
コトのスケールを考えれば、それも当然だ。

とりあえず
一週間のロスタイムとなった。
ウエットに流れることなくドライに徹しきること。
持てる余力を出し尽くす。
急先鋒の役割を解かれたのではなく、
さらに武器と兵糧を与えられた上で
もう一度突進せよ、と命じられた。

そう理解してみることに決めた。

一週間。さらに戦線を深め拡大してみる。

これはたぶんそういう類いのゲームなのだ。
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一人の男
スタジオ。地下。

渡辺はロビーのソファで横になって熟睡中。
連続20時間。
これほど集中した荒編集は初体験。
疲れているのだろが、妙に冴えてもいる。

充実感とは微妙に違う。
しかし消耗感は、ない。

とりあえず、やったとといえる所まで行けたこと。これが大きかった。

さらに一人の若いプロデューサーの存在を知ったこと。
困難をあんな涼しさとともにしのぐ男がいることを知ったことは、
あるいいは最大の収穫なのかもしれない。

まだ数回しか会っていないが
他人とは思えない親しみを感じた。

手を抜かせないやさしさ、
あの若さでどうやって身につけたのか。
類い稀なたたずまいを持った男である。

中山と夏苅がしっかりすすめてくれているので、助かっている。
このまま気を抜きながら火照りを冷ませそうだ。

とりあえず、六本木も日が暮れる。
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花泥棒
帰りがけに公園の日本クチナシを一枝手折る。
雷雨が慈雨となったか、よく香っている。
枕の下に置いて、せめて甘い夢でも見ようじゃないか。

あとは明日。
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袋小路。ボチェッリ《大いなる世界》にチェンジ
行き止まる。
ディティルに分け入ると袋小路。
面白さが募る分だけ、イメージが貧困にならざるを得ない。
プラン説明の、これが限界なのか。

材料のバラつきが大きすぎるのだ。


なんとかねじ伏せようとコトバに逃げれば
映像の展開が留守になる。
夜になってからは、ずっとこの状態で行きつ戻りつ。


考えてみれば昨日の未明も、同じ段階で停滞が始まった。
昨日は、そこで力尽きた。

今夜は、なんとかこの隘路を突破しなければ
おれのキャリアが無意味になる。


あと一歩。
いやあと百歩か。


夜は、まだ長い。


くそっ。
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至上の愛、続行中。
開け放したオフィスの窓の闇が時おり強烈に切り裂かれ、すべてがくっきりと見える。
雷と雨。
デスクトップの画面が不安定な動きを見せる。

コルトレーン聴き続けている。

周囲に鋭敏なイオンが満ちていく。
雷は怖いが、この気配はなんとも言えずいい。

9リップスの波多野君が集めてくれたDV5本分の素材を持ってきた。
一緒にチェック。十分な材料だった。
短い時間でよく健闘してくれている。
目黒からこの雷雨の中をバイクで来たらしい。
そのバイクを借りて俺も飛ばしてみたいと思った。
が、免許を持っていないのであきらめた。

中断があったが二案目アップ。

三案目に入る。
その中休みをとった。

波多野が帰ったので
またパンツ1枚に戻ろう。
顔を洗い首筋を水に浸した。
火照りをさます。

さて次だ。
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片目分の全シーン
シークエンス1のイメージを固め直す。
ほぼ完璧。これなら問題が起きてもどうにでも転べるはず。
ここまで二時間。ひと呼吸入れたら一気にいく。
問題はどこにあったのか。

考えてみれば簡単なことで、
フォーカスのズレ。
つまり慢心。集中力の欠如。など


嬉しい話をいま聞いた。

昨日、池田さんに会ったときに「水の惑星」のフィルムを分け持とうと言われたらしい。
3Dだからすべてのシーンは右目用と左目用に同じフィルムがある。
その片目ずつを池田さんと俺とで持ち合おうということらしい。
おれのオーダーらしいが、すっかり忘れていた。

膨大な量になるが、
近いうちにイマジカに取りに行き
池田さんからスプライサーを借りて切る。

でき上がったら、池田さんとおれと
片目ずつ永久保存だ。

フィナーレの雨の夜。
無人となった湖ごしにジ・アースの最後の姿を眺めながら
車の中で過ごした短い時間を思い出す。

大クレーンがあれば必撮もののシーンではあったな。
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道と夏至と至上の愛
オフィス。


