2008年10月の記事


「西洋ナシ」
 秋から冬にかけて、旬の西洋ナシ。
代表種の『ラ・フランス』がよく知られていますが、芳純な香りと濃厚な甘味は「フルーツ界の女王」にも例えられています。名前の通り、フランス生まれで、余りの美味しさに「国を代表するに相応しい果物」ということからその名前がつけられたそうです。

 この「ラ・フランス」はもぎたてが一番おいしい果物ではなく、収穫直後の「ラ・フランス」を食べてみても、固くてほとんど味も香りもありません。
追熟期間が必要で、触ってみて「耳たぶ」くらいのやわらかさになったころが食べ頃、「完熟」です。

 生で食べると本来の甘みと香りを味わえますが、菓子や洋食の素材としても使われ、タルトやパイなどに添えられたり、ワイン煮にしたりと用途が広がっています。
たんぱく質を分解する酵素を豊富に含んでいるため、肉料理との相性も良いですね。

 日本に入ってきたのは20世紀初頭で、国内で出回る量の約8割は山形県産だそうです。
出荷する前に10日近く低温貯蔵庫で冷やしたうえで、さらに常温に戻し熟成させますが、家庭で保存する際には熟れ過ぎを防ぐため常温には置かず、冷蔵庫に入れておくのが良いようです。
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「読書週間」
 27日から読書週間が始まってます。
毎日新聞が全国の小中高生を対象に毎年行っている「学校読書調査」によると、今年5月の1カ月間(調査時期)に読んだ本(教科書、参考書、マンガ、雑誌等を除く)の平均冊数は、小学生が11.4冊で、過去最高だった06年の9.7冊を大きく上回ってるそうです。
中学生の平均冊数も3.9冊で過去最高、高校生は前年比微減で1.5冊となっています。

 一方、一冊も本を読まなかった割合(不読率)は、小学生は過去最低だった昨年と同じ5%、中学生の不読率も過去最低と同じ15%。高校生は全体の52%が本を読まなかったと回答してるそうです。

 また、小学生の17%、中学生の48%、高校生の68%がケータイ小説を読んでいるそうで、ケータイ小説は若い女性の恋愛経験をつづったものが多いため、女子の読者が圧倒的に多いそうです。

 本を読むという行為には、様々な考え方を学んだり、他人の経験を疑似体験できたり、興味や視野を広げ、表現力を学んだり、知識を得たりと、多くの効用があります。
自己の経験や考え方、極身近な人の考え方に影響されやすい日常の中で読書をするという行為は、本の中にある様々な価値観に触れることが出来るので、より豊かな人間性を育む意味でも大きな意義があると思います。

 木という字に、その根もとの部分を指し示す”一”線を加えて作られている「本」という字には、根本や本質といった意味があります。
より多くの人が、人間性の根本に影響を及ぼすような良書にめぐり合うことを切に願ってます。
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「贈り物」
 贈り物をする際に、「心がこもっていれば何でもいい」とつい思いたくなりますが、そう簡単にはいかないのが世の中のようです。
贈り物のタブーは現在も生きている場合が多く、こちらが無垢の心で贈っても、先方が不愉快に感じてしまってはせっかくの気持ちも台無しになるので注意が必要です。

 いくつかタブーを挙げてみますと、結婚式の包丁、ナイフ、はさみなどは「縁を切る」に通じるため嫌われます。
新築祝いのストーブ、卓上ライター、真っ赤な花などは、火事を連想させるということでパスした方が無難です。

 病気見舞いの鉢植えは「根がついている」ということで「寝つく」を連想させると言われています。
又 シクラメンはシク=死苦の響きが良くなく、椿や山茶花も花が首からポトリと落ちることから嫌われるようです。

 ちなみに、「弔事には偶数」、「慶事には奇数」が用いられることが多いようです。
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「さつま芋」
 最近は焼き芋売りの元気のいい声を聞く機会は少なく、その代わりスーパーの陳列棚に真空パックとなった焼き芋を見るようになりました。

 10月に入ると、都心部を離れた郊外では幼稚園や保育園の園児達が土まみれで芋ほりを楽しんでいる光景を目にします。
土に触れることがめっきり少なくなった児童達にとっては、非日常的な楽しいひと時でしょうね。
身体全体を使って引き抜いたサツマイモを畑や園庭で焼き芋にして食べることは現在では非日常的な貴重な体験です。

 サツマイモの種類は多く、よく見かけるのが、皮が赤、実は黄、ほくほくした食感の「紅あずま」や「紅小町」といった品種。埼玉県の川越で発見された「紅赤」は「金時」とも呼ばれ美味しいサツマイモの代名詞となっています。

