《夏至》マーク・リーの官能★★★★★
ベトナム映画《夏至》。

DVD版で見た。
《花樣年華》のチャイナドレスの撮り方もすさまじかったが、
マーク・リーというキャメラマンの色彩感覚は底なしの凄みあり。
アジアこそは、もしかしたらほんとうに21世紀を
リードしていくことになるのかも知れない。日本を除いて。
緑を基調に、青と赤。そのあわい色のすべて。
112分の間、ひたすら呆然と目を奪われ続けた。
シアターで見るとしたら、しかし相当に好条件を満たしていないと、
このテイストは味わえまい。
DVDとプログレッシブTVの組み合わせは、それにしても説得力あり。
映像が、光と影以外の何ものでもないことを、
マーク・リーは切々と問いかける。

アメリカが逆立ちしてもつくり出せない
ヨーロッパに身も心も捧げたアジアの業だけが達成できる
ボーダーレスで決して退嬰的ではない豊饒な色彩感覚が
冒頭からラストカットまであふれ返っている。


春の眼福である。


We's DYNEのテーマは《色彩》。
直接的な参考にはならないけど、
映像的な意味で《色彩》を語るためには
ぜひ機会を見つけてDVDでご覧いただきたい。

リズムブルースのフランス植民地的アレンジというのを
はじめて耳にしたが、コロニアル特有の天井扇風機に似て
なかなか趣のある音楽世界だった。