レゾナント(共鳴・共振)・コミュニケーション/朝日新聞23日
アサヒコムより転記/

香り・手触りも「通信」 NTTブロードバンド構想

 NTTが5〜10年後の本格的なブロードバンド(高速・大容量通信)時代に実現を目指して取り組む事業構想の全容が22日、明らかになった。香りや手触りも伝える「五感通信」、取り付けた無線タグを通じてすべてのモノのありかがどこからでも分かるシステム、などのサービスを挙げている。NTTが事業構想を出すのは98年以来で、6月に就任した和田紀夫社長の下、初めてブロードバンド時代に対応するビジョンとしてまとめた。今月末にも発表する。

 構想は「光・新世代ビジョン」と名付けられる。五感通信システムでは、これまでの「話す」「聞く」「見る」に加え、「かぐ」「触れる」ことの実現を目指す。

 識別センサーで感知した香りやモノの手触りをデジタル信号化し、ブロードバンドを利用して送信。受け手が離れた場所でも専用装置で再現された同種の香りをかぎ、同じような手触りを体感できるようにする。センサーや専用再現装置の実験研究は着手済みだ。

 構想で実現を目指すサービスのイメージはこうだ。(1)ある映像を見ていて、「これと似た映像を」「この俳優さんの出演シーンだけを」といった要求に素早く応える検索システム(2)自宅のカメラ付きパソコンで写した自分の映像を会社の会議室の大型画面に等身大で映し出し、会議のテーブルを共有できる通信システム(3)身につけて操作できる超小型パソコン(4)場所に応じて最適な通信手段を選び、世界中どこでも通信できる携帯電話端末(5)1年間充電不要なモバイル端末、などだ。

 NTTはすでに、ブロードバンドの基幹網になる光ファイバー網の整備を急速に進めてきた。今回の構想はこの基盤の上で、「レゾナント(共鳴・共振)・コミュニケーションの時代」が来ると位置付けて、目指す具体的なサービスを掲げた。

 また、構想には、インターネットの急速な普及の一方で問題になっているネットの安全性(セキュリティー)に関連し、暗号化処理技術の高度化などでサイバーテロを防ぐことも盛り込んだ。法的、倫理的に問題のある映像を自動的に抽出する有害映像検出のシステム作りも進める。

 こうした「レゾナント・コミュニケーション」が進展する07年には、日本の国内総生産(GDP)に対して約64兆円の経済効果があると予測している。

(11/23�07:31)