祝杯は、まだか。
池上本門寺周辺は秋の盛りだった。あちこちの軒先に落ち葉が散りかかって、気温19℃とあいまってまことにのどかで団子でも買おうかと思ったが、気を引き締め、手を合わせる。今日は中国の武林流に抱拳で拝礼。つづいて原稿15セットを境内の秋風にさらす。自分でも何をやっているのかわからぬままに企画に力がこもるようにと熱だけは入った。参門を出て渡辺に、ここは何宗か、と聴いたら笑ってた。イチロー達と待ちあわせている下丸子駅前のコロラドに向かう途中もくまなく寺社仏閣を捜したがみあたらず。簡単にプレゼンの段取りを打ち合わせ、サンドイッチで腹ごしらえ。大須賀社長と足かけ9年、3回連続アウトの話で盛り上がる。大須賀さんは店の女性にボジョレーはない?などとひときわはしゃいでいた。イチローもつい笑みがこぼれる。なんだかプレゼン前に勝ったような気分になっていた。店を出てから気づいたが、コロラドの女性は清楚で知的な美人だった。これは大須賀さんとおれだけが気づいたことだが。打合せ通り先鋒をおれが務めた。小技を用いず、一気呵成に魂をこめて読んだ。直前のユンケルが効いたか、最後まで攻め込めたと思う。続いて大須賀さんがニューヨーク案を、清水さんがオーソドックス案を。イチローの話では、後の二人のときに居眠りが出ていたというから、先陣切って飛ばしておいて正解だった。暖房のせいか室内は30℃はあったと思う。シャツが汗でぐっしょり濡れていた。書き忘れたが、おれはプレゼンでスーツとネクタイ。12年前の三菱電機の役員プレ以来の珍事。大須賀さんもイチローも目を点にしていた。
別れ際、イチローに祝勝会は中華で行こうと声をかけておいた。まず、ぶっちぎりだろう。DとHを相手に30人足らずのイメージサイエンスが、みごと勝ちきれれば、快挙。
ここまできたら、おれも勝ちきりたい。

帰りに渡辺と蓮沼のインディアンに寄り、
このあいだの大森ロケで食べそこなったカレーライスを食べた。数年ぶりだが、相変わらずの不思議なうまさがあった。

午後4時30分過ぎ、24時間続けた願かけの「茶断ち」を解除。晴れ晴れとする。