 その金時も市場に出回る量は少ないのですが、栗に勝るようなまろやかな甘さが売りの「クリマサリ」という品種は生産量がわずかであるため、残念ながら売り場でお目にかかることは
まずないでしょう。
関東では平塚の特産品となってるそうで、地元の市場で農家が販売している少量のクリマサリには毎回多くの人が並ぶそうです。

 関東のサツマイモ栽培は、飢饉の際の救荒作物として、江戸時代の初期の蘭学者、青木昆陽(甘藷先生)によって広められたといわれます。

 当初、焼き芋は栗に近い美味なる甘さという意味で「八里半」と呼ばれたそうですが、そのうち「栗より(九里四里)うまい十三里」という看板を立てる焼き芋屋が現れ、人気を博したそうです。
当時、産地の川越が江戸から十三里の距離にあったことに由来するという説もあります。

 今は便利になって何でもパック売りされる時代です。
歌にあるような道端や庭先での落ち葉焚きや、そこにサツマイモを入れて焼きあがるのを楽しみに待つ風景などは全く見かけなくなってしまいました。
もはや心象風景にのみ存在する日本らしさなのかもしれませんね。
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「流行色」
 景気と個人の消費や好みは密接に関係しており、例えばスカートの丈と景気の関係等は昔から指摘されています。
事実、04年夏のマイクロミニの流行の際も景気回復と関連付けた記事が散見されました。

 他にも「女性の眉毛は景気が悪い時は細く、良い時は太い眉毛が流行する」という説もあります。また、色と景気についても「景気が良い時は白や明るい色が流行し、反対に景気が悪い時は黒やモノトーン(黒・白・グレーなどの無彩色だけで構成されたスタイル)が流行ると言われます。

 流行色というのは、社会の多様化等で一様ではなくなってきたように感じますが、全体としてはやはりはっきりとしたトレンドが見てとれます。

 ただし、流行色が足元の景気の良し悪しを必ずしも反映しているわけではありません。
女性誌などでは早い時期に「次の流行色はこれ」という特集が組まれますが、実際には流行する色が何であるかという情報が予め存在しています。

 これは実シーズンの約半年前にパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京で開催される世界5大デザイナーズコレクションが参考になっているわけですが、その約1年半前から流行色の情報を元に素材メーカーやアパレルメーカーにより商品開発が進められています。
そこで元になる情報というのが、毎年2回開かれる国際流行色委員会で決定した「インターカラー」だそうです。

 つまり流行色というのは、実シーズンの2年前にはおおよそのトレンドが決定しているわけです。
実際にその色が流行るとの保障はありませんが、供給側の利便性という観点から、コントールされた情報の一つといえます。
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「鏡の法則」
不満ばかり抱いているとさらに不満を口にしたくなる事が現実に起き、いつも感謝しているとさらに感謝したくなるような出来事が相次いだりします。
これは、写し鏡のように今ある状況は自分自身が作り出しているという意味で「鏡の法則」と呼ばれます。
 
 ただ一般的には、人は自分自身のことを省みることは少なく、自分以外の何か他の事に原因を求めようとすることのほうが多いものです。

 非行に走った少年の保護者を対象に子育ての問題点について法務省が行ったアンケート調査結果によりますと、保護者の多くが非行の原因は「本人」か「友人」にあるとしています。
それ以外という条件で要因をあげてもらうと、父親は「子どもに好きなようにさせていた」との回答が最も多く、母親の回答は「子どもに口うるさかった」が最多でした。
この結果も上記の一般論に当てはまります。


 ところで、勤勉であると同時に人を育てることにも尽力した二宮尊徳は次のような言葉を残しています。

 「可愛くば 二つ叱って 三つほめ 五つ教えて よき人となせ」

 何事もバランスが大事で、口うるさく叱ってばかりいるのはよいことではなく、良い点を見つけてほめてあげることも大切です。
さらに、なぜ叱るのか、なぜほめられたのかその理由を明確に教えることが大事であると尊徳は教えています。
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「キノコ(樹の子)」
 秋はキノコの美味しい季節ですが、キノコと聞いて思い浮かべる名前は、「シイタケ」・「マツタケ」・「エノキダケ」・「ナメコ」・「マッシュルーム」・・・等々、数多くありますね。

