ありふれた愛に関する調査★★★
借りて一ヶ月になるDVD版の「ありふれた愛に関する調査」をやっと観た。
原作のニュアンスを脚本が少しだけ薄め、主演の奥田瑛二が骨抜きにしてしまった。
関川の渇きが、この映画には映されていない。奥田の蓄膿症のような声調が、すべてを台なしにしている。さらに付け加えれば、日活残党の映画技術が輪をかけて貧しさを引き立てた。

にも関わらず、心魅かれるものが残る。

関川という希有な才能の気配なのか、
突出した梅林茂の音楽のせいなのか。
あるいはこの題材を映像にしようと試みた、奥田をはじめ制作者たちの心意気なのか。奇妙ではある。