ここに来るまでの道は三つ。
一つは睥睨する巨大ビルのアトリウムを中央突破するコース。
これが最短。夜も11時までは通れるので、大半はここを通る。
二つ目は巨大ビルの公開空地の緑地を通る。
金をかけて維持しているだけに季節の花や樹木をよく計算して配置していてなかなかの風情だ。
松竹撮影所の跡地。さらに高砂香料という香水をつくる会社がその後を継いだ。
香料会社のそのまた跡地。
映画の夢と香りの夢のあった場所。
そのせいか、
配されている花や木も香りの強いものが多い。
初夏の夜は、よくこの公園で時間を過ごす。
深夜になるとここを通ることがほとんど。
今ごろから秋までは、ホームレスや恋人達がひっそりと暗がりで生きている。
去年はホームレスとよく笑いあった。
三つ目は迂回路。
巨大ビルに隣接したアロマホールというコンサートホールに付属の小公園。
面倒くさいのでほとんど使わないが、比較的立派な枝垂れ桜が残っていて
春はその下のベンチでホームレスと花見をした。
今日はここを通って来た。
植え込みに日本クチナシがあり、そろそろ花が咲いてるだろうと思って。
咲いていた。西洋種とはまったく風情の違うひっそりとした花が、
かすかに夏のにおいを放っていた。
夜になったらこの植え込みにゴザでも敷いて眠ってみたい。そんな香りである。


今年は21日が夏至。


この日を、目処と決めてみる。
夏至を越せれば、まだ少し先に行く。
越せなければ、それまでのこと。


そう考えれば
気も軽い。


ひとつ行けるところまで行ってみよう。


限界だったのか
航路を変える時期だったのか
夏至までに結論をつかみたい。


じつに久しぶりにコルトレーンをかける。
《至上の愛》全4曲。
1964年の12月に録音され
3年後に彼が死ぬまでの猛爆発の発火点となったと後に語られた伝説の1枚。

重層的でありながら寂寥感に満ちた世界が
どこか暴走するような気配の中で畳みかけてくる。
いつもより音のレベルを絞らないと聴いているのに疲れるほどだ。
善かれあしかれ60年代そのもののような
音の世界が満ちていく。
ひとことで言うなら、ファンキー。


A LOVE SUPREME 至上の愛
JOHN COLTRANE

part1;ACKNOWLEDGEMENT 承認   7:47
part2;RESOLUTION 決意   7:23
part3;PURSUANCE 追求  part4;PSALM  賛美   17:53

1964年12月9日録音

ピアノ/マッコイ・タイナー
ベース/ジミー・ギャリソン
ドラムス/エルヴィン・ジョーンズ
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熱風。
10時間眠る。
タバコを買いに出たらいきなり熱風に遭遇。
夏だな、ほんとうに。

これからオフィス。
渡辺が整理するので1時スタートにしてくれというので、待った。

まず台本の整理。
同時にタイトルの先行編集/
fixで使うPhotoshopデータのキャプチャー。

夕方にはつなぎ始めてみたい。
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わびてはみたが。
CADセンターでのCG打ち合せから今戻った。
あちこちに迷惑と不安をかきたて、まことに情けない。

このままオフィスに行って続きを、とも思ったが、やめた。

せめて充分な睡眠をとって対処しないことには、
同じ弁明を繰り返しそうだったから。

集中ができなくなっている。
このままだと、お手上げが近い。
明日明後日の二日で、
納得できるところまで、なんとかしのぎきりたい。

若いスタッフ数人に、
わびのメールを出した。
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途中放棄
途中で、わからなくなった。
すんなりいくつもりで、満を持して余裕を持ったつもりでいた。
頭は冴えていた。
はずだ。

