2000年09月の記事


オーエン博士と神風プロデューサーと炎の水と
ハワイ大学のトビー・オーエン博士にメッセージを書く。
どうせ通訳が訳すから日本語でいいということなので、
夢二の寒椿の絵入り便せんに筆で書いて落款を押した。
おまけは会津の銘酒・花泉。火の国日本の「炎の水」であると添える。

来年の春に撮影でマウナケアで会うときに照れるような気もしたが、なにしろプロデューサー厳命なので…
プロデューサーはスケジュールがいっぱいで成田-ハワイ-成田を27時間でこなすとか。数年前の松村時代の電波少年なみのスケジュールである。おそれいりました。
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少女と巨漢
ルーマニアの体操個人総合の銀と銅の二人の少女がメダルを返還。繰り上げも拒否。
金メダルをとりながらドーピングにひっかかって没収された少女は体操そのものを引退したいと話しているとか。

表彰式でふてくされたまま銀メダルを受取り、記者会見でも不満足を巨大な体つきのすべてで表現しながらも、「相手が強かったから」と言い放った巨漢男がいた。
フランスに帰国してからはじめて、抗議した山下監督と日本柔道への不満をあからさまに訴えた金メダリストの大男がいた。

プロとアマの力の差がありすぎたから負けたのであり、選手を派遣しなかったセリーグがその元凶であるという抗議が殺到していると報じられていた。泣くな松阪、君は負けていない、と見出しにあった。
なんだそれ。プロとアマの配合度合いが悪いのではなく、日本とキューバ、アメリカとはすべての面においてレベルが違っていたじゃないか。アメリカは3Aクラスだよ。

サッカーが終わってしまってからのオリンピックは、体操のGALAのファンタジーあふれる演出意外に、急速に興味が薄れていく。

それにしてもはや北風。
いっきに秋になった。
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捨てまくり
夕方からオフィス。
書類などを渡辺と整理。
夏からこのかたオフィスでずいぶんといろいろなモノを捨ててきたのに、うんざりするほど減らないものだ。
これ以上はオフィスそのものを捨てるしかない。
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東北巡業
東京駅にはやく着きすぎたので30分早いなすの号に乗った。
途中、小山でどしゃぶり。宇都宮に着いたときには小降りに。
プレゼンの真っ最中にものすごい雷が近くに落ちた。気を良くして予定していた倍の話しをした。
帰りは駅前で別れ、少し歩いた。
山菜弁当を買い乗り込む。グリーンはおれ一人。
飯を食べ終わったところで東京駅に。
タクシーでソフトボールの決勝をラジオで聴きながら蒲田へ。
オフィスの前でサヨナラ負け。

今日は渡辺も福島だから
メディアサーカスは全員が東北巡業に出たことになる。

そういえば宇都宮で餃子を食べそこなった。
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ナガシマと「貪欲」。
長嶋が宙に舞った。
ゆうべは各局のニュースを全部観て、
けさはコンビニで全スポーツ紙を買ってしっかり確認した。

中学の時に武宮二軍監督の息子が同級生で
その関係で学校の帰りに
多摩川グラウンドによく遊びに行っていた。
ある日、例のおでんやの前で、現役だった頃の長嶋に合った。
生徒手帳にサインしてもらい、握手してもらった。
「勉強がんばるんだよ」と言われたことが、いま考えれば笑えるが、一週間くらい右手を洗わなかった。

あんなふうにオーラのようなものが出ている人間を
その後見たことがない。

野村がインタビューに答えて
「金と権力にあかせての優勝に価値はない」
などと言っていたのがおかしかった。
評論家の玉木もそんなことを言っていた。

ここまでたどりついてしまった
消費資本主義国家日本で、
こんな寝言をしたり顔でいう人間がまだいることが新鮮だった。

どんぐり集めて背比べして、誰がチャンネル合わせるんだ?
みんな同じくらいの人が集まって一生懸命勝ったり負けたりしているのはほんとうにおもしろいのか?
ヤンキースがあれだけの選手を集めなかったらニューヨーカーは
スターバックスの小難しいオーダーこなしながら何を話題にするんだ?タバコも吸わずに。
マラソンの高橋は半年近い海外合宿をするのにロスで皿洗いしてから行ったのか?



なんだかよくわからなくなりつつも…。



平等とか等しくといった幻想をどうしたらあんなふうに
いつまでも持ち続けられるのだろう。

プロがギャラになびかず、何に心魅かれてプレーすればいいのだろう。行き着くところまで来た感の濃い 消費資本主義国家のこの日本で、なぜスポーツだけが幼児のような批評にさらされ続けるのだろう。

際限のない「貪欲さ」。
それこそが市民生活ときっちりと異なるプロの世界ではないのか。
ただの「貪欲」だけでは、だいいち小市民にかなわねーだろうが。
携帯片手の親指族で終わっちゃうだろーが。


際限のない「貪欲さ」だけが、
スポーツにかぎらず、あらゆる表現世界の究極のドラッグである。
これが消えれば、表現は死ぬ。
残るは気のめいる日常という名の地獄だけである。
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宇都宮の餃子
グランディの2001年度TV-CM案、アップ。
明日は昼から宇都宮でプレゼン。
餃子を食べることはできるだろうか。
神社の近くの店は何と言ったか。


積水ハウスはシャーウッドが先行することになったと相馬さんからメールあり。
福田さんから大阪転勤のメールも。
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憂鬱である。
NHKの女性アナウンサーは有働アナという人だった。
実況中にかなり激高していた全日本柔道コーチの岡田は、深夜の解説では鮮やかにトーンダウンししっかりとした受け身ぶりをを発揮。民放はといえばコトバだけが上滑りしていくだけで、予定調和の怒りのみ。目立ったのはバカ女・田村。この道端の中年女のような日和見ぶりにはうんざりし通しだった。こいつを引きサイズ以外で撮るのはほんとうにやめてほしい。昨今の家庭のテレビは解像度も高く画面サイズも大きいので被害甚大である。

1972年のミュンヘンでアメリカがソ連に負け、銀メダルを受け取らずボイコットした事実有り。勝った負けたを旗印にするというのはそういうことだと思う。山下は勇退するなら、なぜあそこで怒りに任せなかったのか。
政治に続いて爪に火灯す思いで築き上げてきた経済もまた奈落の底を突き抜けようとしているこの国で、三谷のドラマではないが「合言葉は勇気」で突っ走れる、20世紀最後のまたとないチャンスを逸した間抜けさをどうやってカバーしていくのか。不思議である。

けつまくって啖呵切って「おれは降りる」こともあるぜと一度だけ示せる絶好の機会を見逃した責任を誰がとるのかな。

新しい世紀もまた、
あきれるほどにこの国は暗い。
国民みんながカラオケ狂いをしているうちに、政治音痴にとりつかれたとしか思えない。

唐突だが、蜷川に五輪演出をさせてみたかった。
彼なら灰皿ひっつかんでけつまくってくれただろう。
それともオーストラリアは禁煙で灰皿がなかったか?

少しばかり憂うつな週末である。
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飛ぶ鳥も遠くの空へ向うゆえ
ディレクTVに出向していた大矢さんも三菱電機に戻り、M-Brosに出向していた伊原さんはスカイパーフェクへの移行が決まったらしい。ディレクTV自体も9月末で放送打ちきりということだから、本日付けでやむを得ずスカイパーフェクにこちらも移行を。
DTIは順調なようだが、小島さんももうアドメルコに戻ったし、ま、いろいろあった。
大矢さんが水戸のディレクTVのアンテナの面倒をみているうちにいちどのぞきに行っておけばよかった。

秋の彼岸。
東京は北風と氷雨。
ゆうがた西の空に向って飛んでいく雁を見た。飛ぶ鳥は、遠くの空へ向うのだ。
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女ですもの…
斉藤はなぜ猛らなかったのか。山下はなぜ選手総引き上げを宣しなかったのか。金や銀や銅をとって応援していた日本選手達はなぜ雪崩れをうって主審を表彰式をひっくり返せなかったのか。たまたま中継をすべて観ていて、そう思った。柔道は格闘技ではなかったのか。格闘技とは戦場で武器を失ったときの最後の肉弾決着としての手段ではなかったのか。篠原はメダル授与を拒絶すべきだった。監督やコーチや並み居る選手達は総力をあげて表彰式を粉砕するべきだった。悪法は法にあらず。その一点で世界の非難を浴びるべきだった。一瞬そんなシーンを夢想した。あんな大男がうつぶせて泣いているのを観ながら、無性にささくれ立った気分にさせられた。

表彰式をライブで伝えた直後にシドニーのスタジオに切り替わったカメラを前に、なんという名かしらないがついさっきまではいかにもNHKらしいつまらぬレポートを繰り返していた女性アナウンサーが絶句し、小間あって涙声で原稿を読んだ。
NHKのアナウンサーとは、いつ仕事をしても、小賢しいだけでつまらねえやつばかりだった記憶が強いが、こんな多情な女もいるのだな、そう思った。東京のコントロールか、画面はすぐに切り替えられたが、あのまま3分引っ張れたら、あのまま取り乱したアナウンサーを映し続けたら、今夜のシドニーは発火するな、と思った。
テレビjマンとして千歳一遇の機会を国営放送のサラリーマン達はみごとに逸してくれた。

篠原は口惜しさをこらえ表彰式に出た。山下は後刻、提訴するとコメントした。
要するになんであれ受け入れたわけである。ばくちのいかさまは鉄火場を離れてはあやのつけようもあるまい。荒ぶる魂はみごとに奴隷の決断をし、国際社会のルールを受け入れたのに、何の取り柄も持たないような、吹けば飛ぶようなか細い女性アナウンサーだけが南半球シドニーのちっぽけなスタジオで憤怒の涙を流して見せた。
田村が強いのではない。柔道が強いのではない、日本はいま、女性がほんとうに勢いを増しているな。そんなふうに思った。

