《tears of stone》THE CHIEFTAINSの朝
雨の音を聴きながら眠った。深い気持ちのいい眠りにつけたようだった。明け方、子供の頃にたいせつにしていたなつかしい人たちと場所の夢をつづけざまに見た。
さらに、おぼろだが、照明の菱沼さんと他に4人くらいが出てくる夢に変わった。どこか南の方を思わせる知らない町。鉄道の駅のすぐ近くに巨大な二階建てのアパートがある。そのアパートはもうすぐ取り壊されることになっているらしかった。菱沼さんとぼくを含む6人くらいの人間が以前にそのアパートの二階の大きな部屋に出入りしていたらしい。それぞれ別なところからその町に帰ってきて、アパートの持ち主に2週間くらいの間、借りられないかとみんなで交渉をしている。主に菱沼さんとぼくが話している。部屋は巨大な階段をあがったすぐの角部屋で、広さが40畳ほどのスタジオスタイルの1ルーム。南側一面が巨大な窓になっている。さらにもう一面も窓。明りの入り方を菱沼さんがとても気に入ったらしく乗り気になる。部屋には巨大な屋外式のバスルームがついている。半地下スタイルで、階段を下りると小川が流れていてその川に沿ってウッドデッキ。その一角に大きな桧の浴槽が置かれている。数人で入れるほどの大きさ。全員、大いに気に入り、2週間の間使わせてもらう交渉に入る。料金は25万。持ち主は6人だから一人8万でいいでしょう、とわけのわからない計算をしてみせたが、みんなそうだね手ごろだな、と納得して借りることにした。夢はそこからがあいまいになっていった。
菱沼さんとぼく以外の4人が誰だったのか覚えてはいない。おぼろには佐藤君もいたような気もするが。
1時には眠りに落ちた。記憶しているのはどこか田舎の宿で聴くようなやわらかい雨の音。雨の音が夜の街のノイズを吸い取ったのか、まことに静かな夜だった。
目覚ましなしで目が覚めたのが7時10分ほど前。
机のある部屋に入ると、朝日が部屋を染めていた。いまもまだディスプレイが見にくいほどキラキラしている。たっぷりと雨を含んだ朝の空気を通ったきれいな光が部屋に満ちている。
昨夜入手したアイルランド音楽の《tears of stone》THE CHIEFTAINSをかけて聴いている。ANUNAの参加する曲が1曲だけ入っているという理由でリストアップしたアルバムだが、そのANUNAが参加した冒頭のイエーツの古い詩の朗読ではじまる《NEVER GIVE ALL THE HEART》から、ラストの《TEAR LAKE》まで全曲、申し分なし。ディーバたちと伝統的なアイリッシュスタイルがじつに合っている。
今日から朝型に切り替え、戦闘態勢を整えるが、初日皮切りとしては上々である。

これから熱い風呂を浴びて、朝飯を食い、
秋の戦いをとっぱじめる。