ラストワルツ
ふと気づくと夕やみ。
外に出る。
夏のどの一日にもあるような
平凡な夏の夕。
日曜のせいか時間だけは
ゆっくりと流れている。
葉の繁った公園のベンチに座り、
タバコを一本灰にした。
部屋に戻り、
熱いコーヒーを淹れる。
窓の外は青い闇。
森田の曲をかける。
ラストワルツ。リピート。
そして書き取る。
不正確だがおおむねを写す。


  美しき明日についても語れず
  ただあなたとしばしこの時を
  すべてはなつかしきこの時を
  すべてが終わるこの夜に
  せめて最後にラストワルツ

  この暗き部屋の窓から
  血の日はまばゆく自由が見える
  すべてが遠のくこの時を
  このまま終わるのなら
  せめて最後にラストワルツ

  美しき明日についても語れず
  ただあなたと アンドゥトロワ
  すべてが帰らぬ アンドゥトロワ
  すべてが終わる アンドゥトロワ
  せめて最後にラストワルツ


やりかけの仕事を閉じる。
ヨーヨー・マのアルバムから
「タン・ドゥン:グリーン・デスティニー〜愛のテーマ」を。
ラストワルツとグリーン・デスティニーをエンドレスに。
グリーン・デスティニーのラストは、
滅びなのか再生なのか。
一年後の今も、
答えはまだ見つからない。


6月2日日曜日の夜はこんなふうに開いた。