自分でも、なぜこんどのオリンピックを飽きずに眺めているのか不思議でならなかったが、今夜の女性アナウンサーの一件に遭遇し、ああこの瞬間だ、と感じた。

あるいは自分の中で何かが失われ老いてきたことの反映なのかな、といぶかしんでいたのだが、今夜のオンエアの瞬間に居合わせたことで、理解できた気がする。
オリンピックにはなんの興味もなかったのだ。
NHKのこの女性アナウンサーが、クビになったら、ぜひ仕事で組んでみたい。いい味だすだろうな。
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《朝な夕なに…》その3
ミニラジオドラマシリーズ《朝な夕なに…》
第1回放送台本その3

◎出演
客/松村邦洋
案内係チエ
謎の板前
天の声/西田敏行



●露天風呂

・松村のウフフフフという含み笑いに、ポチャッポチャッと
 お湯に落ちる水滴の音が重なる。
 小間あって、ザバッと水の音。

謎の板前『おい、松村(と、湯桶で頭を叩く)』

松村『若女将さん、ぶったりして、ぼかぁ、そんな趣味ないんだけど、
これも芸のコヤシっすね(と寝呆け声で)あ、痛ッ!』

謎の板前『おい、起きろ、溺れるぞ』

松村 『おお痛ぇ。あっ、ミナミムラ、痛ッ、その、北村さんじゃないすか』

謎の板前『(笑いながら)変わらないな、松村は』

松村 『…で、なんだってまた』

謎の板前『いや、それはいい。松村よ、人生はな、
わからねえことがたくさんあるんだよ。それでいいんだよ』

松村 『借金かなんかすか、それともまた女?おぉ痛ッ』

謎の板前『バカ、売れねえ時にさんざんただ飯喰わしてもらっといて』

松村『あ、そうっス。ほんと、感謝してます。(小声になって)バゥバゥ』 

・流し場で背中を流しあっている音と、あたりの秋の気配。

松村『あの、そこに観音様ありますよね。小さな木の賽銭箱も。
さっき缶コーヒー用の100円玉入れたんだけど、
あれってなんだって風呂ん中にあるのかなぁ』

謎の板前『ああ、先代の趣味だ』

松村『はい?(と、コケる)』

謎の板前『趣味だよ。趣味。そこらにいろいろあったろう。
地蔵だとか、おしゃかさまとか、そういう趣味だったんだよ先代が』

松村『先代の趣味って、じゃ賽銭は?』

謎の板前『それも趣味だよ。
言うだろ、趣味と実益って。そういうのは切り離せねえんだよ』

松村『(小声で)その賽銭どーすんだよ』

謎の板前『(聞こえてる)俺のパチンコだよ(パッコーン!)』

松村『痛ッ』

謎の板前『それよりどうだ、この頃仕事のほうは。
あいかわらず掛布のモノマネ一本か』

松村『はぁ。
バウバウ、ピロピロまではなんとかもったんだけど、
次がいまいちで、なんか、手とか腕ばっか使ってるみたいだし…
(だんだんしんみりしてくる)』

謎の板前『手も腕もいらないだろ、いまのおまえなら。
見てるだけで、居るだけでおかしいタレントってのも
そうはいないぞ、松村』

松村『ほめてんすかぁ、それ?』  
                  
謎の板前『俺はね、そう思うってるよ、昔っから』

松村『そうっすかぁ?』

謎の板前『ま、四、五日ここでのんびりしてみろ、
どうせ、事務所ごまかして来たんだろ、親が急病とかって』

松村『あれっ、何で?』

謎の板前『売れねえ頃にもよく親が事故だとか大病だとかあったじゃねえか。
おい、それより、松村、頭のタオルに挟んでるの何だ?』

松村『えっ?
あ、これ、さっき若女将さんがくれた石けん…。よく泡立ちますよって』

     
・ザーッと湯を流す音と謎の板前の鼻歌。



●客室

・夕暮の気配満ちている。
 サワサワと吹く風の向こうからときどき、
  ドドドーッと噴火を思わせる地響きと、遠い汽笛。

松村『気持ちいいなあ。
あぁ、すべすべだよ。温泉のせいかな、若女将さんの石けんのせいかな。
すーべすーべっと。
畳に寝転んですべすべになった自分の肌さわってると、
なんか、オレ危ない感じだよなぁ。だけど気持ちいいなあ。
あと四日、何しようかな。チエちゃんか若女将さんが
案内 してくれるって言ってたし。
南村さん、じゃなくて北村さんはなんか苦手だから
避けたほうがいいし。      
ま、オレは客だし。
しかし、風が気持ちいいなぁ。まいったなぁ。(と、寝言に)』

・松村のいびきにノックの音重なり、障子がそっと開けられる。

チエ 『松村さん、松村さん…
あーあ、よだれこぼして。松村さあんってば』

松村『(ガバッと起き上がる気配あって)
あっ、別に自分は、すいません、すいません』

チエ『やだ、どうしたんですか?
お風呂から上がってよくお休みになってたみたいですね。
お食事の用意ができましたって言おうと思って、
ごめんなさい、起こしちゃった。後のほうがいいですか?』

松村『あ、いや、その、(グーと腹が鳴る)
ちょうどお腹が空いたとこで。
あれ?なんか顔が濡れてるな』

チエ『やだ、それ、よだれですッ。(コロコロ笑い転げている)』

松村 『えっ。よだれ?
おっかしいなあ。だれがやったのかなあ(ごまかそうとする)』

・二人の笑い声が秋の夕暮の気配に溶けていく。
 その笑い声に、《朝な夕なに》のテーマ音楽が重なる。

天の声『《ホテル・朝な夕なに》では、いつもこんなふうにして
ゲストたちを迎えるのだという。
ダルマ便の源太や謎の板前、美人の若女将とアルバイトのかわいい女性、
そして何よりも東京からほんのわずかで行ける福島のどこかの、
山と湖を一緒に楽しめるこの小さなホスピタリティにあふれたホテルで、
ゲストたちがどんな時間を過ごすことになるのか…』

・とんびの鳴声と山犬の遠吠えが短く同時に入る。
 《朝な夕なに》のテーマ音楽盛り上がる。
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1000人合唱
試写のあと、ミューズで音楽打合せ。

いきものたちのざわめきを人の肉声をサンプリングして表現していくという、
いわば当初の「千人合唱プラン」を発展させた案だが、サンプルの音を聴くとかなりイメージがふくらんだ。

これでサウンドデザインもいいスタートをきることができそうだ。
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《朝な夕なに…》その2
ミニラジオドラマシリーズ《朝な夕なに…》
第1回放送台本その2


◎出演
客/松村邦洋
案内係チエ
若女将タミ


●《ホテル・朝な夕なに》の客室

  ・テーマ音楽、部屋の気配に乗り変わる。
   部屋の外の渓流のせせらぎ、小鳥の囀り、
   秋の虫の声なども聞こえている。

チエ 『お飲み物は何がいいですか』

松村 『あの、コーヒーで』

チエ 『トテ馬車の源太さんて、おかしいでしょ…』

松村 『あ、まあ。
あれっすね、ここって馬車に乗ったらいきなり山だから、
すぐ前に湖があるのに、ここはしっかり山だから』

チエ 『奥会津は、こういうとこ多いんですよ(と、コロコロ笑いながら)』

松村 『なんかあれっすね、プチホテルって聞いてたから、
どっからみてもここって旅館だよな(独り言)』

チエ 『あのね、旅館なんです』

松村 『えっ?だって…』

チエ 『あっ、そうじゃなくって。
もともと旅館だったの。あの、ふつう旅館て夜中はサービス
しませんよね。ここはね、夜中でもできるだけお客さまのご注文に
お応えするんだって、若女将さんが東京から帰ってきてから。
それで、《ホテル》ってくっつけたの。
小さいからお客さんの数も少ないしね』

松村 『それって正解っすよ。旅館て、すっごい落ち着くんだけど、
あれだよね、夜になると冷蔵庫の中ぐらいしかなくてね、
腹すいて夜中にコンビニ探して道に迷ったりとか、
いいっすね、そういうのって(過剰にほめる)』

チエ 『(嬉しそうに)ほんとにっ。
あ、松村さん、いま、若女将さんが来ますから』

・廊下を去っていくチエの足音に
 若女将の挨拶が重なる。

松村 『いゃーびっくりしたなぁ』

若女将『あら、びっくりって』

松村 『フツウ、こういとこの若女将とかいうと、あれじゃないですか、
なんつうか、その結構年いって厚塗りしてるっていうか、ねえ。
だって、ほんとに若いから』

若女将『松村さんて、テレビと一緒なんですね』

松村 『何がスカ?』

若女将『よいしょ、ばっかり』

松村 『いや、そんなぁ(勘違いして照れてる)。
あの、さっきの人ですけど…』

若女将『あ、チエ?。従妹なんです(客にはいつもそう言ってある)。
よろしくお願いしますね。松村さんの係ですから』
松村 『カワイイ人っすね。あの、若女将さんも』

若女将『(取り合わずに)松村さんは板前の北村とお知り合いだったんですって?』

松村 『ええ、ミナ、じゃなくて北村さんとはお知り合いです、はい』

若女将『腕によりかけて楽しませてやるんだって張り切ってたから』

松村 『腕によりかけてですか、なんだか、楽しみですねえ…(不安がよぎる)』

若女将『(取り合わずに)ちょっと上まで行くとすごくよく釣れる谷があるし、
湖がよければボートはあの源太さんが乗せてくれるし、
森で森林浴もいいし、それに身体を動かしたければ村中走ればいいし、
もちろんここでのんびりお部屋と露天風呂を往復というのもね…
外にお出かけのときは、わたしかチエちゃんがご案内しますから』

