イスファハンブルー
オフィスに向う途中、空を見上げたらひとかけらの雲もなかった。ほぼ完璧な青。東京では年に何度かしかお目にかかれない色。雲のない空はつまらないことが多いのだが、今日はまた別。こんな空はただ眺めているだけで気が晴れる。夕の色がほんのすこしまじって秋の終わりや冬のはじまりの頃だけに見ることができるイスファハンブルーの空の色。

ああ、人が恋しい。
誰でもい、人をさらってこの空をともに眺めながら放念していたい。
渡辺には8時には沈んでしまう三日月を捕獲するように指示したことだし、
久しぶりに夜の街に出撃してみるか。
古い想いでも尋ねてみるか。
秋は、いいな。時間が溶ける。



なんだか血が騒ぐ。
資料なんぞをめくっている場合じゃねえぞ。