 先日、全国の主婦に好きなキノコを訪ねた”アンケート調査”を目にしましたが、第1位は「シイタケ」でした。
シイタケはシメジやマツタケと同じキシメジ科で、日本では古来から親しまれてきています。
特有の香りは好き嫌いが分かれるようですが、どんな料理にも使えるなど実用性を評価する声が多く、76%が好きと答えています。

  「主婦が好きなキノコ」の順位は、以下のようになっていました。

   1.シイタケ    (シイ、カシなど広葉樹の枯れ木や倒木に生える)
   2.マイタケ    (ミズナラなどブナ科広葉樹の根元に生える)
   3.エノキダケ   (広葉樹の切り株に発生)
   4.ナメコ     (ブナの倒木や切り株に群生)
   5.マッシュルーム
   6.ホンシメジ   (ミズナラなどの雑木林、マツとの混成林に群生)
   7.エリンギ    (東欧や地中海沿岸が原産)
   8.ブナシメジ   (ブナなど広葉樹の倒木や枯れ木に発生)
   9.キクラゲ    (広葉樹の枯れ木などに付く)
  10.マツタケ


 マツタケは10位と意外にふるいませんが、「食べたことがない」、「ほとんど食べない」が半分近くを占めるなど、家庭では縁遠い食材なのかもしれません。
尚、キノコにはカロリーはほとんどなく、ビタミンやミネラル、繊維質が多く含まれています。

 キノコはもともと『樹の子』の意味があるそうです。
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「とんぼ」
 全国的に清々しい秋日和となり、各地のコスモス(秋桜)畑では今がちょうど見頃となっていますね。

 コスモスは繊細な見た目とは違い、しっかりと大地に根を張り、踏まれても薙ぎ倒されてもまた立ち上がり花を咲かせます。
そんな強い生命力を持つコスモスが、赤や白、ピンクなど、色とりどりに咲き誇る花で花畑を訪れる人をもてなしてくれます。

 また、季節の移り変わりは律儀なもので、我が家の辺りでも赤トンボを見かけるようになりました。

 トンボの名前の由来は「飛ぶ穂」あるいは「飛ぶ棒」とも言われますが、秋茜や深山茜に代表される赤トンボの古名は「秋津」と言い、実りの秋を象徴する虫として昔から愛されてきました。
古くは日本(本州)を秋津州(あきつしま)と呼んだのも、その形がトンボに似ているからだそうです。

 また、雄略天皇が、害虫を素早く捕らえるトンボの姿を歌に詠み、前進するのみで後退しない攻撃的な姿と相まって、トンボは昔から勝ち虫と呼ばれる縁起物であり、戦国の世では兜や
鎧などの装飾にも好んで用いられました。

 しかしながら、童謡「赤とんぼ」のイメージが残る現代の私たちにとっては、どこか郷愁を誘う秋の虫です。
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「観天望気」
 雲一つない秋晴れも良いのですが、きらきらと輝き規則正しく遠くまで並ぶ雲は見ていて気持ちを広々とさせてくれます。

 さざ波のような、あるいは小石を敷き詰めたような白い雲は巻積雲の一種で、魚の群れのようにも、魚の鱗のようにも見えるため俗に「鰯雲」や「鱗雲」などと呼ばれます。

 また、巻積雲は低気圧が近づいた時に現われるため、昔から「鰯雲は雨の報せ」と言われます。
鰯雲が出ると鰯がよく獲れるそうですが、天候の変化が魚の行動に影響を与えているのかもしれません。
漁に夢中になり、潮時を見て引き上げることを忘れ、嵐に巻き込まれたというケースもあるそうです。

 天気図などなかった昔は、自然の様々な現象から天気の予測を行っていたのですが、例えば下記のような言い伝えも残っています。

 雨に関するものとしては「北風が南風に変わると雨」「茶碗の飯粒がきれいにとれる時は雨」「山に笠雲かかれば雨」など、好天に関するものとしては「秋は西が明るいと晴れ」「夕焼けに雨なし」「朝虹は雨、夕虹は晴れの前兆」「トビが鳴いて空を舞えば日和」等々。風に関するものには「星が激しくまばたくと強風」「秋雨蒸し暑ければ大風」「高い雲と低い雲が逆方向に流れると強い雨風」「朝、西空に虹が見えたら突風の前兆」などがあります。

