ちあきなおみ“ダンチョネ節”を聴きながら鼻毛ぬきつつ
お、ち、る。ことを少しだけ望んでいた気がする。

雲ひとつない秋とは思えない真っ青な空に、白い月が浮かんでいた。数年ぶりに上がった東京の景観は大きく変わっていた。世紀末映画のような陽炎ごしに見る雨後の筍のように増えた高層ビルが、白昼夢に出てくる卒塔婆のように揺れていた。世田谷、青山、恵比寿と、日ざしの下で見るに堪えない東京風景をHD900を通してモニターで眺めながら、落ちるのもいいな、と笑いが浮かんだ。ヘリはいつも怖かったのに、ひさしぶりのフライトはどこまでもおだやかで春の韃靼海峡をゆく蝶のようであり続けた。いったん給油のために降りてからは、日常の気分に戻っていた。古河へ。関東平野のフラットな大地を縫い、あの町へ。町となってから、はじめて鳥瞰することに。渡良瀬遊水地の巨大さにあらためて驚きつつ着陸地の前橋ヘリポートに。春のような日ざしに居眠りも出た。再び地上を古河へ。いつものベンチで田中さんや佐藤さんと一服。芳流に寄って、そばをたぐって帰京。夕べから今朝にかけての奈落に落ちるような感覚がどこから来たのか、結局わからずじまい。ま、いいじゃねえか。♪ともよあのこぉよぉさよぉぉなぁらだんちょぉねぇ

06.1.12未明
眠れないまま、古いメールを読み返す。4年半前の7月7日の未明から一週間で書かれた10通に満たないやりとり。うち7通は発信。2通が受信。“特別な場所”と“想像力”について。ほかに夕日と虹と月。むじなが生息していたというむじな森という地名を持つ空間。ひぐらし。蛙。雨。笑顔のきれいな男たち。ジャンヌ。森のひと。農夫のような彫刻家。わが希望。砦。白い威容。灯影。夜霧。勇気。愛。志。突破あるのみ。一期は夢よただ狂へ。