松村 『(ポーッとしながら)いいですねえ、
深い霧に包まれた森の中を、チエさんと一緒にキノコ取り。
あっ、それはぼくの…(一人で受けている)
ここで、しっぽり森林浴でもしたいね、なんて』

若女将『松村さん、松村さん、よっぽど疲れてるのね。
松村さん、とりあえずお風呂いかが?
まずは、さっぱり、ね。
このあたりの温泉は火山が近いからかな、
すっごくポカポカしちゃうんだから』

松村 『(まだ夢心地)ポカポカしてます。ボクポカポカしてますう』

若女将『(やや呆れて)…ちょっとリラックスしに行きたいって、
いきなりリラックスしちゃって。
松村さん、浴衣と丹前はいちばん大きいのにしましたからね、
温泉に入ってから夢見たほうがいいですよぉ(と呼びかける)。
それから、石けんと歯ブラシもここに置きますよぉ(と小さくなる)』

松村 『(ムニャムニャと)石けんだって、歯ブラシだって、ウフフフフ…
(と、わけのわからない喜びにひたりきってる)グフフフフ…』
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「光源」のキーライトが見えない。
「光源」桐野夏生/文藝春秋

「OUT」にしろ「柔らかな頬」にしろ濃密で深い暗部を持つまったくオリジナルな小説世界を構築しながら、なぜこころに届かなかったのか、昨日出たばかりの「光源」を読んでみて思い当たった。
映画制作を題材に、それなりの取材ぶりを随所に発揮し、まぎれもなく1990年代末という時代設定にしておきながら、なぜかこの小説に出てくるのは20年以上も前のような映画屋たちばかりである。だからアメリカで撮影を学んだことになってている撮影監督「有村」をはじめ、登場するすべての人間がみんなどこかずれている。
そしてこの作品もまた、どの人物にも共感を抱けなかった。リーダビリティが極めて高い作品だけにそのことが不思議でならない。
タイトルの「光源」は映像世界で言う照明のこと。なのにこの作品にはその光源のキーライトがどこにも見えないのだ。
とりわけエピローグに俳優高見のエピソードを持ち込んだあざとさには驚いた。
1999年の直木賞作家ではなく1965年あたりの直木賞第1作を読まされている気がした。
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《朝な夕なに…》第1回その1
ミニラジオドラマシリーズ《朝な夕なに…》
第1回放送台本その1


◎出演
客/松村邦洋
だるま便の源太
謎の板前
乗客の母と子



●会津線の車内

・電車の走行音と車内の気配。
弁当を喰う音、缶ビールをぐびぐび飲む音などに、
少し離れた席の親子の会話が。    

子供 『お母さん、あれ、ピロピロだよ、ピロピロ』

母親 『ダメヨ!大きな声だしちゃ、普通に飲んでるでしょ、
ピロピロじゃなくて』

・しょうがなく、ピロピロ飲みに切り替える松村邦洋。
電車、トンネル内を走っている。

松村 『ピロピロ…
あぁ、ダメだ。休まなくちゃ、休まなくちゃ。
(と、ぐびぐび飲みに戻る)』

子供 『ほらね』

母親 『シッ。ほんとね。まだバウバウもやるかな(と小声で)』

松村 『休まなくちゃ、バウ、休まな、バウバウ(と、条件反射)…
つい、気使っちゃうんだよな、オレ』

・電車、トンネルを抜ける。    
ドドーンと風の音が。

子供 『海だよ、お母さん』
母親 『湖でしょ。丸いんだから』

松村 『山だ。山だよ。(とつられながらも弁当を喰い続ける)  
きれいな空気の山と美人の若女将とカワイイ女の子がいて、
飯がうまくて、温泉があって、安くて、アナバで。
アナバ、アナバ…穴場ですよ、なんてったって。
伯父さんが事故ったって、事務所だましたんだよ、
元とるぞ、元』



●《ホテル・朝な夕なに》へと続く山道

・《朝な夕なに》のテーマ音楽、短く。
あたりを満たす秋の山の気配と、
ポクポクと山道をゆくトテ馬車の音が重なる。

天の声『駅前のダルマ便というなんでも屋に寄って
トテ馬車に揺られて来るとのんびり気分が味わえますよ。
と予約の時に教えられた松村は、こうして
馬に曳かれてゆらりゆらりと山道をゆく。
ダルマ便を出たらすぐに山道になったので
ちょっと面食らったが、穴場だからと納得し、
すすきと萩の秋景色を彩る赤トンボの群れに
すっかりくつろいでいるようだ…』

松村 『青い湖を背にして、いきなり始まった山道をのぼると、
あっという間にすすきと萩と赤トンボ。いいっすねぇ、
おじさん』

源太 『ふつうの秋だ。おじさんじゃなくて源太だ。まだ、37だ』

松村 『…すいません。源太さんですか。そうですか。
(小声で)37なら、オジサンだろふつう…』

・ジープが急停車。  
トテ馬車も急停車、馬が興奮している。
どうどうとなだめる源太。
足音が近づいてくる。  

謎の板前『よ、源さん』

源太 『親方』

謎の板前『ちょっとゴメンよ(と、馬車のドアを開ける)。
      久しぶりだな、松』

松村 『ミナ…』


謎の板前『(小声で)みなまで言うな。ちょっと、ワケありでよ。
ここじゃ北村譲治って名だ』

松村 『(つられて小声)南村さんじゃなくて北村さんですか?』

謎の板前『あぁ。          
四日間いられるんだってな、おまえ。ま、ぼちぼち話すよ
(ふつうの声で)じゃ、松村さん、晩飯楽しみにしてください。
源さん、あとでな』
      
・ジープ遠ざかり、トテ馬車がのんびりと動きだす。

源太 『あのホテルはな、お客さんのことな、友達みたいな気分で
過ごしてもらいたいからってな、みんなああやってさんづけ
なんだな、オレはどっちでもいいけどな、あんた、松村さん
ていうんだな。どっかで見たような人だな。
米屋の次男とちと似てるな、ガハハハ(何がおかしいのか)』

松村 『あ、はい、米屋の次男ね…馬車は、いいですね、源太さん。
(小声で独り言)タクシーにすりゃ良かったな、こりゃ。
だけど南村さん、 なんだってこんな山ん中…(深くは考えない)』

源太 『あの、親方になってから飯がうまくなったって言うな、
春の終わりから板場に入ったんだな、お客さんよかったな』

松村 『はぁ…(意味がよくわかってない)』

・馬車の音、秋の山の気配がひときわ高まる。
《朝な夕なに》のテーマ音楽、重なっていく。
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「川の深さは」後半はマンガだが…
「川の深さは」福井晴敏/講談社を読む。

前半のスタイルのままに後半を書けていれば…乱歩賞を落ちたこの第1作のすべてがそこにある。「イージス」で見せた見事なまでの力技の萌芽は見えるものの、後半の書き急ぎはやはりやすっぽい紙芝居に落ちていた。
大沢が激賞したというが、それが「新宿鮫」どまりの彼の限界。目黒もまた妙な評価を書いていたが、的外れ。
惹きつける強力な血は感じられても、どこまでも生硬な若さが強すぎる。
ただ、「イージス」の大化けが、本来の福井自身の資質そのものにあったことは、はっきりと確認させられる。そんな前半だった。星なら、しかし、★★だな。
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「朝な夕なに…」番組宣伝ラジオ60秒
    トコトコと走る電車の走行音にのんびりしたアナウンス。


駅長『駅ー。駅ー。ひなびた田舎の空気のとってもきれいな駅ー。
美人の若女将のいる温泉はこの駅でおりますよぉ』


    咳き込むようなエンジンの音とぼやき声。


源太『ケッ、またあんなこと言ってら。
ぶぁっかじゃねえのか、朝晩二本の電車しかこねえで』


    エンジン音消えて、虫の合唱。
    その虫の声に重なって、谷川のせせらぎ、
    温泉のお湯がサラサラとこぼれていく音など。


若女将『(どこかうっとりとして)温泉の音、聞こえますか?
虫の鳴声、聞こえますか?
谷川のせせらぎ、聞こえますか?
秋のはじめの森の空気、感じますか?』


    板場。包丁でネギを刻む音や大鍋の煮物の音など。


味平『親方、若女将さんが、また…。(ゴツン)痛ッ!』

板長『味平、また指きるぞ。ちったぁ集中してみろ、男だろ』

味平『(小声で)男だからじゃねえか。渋いふりして、こないだの晩に若女将さんと大女将さんまちがって覗いて川落っこったくせ…
(ゴツン)痛ッ!』


    再び温泉のお湯の音と、少しツヤっぽい若女将の鼻歌も。
    《朝な夕なに》のテーマ音楽をバックに、
    温もりのある語り。


語り『その温泉郷は水と空気が底抜けにうまい山間に
ひっそりと建っているという。       
町というか村というか、日に二本の電車がとまる駅で降りたら、
駅前に一軒だけある何でも屋の「だるま便」のおやじに道を訪ね、         
おやじに山道をトコトコと案内してもらうといい。   
温泉宿には、美人の若女将一家と、なぞの渋い板前、その弟子の味平と名乗る若い料理人、ちょっとワケありの若い娘とが働いているという。
訪れた人は、この温泉郷で疲れた時間をすっかりいやされて、
みんな満ち足りた想いを抱いて帰っていくという。
水の惑星の山あいのどこかにひっそりとたたずむ温泉郷で旅館を営むある若女将とその周囲の人たちがくりひろげるハートウォームなお話、《朝な夕なに》。
水の惑星に登場する泳ぐ赤ちゃんは、こんな村で生まれたという。   