夜が明け、子供たちが登校していく笑い声が、開け放したままの窓から
真夏のような日差しといっしょになって入ってくるあたりには
もうだめだった。

つかみかけていたイメージが砂のように崩れ
キーを叩いても、すぐにディレイ。その繰り返し。
十時前、あきらめた。
できたところまでを渡辺に頼んだ。

ここまで引っ張って、カタチにできなかったのは
はじめてだった。

真夏の光の下を部屋まで歩き、
シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。

3時間眠り、渡辺の電話で起きた。
CGが開かないのでこれから曙橋のプロダクションで
善後策を練りたいとか。
わかったと答えて切る。

開かないのはCGのファイルではなく
おれのこのアタマなのにな、と思いはしたが
口には出せず。

たかがまとめるだけの仕事が
こんな落とし穴があるとは。


菊池さんが、コンサートの記録ビデオを喜んでくれた。
それがこの一夜の救い。
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あっちとこっち。
渡辺から電話あり。
酔っぱらってご機嫌である。
福島さんのところに行ったら立松和平さんや菊池さんも来ていたとのこと。
コンサートビデオは菊池さんに渡すことができたらしい。
今夜、速達かなと思っていたが、なんともおかしな巡り合わせである。
それから飲みにつれて行ってもらったらしい。
俺がしこしこ賃仕事しているというのに、
渡辺はなんともうらやましい限りである。

帰りに折り詰めを買ってくるように申し渡す。

さてまだまだ夜は長い。

重爆開始である。
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Mirabassiの革命ピアノソロ《AVANTI!》
Mirabassiの革命ピアノソロ集をBGMに。
渡部君は福島さんの所へ。
気分も乗ったところで一気にいくか。
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クチナシで爆睡。
15時間爆睡。
ベッドの枕元にクチナシの鉢植えを一つ置いてみた。

これがよく効いたようだ。

子供の頃を過ごした祖母の家の庭に咲いていた、大きな和クチナシの群れが発する甘い香りが
夜になると、開け放した二階の窓から空間全体を包み込む。
同時にやかましいほどのカエルの合唱。

この二つが初夏の眠りを誘ってくれていた。
そんな風景を思い浮べながら、今朝は眠りについた。読んでいたのは水滸伝。

起きてシャワーを浴び飯を食ったら
近くの小学校の下校を告げる鐘。

これからオフィス。
渡辺に連絡したら、もう少しで「森の記憶」のDVD化も終わるとのこと。
いまいちばんしたいことに時間を割かせたのだ。

賃労働に切り替えても、きっと能率があがるはず。
徹夜になるか、どうか。
全開できそうに思う。

出撃である。
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ラストワルツ
ふと気づくと夕やみ。
外に出る。
夏のどの一日にもあるような
平凡な夏の夕。
日曜のせいか時間だけは
ゆっくりと流れている。
葉の繁った公園のベンチに座り、
タバコを一本灰にした。
部屋に戻り、
熱いコーヒーを淹れる。
窓の外は青い闇。
森田の曲をかける。
ラストワルツ。リピート。
そして書き取る。
不正確だがおおむねを写す。


  美しき明日についても語れず
  ただあなたとしばしこの時を
  すべてはなつかしきこの時を
  すべてが終わるこの夜に
  せめて最後にラストワルツ

  この暗き部屋の窓から
  血の日はまばゆく自由が見える
  すべてが遠のくこの時を
  このまま終わるのなら
  せめて最後にラストワルツ

  美しき明日についても語れず
  ただあなたと アンドゥトロワ
  すべてが帰らぬ アンドゥトロワ
  すべてが終わる アンドゥトロワ
  せめて最後にラストワルツ


やりかけの仕事を閉じる。
ヨーヨー・マのアルバムから
「タン・ドゥン:グリーン・デスティニー〜愛のテーマ」を。
ラストワルツとグリーン・デスティニーをエンドレスに。
グリーン・デスティニーのラストは、
滅びなのか再生なのか。
一年後の今も、
答えはまだ見つからない。


6月2日日曜日の夜はこんなふうに開いた。
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クチナシとヨーヨー・マ
床にあったクチナシの鉢植えを机の上に。
むせるように甘い香りが寄せてくる。
6月2日午後5時。
昼まで熟睡。
そのあとで、昨日仕上げたビデオをチェック。

クリップから届いたデータを開いたが
短い時間でよくまとめてあった。
Tチームのレベルの高さに舌を巻いている。
刺激的で気を抜くヒマが無い。
ずいぶん久しぶりに全開モードでいけそうである。
十年ぶり、天然の日本シリーズ以来の高ぶりあり。

