倚天屠龍記は★★★★
金庸「倚天屠龍記」徳間書店の第四巻と完結編の二巻を読む。
第三巻まで読んだ三月に、★★★★★と書いたが、全巻を読み終わっての感想は★四つ。金庸自身が飽きてしまったのか、緊迫度に不足が目立つ。たとえば後半の随所に登場する黄杉の女だが、原作ではもう少しページを割いていたように感じる。いくら前シリーズを読んでいればよかるとはいえ、これだけ悠揚迫らぬテンポですすむ物語にしては、やけにあっさり放り出しているという思いが強い。
五巻という巻だてに拘泥しすぎて意訳に走りすぎているのではないだろうか。
ふとそんな感想を抱いた。

しかしながら金庸である。
ビタミン剤のような小説世界であることは間違いない。