疲れたり、ちょっと休みたいなと思ったりしたら、
この《朝な夕なに》をのぞいてほしい。きっと元気が出るかもしれない』
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その温泉郷をめぐる登場人物
ミニ・ラジオドラマ「朝な夕なに…」の登場人物と背景


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山間の隠れ里のような場所にあるこの温泉郷には、昔から知る人ぞ知る場所で、
口コミで評判を伝え聞いた人たちが多数訪れるといいます。
ときに、どこで耳にしたのか、若い学生やOLなどがやってくることもありますが、
ヤマンバもガングロもいないのどかさだけが取り柄のような温泉郷で一日を過ごすと、
そそくさと振り返ることもなく帰っていくのだとか。
そんなわけで、あまり人に知られず、隠れた温泉郷として人気があるようです。

旅館は、渓流に沿って建てられ、岩をくりぬいた露天風呂と、こじんまりとした
離れ、囲炉裏のある食堂兼憩いの間などで構成されています。
温泉はやわらかく澄んでいて、お湯に入るとみんな若く美しく見える気がするので、
都会暮らしに疲れたと思い込んでいる人たちに好評だとか。
近くには、渓流釣りのポイント、ピクニックに最適な牧場、
山菜や茸とりを楽しめる山、森林浴にもってこいの森などもあり、人によっては
とてもくつろぐのだといいます。

旅館は、犬好きの若女将タミ。
板場にはちょっと渋目でワケありの腕の良い板前、若くキリッとしたその弟子・味平。
失恋の痛手から立直るためにしばらくの間手伝いがてら逗留している
北海道出身の21歳の娘・チエの四人でつつましくしかし毎日楽しく営まれているらしい。
若女将タミの中学生の時の同級生・星くんは役場の観光課に勤め、影に日向に
タミの世話をやいています。
渋い謎の板前は、若女将タミを憎からず思っており、この役場の星くんのことが気になっている。
とくに「タミ」「星くーん」といつまでも中学生気分で名を呼びあっているのが嫌いらしい。
旅館のすぐ近くには伊勢屋という食堂があり、その店主は写真好きの雪兄さんと呼ばれ、
村会議員もつとめているのだとか。雪兄は、写真の腕は村一番だが、料理の方は最近興味をなくしている。弁当を頼まれると、草深い山奥なのにとりあえずエビフライを入れておけばいいと、
かたくななところが玉にキズだと村の古老たちは日なたぼっこをしながら噂している。
渓流の上の方にはまた別な村があり、その村ではとてもうまいお酒もつくられているらしい。
また、カネマンという民宿兼食堂があり、そこには客を客とも思わぬ
川柳とちょっとエッチな夜話ずきのおやじがいます。
おやじは渓流釣りの名人で、隣村の若女将タミの祖母とは、むかしちよっとした因縁もあったらしい。

この温泉には車でくる人が大半ですが、近くの町には小さな鉄道駅もあります。
その駅には気のいい駅長と二人の助役がいて親切に応対してくれるといいます。
また、駅の前には「だるま便」という名をもつ便利屋があり、
自分ではまだ青年のつもりでいる源太という中年男が経営しています。
店は丸太づくりで、日用品や食品 酒なども扱う、コンビニストアでもあります。
「だるま便」の名は、注文に応じて主人の源太が自らオートバイで配達することから
つけたのだといいますが、なぜ「だるま」なのかは 秘して語りません。
温泉旅館にも週に一度は配達にでかける土地の情報通でもあるのだとか。

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S・キング「骨の袋」
「骨の袋」S・キング/白石朗訳/新潮社 上下巻

やっと「骨の袋」を読み終わった。
あいだにビデオをずいぶん観たこともあったが、
読み急ぐのを拒むよう世界であり文体だった。
キングは、しかし相変わらず豊饒だった。

勘弁してもらいたいな、というような書き込み過ぎの場面も
やはり相変わらずだったが、キングらしい「愛」の世界がきらびやかで、そのまま最後まで引っ張った力技には恐れ入りました。

それにしても「スタンド」はいつ訳されるのか。
来年あたりに訳されそうな最高傑作と世評の高い短編集「Hearts in Atlantis」もはやく読みたい。

秋のはじめにふさわしい一冊だったような気がする。
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絵コンテ
昼前、オフィスで絵コンテ打合せ。
15カット頼んだ。
どうせだから、かなりリアルなイメージを話す。

川田プロデューサー同席。メガネのI君の話題で盛り上がる。いわば二人のガス抜き。

今日段階で実施設計図書A3サイズ215ページ。おそれいった。
週明け月曜を最終〆切にしたとのこと。


風がずいぶん乾いてきている。
久しぶりにきれいな夕焼けだった。
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平泳ぎとブレスト
●しかし、田島は「めっちゃ、悔しい」を連発する。「平泳ぎで、もっと粘ればよかったですね。クロチコワの33秒台は本当にすごい記録。私の記録も当分破られない日本記録だと思いますけど。でもなあ」とまた無念を口にする。「金がよかったなあ。せっかくのチャンスだったのに……。これにずっとかけてきたから、本当に悔しい」

●彼女の話を取材エリアで聞きながら、不思議な感覚にとらわれていた。メモに記された文字と、彼女がまとう空気の感覚が一致しないのだ。悔しさを、これほど明るい表情で語れるものなのか。


朝日新聞の朝刊で編集委員の西村欣也がこんなことを書いていた。
そうなのだ、と思う。
ニュースの世界では活字のもつ意味が急速に消失していることを実感させられる。
朝日には珍しい、ウエットなスポーツ記事を書く西村欣也にして、抱いた感慨はじつはさらに奥深いことを
彼自身の記事がさらけだしている。
たとえば引用の冒頭にある田島の「平泳ぎで」の部分は「ブレストで」と彼女はしやべっている。
なぜ「ブレスト」を「平泳ぎ」と書かなくてはならなかったのか。
西村自身の表現スタイルなのか、朝日新聞社の「平易さ信仰」へのおもねりなのかはわからないが、
この一語の和訳から欠落してしまう最大の背景情報があることをぼくたちは見失うことになる。
それは田島が子ども時代からの水泳選手であったという背景と、日常的にワールドクラスで己の世界を構築してきたという二つのとても重要なデータである。
ぼくの通っていた区立田園調布中学でさえそのむかしから水泳部で「平泳ぎ」は「ブレスト」だった。
加えて、田島は世界記録を連発し、競技相手は世界レベルである。意識のターゲットはとも言える。
「ブレスト」ではわかりにくい人も多いだろうと老婆心を発揮し平易にしたつもりが、
田島という19歳のすぐれて個性的な存在のイメージがどこまでも平準化されていく。

西村編集委員は、「メモに記された文字と、彼女がまとう空気の感覚が一致しないのだ」と書く。
ニュースの世界では、活字の力はすでにその程度だと思う。それが時代だ。
ただ「ブレスト(平泳ぎ)」と書くていどのマナーはわきまえるべきだなと思った。
バラエティだと画面の半分くらい使ってスーパーで強調するやり方を、多くの映像屋やテレビ畑は
否定しようとするが、センスはともかく無意識にたどり着いた現時点では最良の表現手法であり、
滅びつつあるとはいえ、活字メディアはいますこし謙虚に学ぶべきではないか。

文字と紙への印刷というメディアはデータ伝達にはすでにまったく無力になっている。最大の要因は扱えるデータ量が圧倒的に少ないこと。
文が生き残るのは、広い意味でのエンタテインメント意外には無意味である。つまりデータ化が不可能な部分だけが残る。
報道における文字伝達というのは完全に死んでるな、そう思った。

戦争をのぞけば、
オリンピックのようなイベントは、そのことを確認するのに最適なのかもしれない。
2000年というのも、またいいタイミングである。

オリンピックをきちんと見る、という1964年の東京オリンピック以来の体験をしているが、
毎日がとてもスリリングな気がする。大半は時代のせいだが。
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賢明さん、いまどこにいますか?
オフィスで91年のレガシー東北ロケの演出ノートを見つけた。
ちょうど今ごろの時期だった。初秋の9月の二週間。
湯布院で買った罫のない無地の厚手のノートに、大半が賢明さんの字とポンチ絵で、ときどきおれの読みにくい殴り書きが混じっているやつ。東北のあちこちの温泉旅館のスタンプなども押されていて、一切教山の浄土平からスタートした「風と走る」のほぼ全カットが残っていた。
最後は秋田の入道岬の先っぽの断崖にレガシー突っ込んで、
台風19号の雨と風の中で日本海に向ってマント翻させて
カンテラをふらせたあの午後のことも書かれてた。

読み終わって、
ジンときた。
賢明さんが消えてから8年過ぎた。

特徴のある字とへたくそな絵を眺めながら、
高校1年のときから別れるまでの彼の笑顔を思い返した。

いなくなるひと月前、「風のササヤンカ村」を仕上げ終わって、
二人で小石川のオフィスの編集ルームで見直したとき、
「もう大丈夫だな」とすこし寂しそうに笑っていた。

ちっとも大丈夫じゃねえよ。
全然だめだよ。
16歳の九段高校の屋上の社研時代と何にも変わらねえよ。
迷いっぱなしだよ。
へらへらしながら、不安でつぶされそうだよ。
いまさら仕事放り出して温泉ヤクザにもなれねえよ。

どこ行っちゃったんだか。
駆け落ちなんかしやがって。
このまま進んでっていいのかよ。
もう引っ返せねえぞ。
もう出てこいよ。

賢明さんは、高校の頃からなぜかリューマチが持病で
デモで放水されたあとはよく痛がっていたからおれがさすってやった。
痛いのに効くかなというから温泉に泊まる企画を心がけて
あちこちのプロデューサーに「何で?」って不審がられながら
演出プランに温泉の近くを強引に入れていった。

湯治部というのはもともとあんたが言い出したことじゃねえか。
あんたと温泉につかりながらこのまま人生暮れていければ最高だって、あんまり嬉しそうだから、おれもいつのまにか温泉好きになったんだよ。

おれはほんとは風呂が好きじゃないよ、いまでも。
お湯にちょっとつかってるとすぐにぼーっとするからな。
だからスタッフからは、温泉に入る割には洗いもしないで
すぐに上がるね、なんて皮肉られてるんだよ。
「まあな」と笑って応えているんだよ。

いまじゃすっかり温泉好きのディレクターだよ。
こわもてごまかせるし、とぼけてて受けもいいからな。
湯治部の名前も全世界に公開したよ。日本語だけど。
「TOJIBU.COM」もとったぞ。


あんたみつけたらまたやるんだよ。
社名は「TOJIBU.COM」。
温泉ヤクザのなりそこないらしくていいだろ?

