パラドックス13★★★★★
東野圭吾著/毎日新聞社刊
魂消た想像力としかいいようがない。東野のこれまでの話題作はいずれも出来のいい土曜サスペンスドラマの趣が濃かったが、圧倒された。ディテールがとにかくモノスゴイ。手に汗握りハラハラとどきどきが最後まで一切途切れず。こんなど迫力の持ち主だってのかと、不明に脱帽。映画では絶対にマネしようがない、想像力ジェットコースター。おれはガキの頃に繰りかえし浮かべた悪夢と、30代のはじめに見た底なしの悪夢を思い出しながらノンストップで最後まで。結末の理落ちは不要かなと思うが、それも瑕瑾。小説家だけが持つ野放図とも言えるイマジネーションの力に、ただただ恐れ入った。逃げ場ゼロの1冊である。なめてかかると悪夢にとらわれそうな。

貫井も東野もともに新聞社系の1冊。意味があるのかないのか。