ヨーヨー・マのベストをかけてみる。
夏の夕暮れによく似合っている。
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6.1満腹餃子館紀行
件名 : [tojibu2:00299] 満腹餃子館紀行
送信日時 : 2002年 6月 2日 日曜日 04:23 AM
差出人 : Toru Mashiko
返信先 : tojibu2


http://homepage.mac.com/torum_3/r1118/iMovieTheater541.html


6月1日夜。MAVを無事に終了した疲労困ぱいの
湯治部のなかやま、なっちゃん、わたなべ、ましこの四人は、
エクサに原版を突っ込み、一路隅田川河畔を目指す。
湯治部内で噂ばかりが先行していた満腹餃子館の水餃子を食し、
ひとつ英気を養おうではないか、と。
これは、その夜のありのままの記録である。
なぜ、東京星菫派に載せたのかと問われればノ
あんまりんまかったことを末永く記憶にとどめたいと
願ったからであると、答えてみたい。
星やスミレや月のほかにも、
東京星菫派は水餃子も愛しておるのだ、
と申し上げてみたい。
すまんな


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

菱沼さんと30分くらいのニアミスだったらしい。
店主の満ちゃんが

 「あなたのおともだちがきていましたよ」

と笑っていた。
夏用の新メニュー4品。
いずれもうまかった。


積水ハウスの2タイトルアップ。
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十年の消息。
集団プレイのおもしろさ…
そういう感覚を持つことが少なかった。
ジ・アースに惹かれた理由はそんなところにもあったのか。
EXPO'05のチームと久しぶりに顔を合わせ、
そんなことを思った。
どこに向かって球を打っても必ず返ってくる…
気が抜けない。
テンションを自然に維持し続けられることの愉悦。
そういう気分から遠すぎる場所にいるのだと、しみじみ思う。
一日、休息をとったら、あの連中をにやりとさせるために
もう一山、力を入れてみたい。


それにしてもNHK。
岡田の解説はねえだろう。
4年に一度の祝祭が、二流の技術論パレードですっかり興ざめである。
声質。間。気配。すべて最悪。


フランス完敗の大番狂わせで始まって
もうひとつ興の乗らないお祭りが
いくらかは賑わしくなるのかと思ったが
岡田の通夜の客のような解説で消えた。
NHKは、ほんとうに鈍くさい。


夕方からは、ひたすらぼーっとしていた。
昨夜は久しぶりにオフィスで眠った。
三時間と決め、すっと起きた。
十分後にはキーを叩いていた。

あんな芸当が、まだできるのだ。


横江から、賢明さんの消息を知らされる。

十年。
小石川。
春の盛り。
1000mビル構想/ある、慕情。

十年という歳月が信じられない。
組んだ時間よりも離れた時間が
いつか長くなっていた。

六本木の地下で編集中に横江のメールを読んだ。
それから横江に電話を入れるまでに三日経過。
熱は、そこまで醒めていたのだ。
電話を切って、三日間という時間を意識したとき、
ああもう終わっていたのだ、という思いに満たされた。

喪失感も焦熱もなく、
醒めた、ため息がひとつ、
築地の街灯の下にこぼれた。


失踪する少し前に《髪結いの亭主》を見てきた彼が゜、「おまえによく似ている」と笑った。

このあいだ、十年ぶりに見直して
こんなおかしな野郎とどこが似ているのかと、
鼻で笑い、気がついたらモニタの前で踊っていた。

高校時代にハイミナールをかじりながら
新宿の螺旋階段で踊るとよく効くことを
教えてくれたことなども思い出しながら。


そんな時間の先に、十年の消息があった。


この間、福島さんに会ったのも十年ぶり。
菊池さん、石塚さん、永畑さんたちともまた十年。


都庁のHDをSONYPCLで仕上げた午後、
「ほんとうにこれで良かったのですか」
と耳元で囁かれ、
ボロ切れのような気分と体を休めるためにとった近くのホテルで
賢明相手に涙が止まらなかったことがあった。
その問い掛けの主とは、やはり十年ぶりで仕事をしている。





心が沸き立たないことに少し苛立ちながら
三日が過ぎたのだ。


男子、三日会わざれば…ではある。


刮目すべきは、俺か、あいつか。


夏なのに秋のように涼しい夜になった。
くそして寝るしかねえだろう。俺も、男だ。
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