辻は経営だのなんだのの単行本書きまくってるし、
横江はあいかわらず丸紅だのBSだので先生扱いでやにさがってるし、
日比野はオフィスツーワンでタケシだの石原慎太郎だの相手に
文化好きのプロデューサーごっこにかまけてるし…


みんなつまらねえんだよ。


賢明さん、出てこいよ。
「TOJIBU.COM」やろうよ。
好きな温泉毎日いれてやるから、
台本も企画もぜんぶおれが書くから、
「おもしろいな」って言ってくれるだけでいいから
またやろうよ。
練鑑始まって以来と教官におだてられたIQ使ってさ
おれのこと「大丈夫だ」って言ってくれよ。

なんだかまとまっちゃいそうなんだよ。
このまま順調にいっちゃいそうなんだよ。

いっしょうけんめいパソコンに取り組んで
なんとかネットワーク使えるようにしたのは
いつかあんたに届かないか、と思ったからだ。

こうしてウエブ遊びを続けていれば
いつかどこかであんたが見て、
ぽつんとメールをくれるかも知れない、
そう思ったからだ。



きょうは夕方から蒲田はすげえ嵐だよ。
5時間も雷がなりつづけてる。
そのせいかな、
ずっとためていたことを書いたよ。賢明さん。
なんだか、もう呼びかけてもいいような気がしたんだよ。




今夜は、宇崎の「夜霧のブルース」をかけるよ。
原稿につまると二人でよくこいつを聴いたよな。
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田島と田村。地雷はあるかな。
競泳で自己の記録を秒単位で塗り替えるだけで、スゴイのに田島は3秒以上更新した。それでもブレストについてしきりに悔やんでみせた。さらに競り負けたその相手を讚え、自らの記録は国内でしばらく破られることはないだろうと宣し、もうひとたび、口惜しい!と言ってのけた。
みごとなビジュアルぶりである。こういうときの日本人はぶすっとするか泣くかが定番なのに、質問するバカアナウンサーに比べてとても怜悧かつ熱狂的だった。いいなあ田島。はじめて見たけど、じつにいい。
コンピュータグラフィックスの世界や映画の世界に、この田島のような若い連中が出始めているが、サッカーの中田などと同様、楽しませてくれる。
にしてもどこのアナか知らんが、日本のスポーツジャーナリズムはほんとうに最低だな。
水泳の殿堂、オーストラリアで本気で金間違いなしと思っていたのだろうか。
なぜ自己記録を3秒もオーバーしたことに胸打たれないのか。とても不思議なニュアンスの伝わる実況であり、インタビューだった。スポーツぐらいは国粋じゃなくて国際主義でいってもらいたい。
表彰式でずっこけた田島は、どこまでもビジュアル的で、外さない。涼しい素材だな、マジで思った。

ひきつづきあの田村の準決勝までを見た。
しかしこいつはほんとうに醜いな。女子柔道は判定基準に美醜を設けるべきである。
無自覚で傲慢で、そばにいたら殴りたくなるような無残な顏と体型の田村に、赤い半天をきた大応援団が気の狂ったような応援を続けているのがなお不気味だった。昨日のレインボーカラーのコスチュームといい、今夜の中華街のシュウマイ売りのような格好といい、日本はカジュアルということを本気で考えてみる時期に来てると思う。
田村を見るたびに、前によく原宿で見かけた女装おやじを思い出す。リボンのこだわりと表情がそっくりだ。
こんなのが応援し、こんなのがメダルをとるのかと思うと、田島の時間も半ば醒める。

ビジュアルは世界言語である。
残された世界言語はビジュアルしかない、そうも言える。

オリンピックというのは
そのことを認識しあうまことに格好なステージだと思う。
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数百人のゲイ集団?
シドニーではレインボーカラーはゲイのシンボルカラーだという記事を読んだ。
とすれば、昨夜のニッポンてるてる坊主集団の行進のときに大観衆がシーンとなっていた理由も納得できる。
ニッポンは毎回、ナンセンスな色彩とデザインで失笑を買い続けたが、ここに極まった感あり。ここまでやれば誰も文句はつけねえだろうな。あきれはてて。
にしてもなんで森英恵だよ。ったく。

久しぶりにオフィスのパソコンを使ったが、G3はともかく8600のかったらるさには恐れ入った。半年ぶりくらいで使うが、遅い!遅い!
こんなもので毎日仕事をしていたのかと思うとがく然とする。
まったくドッグイヤーどころじゃないな。
捨てちゃえ、と渡辺君に伝える。
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横浜チャーハン弁当の朝
昼少し前に起き、シャワーを浴びて、
横浜チャーハン弁当を買ってきて朝飯にする。湿度がすごい。汗がふきだしてくる。
これからオフィスに行き、久しぶりに整理。

いつになったら秋になるのかね。
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返事。
書き込んだら返事が届いた。
当たり前のことだが、非常に新鮮だった。

たくさんの人が思い思いの場所で
こういう気分を抱いているのだとすると、
世の中は捨てたものじゃないな、と感じた。
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その夜の月
秋葉原漫遊とIDの佐藤君へのビタミンC差し入れから戻った
渡辺君が電話で「月が月が…」とわめくから、
「どうした、月が青いか?」と聞いたら、「すごいきれいです」と。
開幕式の中継を見ていたが、しかたないので外に出る。
満月から二日ほど過ぎてややいびつになった月が、
なるほど冴え冴えと輝いていた。空は濃紺。
外はまだ真夏のように湿っていてむんむんしているのに、
月だけは秋の輝きである。東京も悪くない。
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水と炎にはまいった。
シドニーの開幕式の聖火を水の中でという着想にぶっ飛んだ。
世界は、派手だ。
それと北朝鮮と韓国の選手入場を両国ミックスで行進させ、
その行進に11万人の観客すべてがスタンディングオベーションで答えたのにも驚いた。いや素直に胸打たれた。
2002年のワールドカップ、こんな観客なら日本で開いても恥かかずずにすむだろう。
「ミレニアムアスリート」キャッチフレーズも気宇壮大で呆れた。

シドニー、なかなか見ごたえあり。
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アリーマイラブの「同好会」ただいま3人。
水の惑星のメーリングに「アリーマイラブ」のことを書いたら
意外なことに電通の西田さんも「ワシも実は…」との知らせがあり、そのやりとりを見ていた川田さんの奥さんも「実は…」となって、急きょメーリング上にバーチャル同好会を結成。
同好会とはいいながら何も活動はなく、仕事のメーリングの片隅をちょっと使って、見たとか見ないとか書く程度だろうが、おかしな雲行きである。
ここ数日は仕上げスタッフが徹夜続きだけに、ちとすまないなとは思った。
「アリー」のコレクターズBOXのDVD版を入手しようとあちこちウェブチェックしたがどうやら売り切れたらしい。
次の再刊待ちとなった。
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はじめて未知の人のBBSに書き込んでみる。照れた。
よく訪ねるホームページがある。
いつからだったか、そのページの「書きたいときに書く」という備忘録のようなものを愛読していた。
ものの受け止め方、切り込み方がとても陰影に富んでいて、疲れた夜などにやりとさせられ、元気づけられることが多かった。

きょうはめずらしく昼間、訪ねてみたら、「8888」という番号だった。ひとつ願をかけていることがあり、この8並びがおれには天啓のように映った。神頼みとはそういうものだ。

記憶だけではなく記録にとどめておきたくなり、そのページのBBSに書き込んできた。仕事関係以外で他人のBBSに書くというのはまったくはじめての体験だったから、なんだかひどく焦った。

留守に他人の家にあがりこみ、勝手に手紙を書いてきたようで
まことに奇妙な照れくささがのこった。
しかし、気が開けたのも事実。

世界というのは、こうして変わっていくのだな、
そんなふうに小学生のような感想を持った。
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半チャーハンとネオジャパネスク
散歩がてら大井町の鹿島神社に寄り、六本木へ。
TSPの新しいHD編集システムのお披露目。
スーツ姿の三上さんと山口さんの案内で見せてもらう。
帰りがけに撮影部の前山さん、佐藤さんとばったり。
こんどの台風撮影あたりから使いたいと考えている。

そのあと千駄ケ谷のIDに。
腹が空いていたので「半チャーハン+博多風東京ラーメン」セットという不思議な食い物を頼む。うまかったので満足。

IDで黙々と自分の分の原稿校正。
提出書類はA3サイズで全200ページ近くなるとのこと。
はじめたときにサッカーの予選が始まり、終わったころに結果が出ていた。

とりあえず、これで当面の責任は終了。
家に帰ってNHKの録画で全過程をいま見終わったところ。
しかしこの中継のアナウンサーはほんともののバカである。
なにかひどく恥ずかしい気分で中継を聞いていた。
試合はきわめてビビッドに展開。
4年前のあの臆病な戦術はかけらもなく、
城もカズもゴンもフィールドにいないゲームは
まことにさわやかだった。痛快である。


