花田兄弟の八つ墓村騒動を読む
やっとさぼっていた医者に行く。予約を更新すること5回。起きたら天気もいいのでシャワーだけ浴び飯抜きでタクシーに。夏の花が咲いていて、病院のアプローチはすっかり季節が変わっていた。帰りに駅ビルに寄って崎陽軒のシューマイ弁当とスポーツ新聞を買う。弁当を食いながら、花田兄弟の八つ墓村騒動を読む。ほんとうに、これだけおぞましい家族劇も珍しい。花顔の宮沢りえ喪失が諸悪の根源なのだとあらためて。日の下開山、天下無双の力士一家にして、あれだけの無慈悲。因果応報とは良く言った。二十歳の娘ひとり守れない力持ちなど、生きているだけ無残だったのだ。あれからずっとこのバカ兄弟の顔を見てきたが、兄は日を追うごとに小ズルサを塗り重ね、告別の挨拶でその頂点に達した。ちかごろ政治家でもあれほど心根の卑しい表情を見たことがない。弟は、はなっから言うまでもない。りえを失ってからは位を上げるにつれ落ちていった。男は、強いだけだとつくづく無意味だと、反面教師といえば聞こえもいいが。近年稀に見る“男”の屑物語。江戸は、渋いなぁ。魑魅も魍魎も紋付き袴だ。