「この森で、天使はバスを降りた」★★★★
スロートフの「この森で、天使はバスを降りた」DVD版を観る。

気持ちのいい美しいストーリーだった。サンダンスの観客賞、納得である。
エピローグのアメリカ的なハッピーエンドも、伏線のうまさと映像の深みで陰影に富んでみごと。
イーライという息子が帰ってきた経緯がもう少しこまやかでも良かったかなという点、パーシーのトラウマの根拠の安易さにやや辟易させられるという二点がなければ、満点。
2時間という興業的制約の難点がここにも如実である。映画はあるいはもうほんとうに終わりなのかもしれないな、そんな思いが深まる。
たぶん劇場で同一時間に一定量の観客を集めて一斉に金をとる、というシステムが急速に社会から遊離しだしている、そんな気がする。
あるいは二つの形態に分化していく時期が来ているのかもしれない。
ブロードバンドが興業のスタイルを分けていく、そういう道筋がはっきりしつつあるように感じる。

それにしても原題の「スピットファイヤーガール」をどうしたらこんな2時間ドラマのような客を舐めたタイトルに代えられるのか、聞かせてもらいたい。