 天候それ自体の様々な事象から先の変化を読み、次の行動に役立てる知恵は、「観天望気」として今にも残ってます。

 他にも地域ごとに様々な「観天望気」がありますが、田畑や山を生活の場にしていた人々(農家や猟師)にとっては「明日は晴れか雨か」が重要であり、海に携わる人(漁師)は「風はどうか」という観点に重点が置かれたようです。
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「ブランデー」
 「葡萄」と書いて「ブドウ」。
今、スーパーなどの店先では旬のブドウが所狭しと並んでいます。
ご存知の通り、ブドウを発酵させたものがワインであり、更に蒸留・熟成させるとブランデーとなります。
ちなみに、ウイスキーもブランデーと同じく蒸留酒で製造方法はほとんど同じですが、ウイスキーは穀物を原料とし、ブランデーはブドウ(現在は全ての果実)を原料としているところが違います。

 処で、ブランデーの瓶のラベルにV、S、O、Pの組み合わせや星型の印がついているのを目にしたことがあるかと思います。
ブランデーには、はじめに酒庫に入って、最後に庫出しされるまでの年数によって厳然たる階級序列があり、古ければ古いほど格が上がる完全年功序列型です。

 星は数が多くなるほど長く貯蔵されたことを表し、五つ星より古いものは、V・O、V・S・O、V・S・O・P、X・Oなどで表示されます。

 <記号の意味は>

 V=Very    (非常に)
 S=Superior(極上)
 O=Old     (古い)
 P=Pale    (年数が経って自然の色が出た状態)
 F=Fine    (良質)
 X=Extra   (特別)

といった具合です。

 その大まかな基準は、V・Oが12~15年、V・S・Oで15~20年、V・S・O・Pで25~30年、X・Oで40~45年貯蔵したブランデーに使われてるそうです。

 さらに、その上にはナポレオン、エキストラなどがありますが、ナポレオンは会社によって65年から100年を超えるものに、またエキストラは「特別の」という本来の意味で用いられることが多く、普通70年以上のブランデーに付けられてるそうです。
一方、星のほうは、星ひとつで3~4年、二星で5~6年、三星で7~10年といった目安となります。
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「日の丸」
スポーツの秋と申しますが、体を動かし気持ち良い汗をかくには、ちょうど良いこの頃です。

 ところで、スポーツ選手の一つの目標、夢は「日本代表」、すなわち「日の丸」を付けたユニフォームを着て世界の舞台で活躍する事だと思いますが、その「日の丸」の旗には基準があります。

 旗そのものの大きさに関係なく、旗のタテはヨコの3分の2、赤い丸の直径はタテの長さの5分の3と決められています。
日の丸は、武田信玄や上杉謙信などの戦国時代の武将も旗じるしとして使っており、豊臣秀吉も日の丸の旗を船に掲げさせていました。
日本の国旗として今の寸法に決まったのは、明治3(1870)年とのことです。

 ちなみに、「日本」という国名は、607年に中国を統一して国力をのばしていた隋(ずい)という国に、聖徳太子が遣隋使を派遣し、そのときの使いだった小野妹子が持参した国書
(国が正式に出した手紙)に、自分たちの国を「日がのぼるもとの国(日のもと=日本)より」としたことが、国名としての「日本」が使われた最初ということです。
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「戻りガツオ」
 山口素堂の俳句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」は有名ですが、初夏の訪れを告げるのが「初ガツオ」なら、秋を堪能させてくれるのが『戻りガツオ』です。

 春以降、黒潮にのって太平洋岸を北上する「初ガツオ」に対して、夏から秋にかけてUターンして南へ産卵のために下ってくるのが『戻りガツオ』で、餌を追いながらの長い航海によって体も春先に比べて一段と大きくなっているため、脂肪の乗りが倍加しており、時にはマグロのトロより美味しいとまで言われています。

 室町時代からカツオは非常に珍重され、織田信長などは産地から遠く離れた岐阜城や清洲城に生の鰹(カツオ)を取り寄せて家臣に振る舞ったとされています。
また、信長は「鰹節」を『勝男武士』と表して、勝ち戦の祈願にも使ったそうです。

 春の「初ガツオ」に比べて価格が半額程度ということもあり、秋の魚として秋刀魚(サンマ)と人気を二分する『戻りガツオ』。
たたきにしてショウガ、ワケギ、ニンニクをかけてしょうゆか
ポン酢で食べるのが一般的ですが、脂肪の乗った新鮮な刺し身はまた格別です。
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「食欲の秋」
 昨今、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が問題となっていますが、これらの病気には「肥満」が深く関与しており、食生活には特に気を配る人が増えていますね。

 生活習慣病とは、毎日の良くない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気であり、日本人の3分の2近くがこれで亡くなっているそうです。
それに関連して、「ワカメ」や「コンブ」に含まれる成分に、代謝を活発にして脂肪の蓄積を抑える肥満抑制効果があることを以前に北海道大学の研究グループが確認しています。

