北方版「水滸伝1」は★★★
茶木が本の雑誌でべた褒めだったので、淡い期待を抱いて読み始めたが、第一巻に関してはまあまあのすべり出し。
108の星が解き放たれたエピソードをとっぱらったのがどうかな、と思った。
単なる世直しだけに焦点をあてたところで吉川も柴錬も越えられない。もとより水滸伝も三国志も原作が図抜けてすぐれた物語だけに、このトーンでは先行きが危ぶまれる。

北方よ、せめて誰も手がけたことのない、
梁山泊の英雄達が哀しい末路をたどらぬ21世紀の水滸伝を書いてくれ。
たかが小説。

能天気でハッピーエンドの水滸伝を読んでみたいよ。どんな好漢もずば抜けた反骨漢も、最後にはみんな負けてつぶされていくなんて、現実の歴史だけで充分ではないか。

考古学の捏造報道は、歴史的事実という学者好みの無能な修飾から、作家的想像力を飛躍させるいいチャンスじゃないのか。
まして中国。白髪三千丈のマダムヤンの国。
三国志の時のような新左翼回顧トーンはやめようね。

おれはこんなくそまじめな花和尚の日常を読み続けたくはないな。この調子だとひいきにしている黒旋風はどんな扱いになるのやら…


ただし巻末の数行に、淡い期待は抱いたけども。