江戸前のゲームというと変だが、
勝っても負けてもどちらでも良かったような
田舎臭さのない内容に思えた。

ここでいう江戸前と田舎臭さは、メタファである。
出身地のことではない。
同じメタファで、関西というのもあるかな。

ストイックでピュアでクレバーでかつフィジカルでないと
サッカーはまったく勝負にならないことを
あの若いチームは教えてくれる。
別に言えば、バカでは成り立たないということ。
城やカズやゴンにインタビューのカメラを回す気にはなれないが
勝ち負けは別にオリンピック代表の何人かには
マイクを向けカメラを回して自由に語らせてみたいと思う。
退屈させられずにキューを出せる気がする。
彼らが日本に戻らずに、南米や欧米に直行し、彼の地で闘ってくれたらと願う。
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ER5thのvol7とvol8
ER5thの第7話8話を観る。よくこれだけ複雑なストーリーをもつれさせずに展開するものだ。つくづく感心させられる。
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団員はKey Limeの新ibookに決定
メールニュースで新ibookが発表されていた。
団員渡辺君用のモバイルを迷っていたが、こいつに決定。
FireWireがついてiMovie2がついてHD20ギガでメモリー128Mで
AirPortつけて周波数466mhzだったら俺のPowerBook1999より
ぜんぜんよくなった!ちよっと口惜しいが、ま、渡辺の方が
仕事量多いからよしとする。
メモリーだけは俺の方が上だな。
Key Limeカラーはアップルストアだけの販売なので
そいつを申し込んだ。
こんど借りよう。

IBMのパワーPC750実装らしい。たまげたもんだ。
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あいやっ! 暫!
のんびりと昼過ぎに起きて寝ぼけ眼でメールをチェックしたら、
凸版から企画はいつできるのかと。
まったく忘却していた。
あせって資料を探しだし、大慌てで渡辺君に画像キャプチャーをしてもらい、メールで送ってもらっては貼り込むことを繰り返し、
なんとかまとめた。それにしても焦った。
したがって企画書のタイトルを
「あいやっ!暫!」とした。
通るか、これで。
でももう送ってしまった。
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ER新シリーズを観る
ERの新作、第1話から第6話まで観た。
あいかわらず目が離せないストーリー展開である。
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この星は、涙の惑星…
プレショーのバナーは90cm×450cm。
それが10枚並ぶらしい。一枚一行のヘッドを書いた。
けっこう壮観だろうな。
「その星は」と「この星は」をテレコで並べたいと考えている。
どんなもんだか。

+++++++++++++++++++++++++++++
その星は水が満ちている。
この星は、雨の惑星…
その星は風が満ちている。
この星は、川の惑星…
その星は色が満ちている。
この星は、海の惑星…
その星は光が満ちている。
この星は、雪の惑星…
その星はいのちが満ちている。
この星は、涙の惑星…
+++++++++++++++++++++++++++++
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「アリー」と「カリスマ」
「アリー・マイラブ2」のVOL3、第5話6話を観る。5話の展開はとりわけ秀逸だった。ツイストDシャウトをあれほど美しく使ったドラマをはじめて観た気がする。喜怒哀楽のバランスが極めて巧妙に塩梅されていて、かつ喜と楽を増量してあるという、映画学校のお手本のような仕上げになっている。すべての布石が巧緻なアラベスクとなっているので、気を抜く瞬間がまったくない。見逃したシーンの数だけ、観客は混乱の度合いを深めることになる。CMのブレイクタイムがまことに効果的に配されているのがよくわかる。

続けて国産の「カリスマ」を観た。
タルコフスキーの猿真似のような絵づくりで、猿真似の分だけ上滑りが見苦しい。
役所はなぜ、こんなシナリオに出演するのか、まったくダボハゼのようである。
どこまでこの馬鹿げた思わせぶりがつづくのか最後までつきあったが、徹底して思わせぶりのままで終わった。
撮影がなかなかだっただけに、ギャップの大きさに暗澹とした感情が残る。
映像の美しさというのは、何なのだろう。

比較するようなことではないが、
たまたま借りた日が同じだった悲劇である。
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秋桜格闘記
http://www.photohighway.co.jp/AlbumPage.asp?m=0key=60587un=7047


リンクをクリックの方が確実
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鉄鍋餃子を食って考えた
二週間ぶりにオフ。
「アリーマイラブ」の2ndシリーズを2話分観た。
新登場の女弁護士のキャラクター、波乱を予感させて秀逸。
このドラマの成功ポイントは数あるが、
なかでも最大のものが「男女共用トイレルーム」。
この共用スペースの存在が、ドラマツルギーに深みと奥行きを
与えている。アイディアといえばそれまでだが、
時代の深層に潜む潮流をよく嗅ぎつけているな、と思う。
一見、奇抜でありながら、文法に忠実なこういう芸当を
日本のドラマづくりは絶対に出来ない。
理由はただひとつ。おかしな言い方だが、
教養が、ないのだ。俺の国は。
このことを書くと哀しくなるから、やめよう。

昼過ぎまでカバのように眠って、
シャワーを浴び、くわえタバコとサンダル履きで鉄鍋餃子を
食いに出る。店につくまでに三本のタバコを道路に投げ捨てた。
通り掛かりの若い女に顏をしかめられたが、ここは蒲田なので
久しぶりに育った街の空気に合わせたくなり、
「店でも紹介してやろうか」と言うと走って逃げていった。
どうもJTの人を食ったような緒方の「ワタシは吸い殻を捨てない」
とかいうCM以来、タバコを投げ捨てたくなって困る。
若い女の子には悪いことをしたが、今日は完全にオフモードだったから…

さいきん地元で気に入っている店が二軒ある。
一軒は鉄鍋餃子屋。もう一軒は焼き肉屋。
かたや中国人の店員たちが、かたや台湾人の店員たちが、
ウーロン茶のCMのような含羞のあるほほ笑みを浮かべて
サービスをしてくれる、バカみたいに安い店だ。
この二つの店では、俺は従業員の顏を見ながら注文をし
ありがとうという。
他の日本人のお兄ちゃんやお姉ちゃんのいる店では、
できるだけ顏を合わせないように下を向いて注文をし
そそくさと食べ終えて店を出ることにしている。
顏を見ると殴りつけたくなるから。
俺はむかしこの街で生きていたころのようには若くないので顏を見ないのだ。歳をとると、むかしは怖くなかった自分が、ときどき怖くなることに気づかされる。ギヤばっかりふえちゃうんだよ。


今日も鉄鍋餃子はうまく、店員の笑顔は気持ち良かった。

自分が加速度的に異邦人になっていくのがちょっと不安だが、
ま、俺は時代と寝たのだから、多くは望むまい。

仕事から完全に離れた状態で盛り場を歩かないこと。
これが本日の教訓である。
仕事というのがいかに自分をセーブしてくれているのか
よくわかった気がした。
風は甘く、空は高かった。
明日からはきっと秋風が吹くだろう。
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釜本を野放しにするな。
昼過ぎまで寝た。スポーツ新聞を読んでいたら、またあのバカ釜本が「オリンピックで成績が悪ければトルシエ解任もある」と発表していた。
こいつに投票したバカがいたことはさておいて、釜本はなぜ国会議員続けながら、トルシエ問題であんな発言を続けることが許されるのか。スポーツジャーナリズムはどうしてこんな発言を、おうむ返しのように報じて自己嫌悪に陥らないのか、キテレツである。
サッカーはいうまでもなくヨーロッパの「教養」である。
見よう見まねの猿のダンスが、中田のヨーロッパ行と、欧米屈指のロゴスの国フランスの監督の指導をミックスしつつ受け入れることで、釜本の時代にも、カズやゴンの時代にも決して到達できなかった世界の扉にやっと手がかかった。それが2000年9月のありのままの日本サッカーじやねえか。
つまり、やっと土俵にたどりつけたわけだろう。
それがどうしてメダルなんだ?
どう考えたらそんなふうに夜郎自大になれるんだ?
勝つか負けるかではなく、闘ってもいいんだ、やっと
そのレベルに到達したことをなぜ率直に認め楽しめないのか。

あのオリンピック代表というのは釜本の小遣いでつくったのか?
読売の渡辺と日テレの氏家のようにアジアの成り上がり丸だしでいいのか?

