花の回廊★★★★
宮本輝著/新潮社刊
「流転の海」第五部
どうも熊吾が映画の森繁にダブってしまい閉口。宮本は、世界を広げすぎたのではないだろうか。興味深い脇役が多数登場しながら主人公一家のの盛衰に焦点をあてるためのページを費やしすぎて印象が薄められている。アルトマンの“ショートカッツ”のような多視点同時並行の力技で取り組めば、濃密な生命のパラダイスとしての「回廊」が成立したのではないか。