reborn
駐車場。街路の淡い明かりが
ほとんど届いていない暗闇。
では、と頭を下げ上げたとき、
まだ彼の体が起きていないことに気づいた。待つ。
数秒のことだったろうが、長かった。
黒い塊が目の前の腰の辺りにあった。
体が起きた。表情はまったく見えない。
離れた。
車を走らせてから
あのときを思いだすな。45度の夜。
とつぶやいたら
直角に見えましたよ、と。
だから、腰の辺りに塊が…
と思ったら、彼が、その瞬間に
あの夜を再現したのだと腑に落ちた。
それも、あの夜よりもさらに深く折って、託した。


あの日、おれはひとつの選択と決意をした。
決意は3年後にカタチを結んだ。
選択は7年後に結果となった。


結んだカタチは7年をかけ育ち
ほぼ盤石と思えるものになりつつある。
もしかしたら彼とおれの約束と役割は
もうあの場所では役目を果たし終えたのでは…
そんなふうに感じることが多くなっていた。


九月の初めにかかってきた唐突とも言える
♪smileについての話しから
すこしずつうねりがはじまり
【歳月篇】という結晶に至った。
あの街でのおれの役割は果たせたな、
これでいいのだと、別れる瞬間まで
いくらか寂しさもある達成感に浸っていた。


しかし
あの暗闇の中の辞儀の再現は
いやさらに深かったそれは
【歳月篇】という映像の完成などではなく
運動体としての【Dfactory】の
新しいディメンションを
再構築していきたい
まだ、【その先】があるはずだ。
もういちど一緒に行かないか
という意思の表明とともに
差し伸べられた手、ということなのだと思う。


そのことが、いまのおれには
重すぎたのかな、と夕べから未明にかけての
自分の意外とも思える弱気と混乱を
たどりなおしながら考えている。




引くか。進むか。
ここが、岐路なのだ。
きっと彼にとっても、おれにとっても。


その互いの岐路で、手を出された。
握り返せなければ、この十年が霧消する。
すくなくとも俺の十年は闇に沈む。




ならば、握ろう。
「夢」ではなく、
おれの「幻」の旗を
胸の底に掲げよう。
その旗の文字は【想】。






♪夜霧のブルースでいくしかねえな、そう了解。
一晩の錯乱のあげく、たどりつけた
これが、 ましこ的結論。




Japanesqueの端緒を
【終わり=慰藉と再生sunsetseries】で切ったのだ。
Re BORN 平仄もしっかり合っている。