おれはフランスが嫌いだ。
ドゴール空港の税関の態度が不愉快だ。
撮影しながら何度歩道の犬の糞を踏まされたか。
ホテルのいつまでたっても熱くならないシャワーに何度きれかかったことか。
パンとカフェオレだけの朝食にどれだけうんざりしたことか。
スノッブ丸出しの「中華思想」にずっと食傷されられてきた。
フランスはだから大嫌いだ。

しかし、トルシエの2年間のドキュメンタリーと、
彼の発言の詳細をバカなスポーツ新聞を通して2年読み続けた経験は、トルシエがこれまでの指導者には絶対に見られなかった
「ロゴス」を持っていることを痛感させてくれた。
この国には絶対に生まれず、口惜しいことに欧米には厳然として
存在している「ロゴス」。
嫌いだがフランスは世界一の「ロゴス」のお国柄。

豊かさを背景に肉体能力だけは欧米にひけをとらなくなった
この日本のアスリートにもっとも欠けている「ロゴス」が
注入されることで、化学変化が引き起こされることは、
この2年間の事実が証明している。

いまになって、である。
ここまできてである。
化学変化の最後の瞬間を目前にして、
目先の勝敗を問うことしかできない国会議員兼サッカー屋釜本の
シドニーへの渡航費用と滞在費用を誰が出したのか?
なぜ日本の糞ジャーナリズムは「誰がこうおっしゃいました」という小学生の作文のような記事しか書けないのか?
釜本の発言と、その発言をそのまま記事にするジャーナリズムは、
国の毀誉褒貶があるとすれば、国辱ものである。

日本から「関西」という地域区分を除外すべきではないのか。

ノックも釜本も引っ越しのサカイもみんないらない。
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まだ見ぬ山の花を尋ねん
吉野山こぞのしほりのみちかへてまだ見ぬ山の花を尋ねん


               新古今集 西行法師より


水の惑星の紅葉ロケでおれたちはどんな「まだ見ぬ花」に出会えるのか。
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しおりは、帰路の道しるべ、なるほど
「栞とは枝折とも書き、山路などで木の枝を折りかけて帰路のしるべとすること…」銀座香十「香道の栞」から

秋用の香を 香十でまとめ買いしたときに、ついでに買った和綴じの二分冊の冊子に載っていた。
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アリーmy Love2やっと借りた!
気鬱になったらこれを観ると、ビタミン剤代わりの
「アリーマイラブ」の2ndシリーズの1と2を借りてきた。
明日は仕事をやめて、のんびりビデオと決めた。
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Slavaの[Over The Rainbow]を聴きながら
撮影中のBGMはSlavaの「Somwhere」POCH1787の
2曲目[Over The Rainbow]

いま気づいたが、「水の惑星」のゾーンは「虹の大地」。
これはビッタリだな。
撮影報告書を書きながら、そう思った。
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水底の都市ふたたび
昨夜から日本中で大雨。
しかし、ねばらずによかった。
コスモス1カットで撤退。正解だった。
起きてみると東京は水底のように暑い。
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奇妙だったこと
コスモス、撮了。
明日に予定していた只見川を中止し、帰京。

あわやの大惨事になりかけた原因不明のカメラ転倒で
川田プロデューサーが打撲ですんだことは幸いだった。
こんどの初秋ロケにはいろいろ奇妙なことが多すぎるので
只見川方面の撮影はあきらめようと思う。
気分を変えて、まったく異なる地域をあたることに決めた。

柳津の旅館の部屋番号錯覚のエピソード…/照明技師
誰もいないのに開いて閉じた自動ドア…/カメラマン
川に面しているのに川風の入らない窓…/メインスタッフ全員
きしみ続ける籐イス…/カメラマン
撮影予定地だけが倒れていた稲穂…
合流地点で合流しなかった演出部…
刈り取られそこなったコスモスの群生…
滝の音より大きな、池のコイがはねる音…
枯れていない花だけが落ちたこと…/プロデューサー
撮影地のコスモスを宿に持ち帰ったら一時間で
カラカラにひからびてしまったこと…/演出部

ひとつひとつにはきっとすべて
あははと笑えるような理由があるのだろうが、
撮影期間が長いと、ちょっとしたことにも
ゲンをかつぎたくなるので、
只見川方面をすっぱりとやめることにした。

女々しい話しではあるが、
ここ数日を振り返ると、ちょっとな。
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濃霧で撮影中止
濃霧発生のため早朝六時から午後まで磐梯山の麓のコスモス草原で二十人でテント待機。
結局、本日の撮影は中止。
明日午前中に再挑戦。
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コスモス騒動
あやうく丸裸にされそうになったコスモスについての顛末を「水の惑星」のメーリングに送ったもの。

その宿は宝の山、磐梯山のすぐ麓、夏の盛りにはひまわりが咲きほこり、
秋にかけてコスモスが乱れ咲く牧草地から、
ほんの少し林を分け入ったところにひっそりと建っています。
押立温泉、住吉館。これが初秋の水の惑星撮影チームが
エンディング用のコスモスを撮影するために泊まる宿。
押立と書いて「おったて」と読むとか。
早朝、東京を発って磐梯のサービスエリアで合流し、
柳津の只見川流域を撮影する予定でしたが、
昨日までの雨と風の影響で田の稲穂がすべて倒れてしまい、
ロケハンで想定した「大河と稔り」シーンとしては成立しそうもないので、中止を決定。
猪苗代に引き返し、明朝撮影を予定しているコスモスの群生地のチェックに向かいました。

9月1日にメインスタッフでロケハンしたときには70%ほどの開花で、
そこから7日本番というスケジュールを設定したのですが、
ここ数日の体温以上の暑さとその直後の冷え込みのせいか、予想以上に
成育が早まったようで、花の色はいいのですが、茎や葉の部分の緑が
やや色あせてました。
カメラ前のコスモスを勢いの良いものにするために、町役場に申請し、
ほかの場所のコスモスを少し移植することに決定。
制作スタッフは、いまその準備で町に植木道具を仕入れに行ってます。
先日、高見澤さんから報告があったように、いわゆるミンミン蝉がしきりに鳴いています。
ミンミン蝉の鳴き声を聞きながらトンボがのんびりと飛んでいる。東京や関東の晩夏とは、
またちがった趣がありました。

明朝の撮影プランを検討中のスタッフの目のはしに一台のトラクターが
登場。いきなり目の前のコスモスを刈りはじめたので、ぼくたちは一瞬
石になりました。小間あって気を取り戻した制作スタッフがコスモス畑を迂回して
トラクターに駆け寄って尋ねたところ、
今日はひまだったから刈り入れでもしようとやってきたという話。
町の方に申請書を提出し、撮影がすむまでコスモスの刈り取りを
待ってもらうようにしていたのですが、仕事熱心な職員が自発的に刈り取りを
すませようとしたらしい…

いやほんとうにあせりました。
もし、柳津の稲穂が倒れていなかったら、撮影チームはまっすぐ柳津の
現場に向かい、夕方まで撮影し、すっかり満足して押立温泉に投宿、
磐梯山の産直温泉につかり鋭気を養って早寝、翌朝六時にコスモスの草原に向かい、
そこで裸になったコスモス畑と対面、となったわけです。
思い返すたびに冷や汗が出ます。

あんまり冷や汗が出るので、露天風呂に行ったのですが、
ここはみごとだった。
山の斜面につくってあって、ブナ林に囲まれた岩風呂。
ちよっと想像してください。山の斜面の露天風呂で、
あたり一帯はブナ林のあざやかな緑におおわれている。
その梢のあいだから初秋の少し低くなった太陽が光をこぼしている。
水面には緑が映りこんでゆらゆらと揺れている。
こういう雄大な露天風呂にははじめてお目にかかった気がします。
活火山磐梯山のすぐ麓の水源林の中の露天風呂。

大昔から、このあたりに人が住みつき、暮らしてきたことの理由が
なんとなくわかる気がしました。
磐梯山が、あるいは噴火するのかも知れませんが、
そうなっても人はまたここで暮らしていくのだろうな、
そんなふうに思えました。

宝の山、磐梯山の山麓に咲く、20世紀最後のコスモス。
明朝の撮影が楽しみです。

仕事熱心な職員の方が、明日はトラクターではなく
別な方面にその熱意が向かわれんことを、
みなさんもお祈りくださいね。

外は、虫の声が高くなってきました。
明日に備えて、また温泉につかってまいります。
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うまいまぐろ丼をおごってもらった
打合せのインターバルに川田Pのおごりで電通テックのすぐそばにある「すずき」にまぐろ丼を食べに行った。電通の西田さん、後藤さんも一緒。こんな近くにこんなうまいまぐろ丼を食べさせる店があるなんて…というくらいにうまかった。
づけになっていてゴマをまぶしてあり、この白ゴマがすごく効いている。まぐろ丼は三崎のまぐろ屋がいちばんうまいと思っていたが、おどろいた。
渡辺が食べていた西京焼きもうまそうだったな…

うまいしやすいし、さすがは築地の昼である。
その後の打合せは、したがって大快調。
快調すぎて余計なことまで引き受けさせられたような気もするが、
ま、勢いである。


これからは定例会議にもしっかり出ようと思った。
元祖れんが屋の牡蛎フライもそろそろだしな。
勤勉は三文の徳であるな。

しかし川田Pは、いつなんどきでも大盛りを注文する。
会津若松で懐石弁当の大盛りを頼んだこともあった。

ストレスが過食になるのかと心配したこともあったが、
仕事の波とは無関係な、単なる大食漢のようである。

心配して損をしたな。
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MIKE OLDFIELDのSentinel
5時に起きた。二時間、シナリオ第二稿のタイム割りを考える。
「多感なり」の負けのショックはひとねむりで消えた。
われながらこらえしょうがない。

BGMは「boyage」の6曲目B-TRIBEのYou Wont See Mee Cryと
7曲目のMIKE OLDFIELDのSentinelをリピートで。
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「多感なり」は実現せず。
東京に秋風がいきなり吹いたと思ったら、
さっき電話で「多感なり」の負けを知った。
スケジュール的に難しいとは思いながらも、
自信のあった企画が書けただけに、いささかショックである。
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37.5℃から19℃
福島往復。午後3時に新幹線のホームで見た気温は19℃。
二日間で20℃近い差は、すごいな。
明後日からの福島ロケは朝晩がかなり冷え込みそうだ。
この調子で急速に冷えてくれると秋の紅葉は発色のいい、
きれいな映像が撮れるけど。
それにしても、だ。
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愛がなければ人生はないわ、とOmaraは歌った。
水の惑星ポストショーの展示演出案と映像構成案アップ。
BGMはオマーラ・ポルトゥオンドの「愛がなければ人生はないわ」。

40年代から50年代のハバナの夜をほうふつとさせるとある。
さすがにその頃のハバナを知るわけではないが、チェ・ゲバラが
奔流のように駆け抜けたキューバは、ささくれた今日の気分を
なだめてくれた。
ジャケットのポートレートを眺めていると、しみじみと泣きたくなるような佳い女だ。

