一枚の
毛布になれたらと痛切に思う。あるいはよくなじんだタオルケットでもいい。安堵と安眠だけを保証する布地であれたらと願う。すべてに対して。おれはいま、試されているのではないのか。あれが無垢で。その無垢が問うている。おまえき何をしてきたのだ、と。

かわいそうな小さなツバメにはどんどん寒くなってきました。 でも、ツバメは王子の元を離れようとはしませんでした。 心から王子のことを愛していたからです。 パン屋が見ていないとき、 ツバメはパン屋のドアの外でパン屑を拾い集め、 翼をぱたぱたさせて自分を暖めようとしました。

でも、とうとう自分は死ぬのだとわかりました。 ツバメには、王子の肩までもう一度飛びあがるだけの力しか残っていませんでした。 「さようなら、愛する王子様」ツバメはささやくように言いました。 「あなたの手にキスをしてもいいですか」

「あなたがとうとうエジプトに行くのは、私もうれしいよ、小さなツバメさん」 と王子は言いました。 「あなたはここに長居しすぎた。 でも、キスはくちびるにしておくれ。 私もあなたを愛しているんだ」

「私はエジプトに行くのではありません」とツバメは言いました。 「死の家に行くんです。 『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」

そしてツバメは幸福の王子のくちびるにキスをして、 死んで彼の足元に落ちていきました。

その瞬間、像の中で何かが砕けたような奇妙な音がしました。 それは、鉛の心臓がちょうど二つに割れた音なのでした。 ひどく寒い日でしたから。