読み直して泣けた。
アップ。


AからDまですべてシミュレーションし直した。
まず、この時点では完璧。

第2稿とほぼ同じ時間をかけた。
なんという遠回りとは思う。

届けてくれた音楽イメージを聴きながら
もう退けねえぞ。それだけを念頭に、
いま現在の俺の才能でたどり着けるところまで行けたと思う。

さらに差し入れられた
広尾はクレモン・フェランのチョコレートケーキのほろ苦い甘さ。
渡辺の淹れた大ポットいっぱいのコーヒー。
夜半から鳴り出した雷鳴とその後の激しい雨。


さらに中島みゆきのアルバム「大銀幕」。


無形有形の「はげまし」が
こんな夜には身に沁みた。


夜中に間違い電話をかけて寄越し
ついでに激励してくれた相馬プロデューサーにも感謝しよう。


「あなたもルーシー」を書ききれただけでも、心を閉じなかった甲斐あり。
読み直して涙がこぼれた。
これが書ければ、この仕事はもう終わりだ。
何も思い残すことはない。



渦中に、遠ざかる想いが二つあった。
意外だったが、そんなものだとも思う。


さらに思いがけず、姿を結ぼうとする像もあり。
十年という時間が、ほんとうに何か意味を持ち始めている。
十年の空白。十年閉ざした想い。


さよならだけが人生ならば
邂逅するのもまた人生。


あれもこれも断ち切って
歩いてもいいじゃねえか。


なんだかやけに意気が上がる。


さらば
そして
こんにちわ、だ。


さて野ぐそでもして寝るか。

と、書いたら、ビカッと夜が割けた。
雷公はまだまだ暴れ足りないらしい。
雷は怖いので部屋に戻ってくそしよう。


もう梅雨明けだな。