エアコンを停めて開け放した窓から北風が吹き込んでいる。
室温は31℃もあるのに湿度は28%!
この乾きぶりは真冬のようではないのか。

壊れた日本は、ほんとうにどこまでも壊れ続けていくのだな…
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eカードはおもしろい
ストーリー概要と展示概要の原稿をアップ。メーリングリストで送ったら、4歳児の友人なおちゃんからメールが届いていた。
スクラッチゲーム付きのアニメーションカードで、そのアニメがけっこう笑える。こちらもさっそく一通、出してみた。
仕事よりは、やはりこういう方が面白いな。

しかし今日は暑い。
ワタシは日向の犬のような思いで机に向いせっせと仕事したが
ほんとうに日向で仕事している人もいるかと思うとコトバが失せる。

もう仕事にもあきたから街に出ることにした。

予定量の半分も仕事したから、
この暑さの元では100点だな。
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砂漠の北風と花の銀座の国防服
一夜開けた東京は北風である。
湿度もいきなり50%。
昨日のあの砂漠のような一日は何だったのか。
窓を開け放ち、エアコンを停めたが、かえって涼しい。
昼近くに起きて新聞を読んだが昨日の狂ったような一日について
まともな記事はどこにもなかった。横浜の大停電も記事なし。
テレビをつけると元青嵐会の血判知事慎太郎がカーキ色の国防服のようなものを着て強姦罪容疑者の森総理と並んで銀座に立っていた。
その銀座は軍隊が占拠して防災訓練。
戦闘用の服のままだから異様である。
ほかに使い道もないわけだからコストセーブを考えればまっとうな
使い方と言えなくもないが、にしてもあれはない。
このことに対する賛も否も新聞は一切なし。
テレビ欄以外にまともに読むこともないのでかまわないが、
さすがに1000万部も売る「クオリティペーパー」だけのことはある。おそろしく空虚である。
一昨日長い夏休みを終わってやっと避難命令後の三宅島に行き
「ききしに勝る惨状」と会見した慎太郎の能天気ぶりを非難する記事もいまだに一行も見かけない。
バカの一つ覚えのように「IT」一色になりつつある日本で、
首都の代表が「ききしに勝る」とは恐れ入る。慎太郎はテレビを
持っていないのだろうか。インターネットはキーボードアレルギーで使わないのだろうか。文の人は「見る」ことを拒むのか?
リコールは起きないのか?ヒマな学生とかが都庁に押し掛けたりはしないのか。
東京都はどうして誰も住まなくなったような都営団地のようなものしか提供しようとしないのか。棄民か?
一時金10万円というのはどこから算出した数字なのか。
いまどき中学生の援交バイトでも二日で手にできるカネだろう。
自主避難した人には渡す算段つかず、とはなんなのか。
都民の税金を地方に回して人の入らない美術館や音楽ホールをつくったり、ほとんどクルマの通らない高速道路に回すことを
一二年やめると、どうして宣言できないのか。
一千三百万の都民がいて、どうしてわずかな数の島人に渡るカネが
10万なんだ。10万!家族で飯食ったら一回でパーじゃねえか。
こういうことを新聞は書けよ。
朝日だの読売だの紙名からして小学生の習字の手本なみだからか?
こんなクソのような紙くずでも、俺は仕事ゆえにとらざるを得ないわけだから、俺も目くそ鼻くそかもな。
広告稼業をしていて、なんとなく恥ずかしい日曜日だった。

きょうはうつむき加減で、机に向おう。
こっそり音楽でも聴きながら、
砂を噛むような休日の午後をしのごう。
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犬の夜と椎名林檎
夜になっても外の熱風はすごいの一語。
まるでバンコクの夜である。
しかし月はこの熱にもかかわらず冴え冴えとみごとな弧を描いていた。
今夜は信じられないくらいきれいな月夜である。
けっきょく駅ビルのvirginまで行き、
椎名林檎のDVD2枚などDVDを6点、
CDを12点買って、ハアハア言いながら戻った。
夜になっても日向の犬状態が続いている。
これで三日月に向って吠えれば詩にもなろうが…
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東京37.8℃ 熊谷39.7℃
ニュースを見ていて笑った。
今日の東京は俺の平熱よりほぼ2℃高かったことになる。

それにしても熊谷の39.7℃、こんな数字発表してどうするのかな。
約40℃の残暑? なんだこりゃ。
日本は壊れるなあ。
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日向の足元は42.5℃
原稿の合間にベランダに温度計を出して
午後1時から2時まで1時間計測。
なんと42.5℃あった。
ぼーっとしていたら間違いなく低温やけどするな、これは。

ここは4階だけど、地上のアスファルトは溶けているのではないか?

老人と病人と子どもは 外出禁止令を出すべきだな。
おどろいて、笑ってしまった。
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肉はこの向きで夏を消す。
「湘南の暗い水からぬけてきたきみの、ぬれてまたすこし
おもみをました胸を、ふるえる手でそっとまとめる。
そこがわたしの最初の岸だ。活塞のすきまを捻れながら、
すずしいかぜがとおる。肉はこの向きで夏を消す」

荒川洋治「季節の暗い水をつかって」より


この熱気が少しは冷ませるか。
引き続き概要版を書くことに。
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暮れては 反古のすずしい重みを愛した あなた
「まず私服の蛇を遠ざける
みぎれいな乞食(かたい)を屈ませ
ひなびた必須をひねり
かじかんだ呼鈴をむしり
雪譜も埋まる雪のなか
ひえるくるぶしを谷水にすすぐ
あなた

むなびれで顔をかしぎ
死の呼び水でやさしさを漉き
おびただしい男斧のほおばりに疲れ

暮れては
反古のすずしい重みを愛した
あなた

ほかびとにきかれまいと
鈴に石をつめかける
あなた
その措意も
しおりのようにくるぶしをすべった
こわれかけた蛇が
はじめて意志を懐胎し
時の落丁にあたる
その夕やみに連座し
にじますは虹と訣れ
朝は逝く

雪譜のかろさよ
非にもみぞれ」

荒川洋治「娼婦論」より


シナリオ第二稿の改訂アップ。ひと息。
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午前11時、東京35℃
とんだ残暑である。朝10時30分に起きてテレビをつけてぼんやりしていたら、東京はすでに35℃。午後になったらどうなるのか?
予報図を見てる各地で37℃などという予報あり。
体温より高い残暑の中でもみなさんネクタイとスーツで24℃くらいに冷やしたオフィス空間を維持しながら頑張り続けているのだろうか。バリと変わらぬ高温多湿のこの日本で百年余りの猿まねの結果が、このありさまだ。
二日前のニュースで帰国した中田が真っ黒なスーツを来ているのを見た。トランクスとぺらぺらのシャツ一枚のほとんど半裸スタイルをいちばんのハレの姿とする中田にしても、あの格好でこの東京に降り立つ、この摩訶不思議さ。
長嶋のファンではあるが、プロ野球の選手が新幹線で移動するときにこぞってスーツ姿なのにも目が点になる。
いつまでこの国は、あんな野蛮な風習を続けるのだろう。
何か強い信念でもあるのだろうか。

東南アジアの熱帯地域と同じ温度、湿度ということは
この日本が現在ではまぎれもなく東南アジアなのである。
東南アジアで白いスーツを着る人というのは
あこぎなマフィアか、野放図な搾取を重ねた植民地太りの売国商人
以外にあり得ないのにな。

「メタルカラーの時代」の誇りもこの一年で完膚無きまで吹っ飛んだことだし、みんないいかげんに鏡を見るべきだよ。

起きたらあまりの残暑報道に、
きょう仕上げるべき仕事からどうやって逃げ出そうかと考えているうちに、以上のような思いつきが浮かんだ。
では、これからワタシは一仕事。ぐっすん。
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DVD第一号
ロケハン帰りに電通テックに寄り、相馬プロデューサーから
昨日完成したDVDをもらう。家に戻り、プレステ2で観た。
デジベタで撮った映像がこんなにもクリアですぐれたものであることを
今ごろになって認識できた気がする。
ビデオテープにダビングした時と表示されている情報量がケタ違いだった。
カメラマンが何をどう感じてその対象を一つのフレームに収めようとしているのか、
いままでのテープレベルではぼやけていた、こぼれ落ちていたものが
余すところなく出ている。これは何よりもカメラマンにとって福音である。
さらにライティング、美術などの仕事の気配がまことに明快に表現されており、
彼らにとっても、自分の意図したものがここまで顕になることはスリリングな
体験となるだろう。
演出にとっては、何よりもすべての意図が一切の過不足なしに
提示される感じがあり、嬉しくも怖くもある。
デジタルが本来そなえているピュアな表現力が、
これほど率直に再現できると、視界はいよいよ広がるわけだ。
クルマ、住宅、化粧品…
商品広告はデジタル以外ありえないように思う。
業界が、既得権を守るために曇らせてしまった眼の汚れを
デジベタ-DVD仕上げはいともあっさりと洗い流すことになるだろう。
さらにHD-DVDなら言うことなし。

倉持カメラマンのすみずみまで計算した映像世界を、はじめて
すみずみまで眼にすることになった気分だ。
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宝の山とコスモス。
会津磐梯山のふもと4キロのところに広がる猪苗代町営牧場に
その探していたコスモスの草原はあった。
色とりどりの背丈のことなるコスモスが、なだらかな起伏の丘に
あわやかに咲いている。噴火の可能性もあるという磐梯山の
そのふもとで、初秋の風にさわさわと揺れながら咲いていた。
今朝は4時に起きて夜明け前からロケハンを続けた。
正午少し前、このコスモス草原にたどり着く。
「水の惑星」のエンディングを、このシーンに決定。
「未来ササヤンカ村」をほうふつさせるような光景である。
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