 マウスを使い、エサの中に大豆油7%を入れて3週間飼育したところ、20グラム弱だったマウスの体重が平均39.7グラムになったのに対し、ワカメの脂質2%を混ぜた場合は、平均34グラムとなり、約14%体重が少なかったそうです。

 「食欲の秋」、これからは何を食べても美味しい季節ですが、肥満予防に繋がる可能性がある「ワカメ」や「コンブ」、見直してみる価値がありそうです。
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「共生の世界」
 コインに裏と表がある様に、ある一つの事実でも、その見方によっては、全く違って捉えることが出来ます。
 
 次のような話がありますので、ちょっとご紹介させて頂きます。

 くもの巣に蝶がかかっており、幼稚園の先生はその蝶を逃がしてやりました。見ていた園児の一人が食ってかかってきて、

「先生!そんなことをしたら、くもがかわいそうじゃないか?!」

 先生は一瞬、「いやなことを言う子だ」と思いましたが、よくよく考えてみたら、その子の言うことにも一理ある。せっかくの餌を逃がされて、くもは腹をすかせたに違いない。だとすれば、自分は蝶を助けて、くもを虐めたことになる。

 上記のような問題が、実際に先生方の研修会で議論されているそうです。

 この問題は、我々の「世界認識」の問題ということでしょうか、西洋近代の考え方は、「生存競争の世界」といった見方になるようです。
すなわち、人間も他の生物も、すべては自己の利益だけを考えて生きているという見方です。
その見方はまさに「弱肉強食」です。強いくもは弱い蝶を捕食して生きる。弱い蝶は犠牲者だといった見方です。

 ところが、仏教では一寸見方が違ってきます。仏教はこの世界を「共生の世界」と見ます。
あらゆる生き物が互いに助け合い、共に生きようとしている世界だと認識します。
もちろん、そこには捕食の関係があり、くもが蝶を捕食し、ライオンがシマウマを捕食する、
それはその通りですが、それは「弱肉強食」ではなく、仏教においてのそれは、蝶がくもに、シマウマがライオンに自分の命を布施していると見ます。

 じつは、捕食者のライオンがいないと、シマウマは増えすぎて、いずれ食糧不足になり全滅する。
だから、シマウマはライオンに助けられて生きている。
仏教ではそのように認識し、蝶はくもに命を布施しているのであって、園児の見方の方が正しいという見方です。

 難しい話になりましたが、同じ事象でも違った角度から眺めると、いろいろな見方、考え方が出来るよい例のように思います。
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「紅白試合」
 天高く馬肥ゆる秋。
今日も関東地方は爽やかな秋晴れが続いてるようです。10月の異称「陽月」にふさわしい天気です。

 ただ、陽月の「陽」は太陽のことではなく、陰陽道ではそれまでの陰の時期が終わり、10月から新しく陽の時期が始まることからきているそうです。

 また、”天高く・・・・、”の慣用句は、秋になって今日のように晴れ渡るようになると馬も食欲を増して逞しくなってくることから転じて、秋晴れを表現する言葉として使われています。しかし元々の意味は、古来中国では秋になると北方の騎馬民族が秋の実りを略奪しにやってくるため、「馬肥ゆる」には北から略奪しにやってくることへの戒めの意味があったそうです。

 さて、秋は運動会の季節でもあります。
最近は個人の順位を競う競技が少なく、団体競技や創作ダンスなどの割合が増えており、これも時代の流れなのかもしれません。
 昔と変わらないのは紅白対抗の形式です。年末の紅白歌合戦は、色の持つイメージによって女性が赤、男性が白というふうに分かれているそうですが、そもそもの紅白試合の起源は約800年前の源平の昔に遡ります。

 紅白試合を辞書で引いてみると、源平試合と出てきますように、紅白戦は源氏が白旗、平家が紅旗を挙げて戦ってきたことに由来します。

 ちなみに、中国から囲碁が伝わった当初は、高貴な色と考えられていた黒石は上手な方が持ち、下手あるいは目下が白石を持ったそうです。
それが逆転したのは鎌倉時代の頃で、やはり源氏のシンボルカラーが白だったことに由来するそうです。

 運動会の紅白のように習慣として行われてきたことも、数百年前の故事に由来しているということを考えると何だか不思議な感じも致します。
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バナナ
 このところ、あちこちのスーパーで「バナナ」が売り切れとなっているそうです。
どうやら、「朝バナナダイエット」として、朝にバナナを食べるだけで体質が改善して徐々に痩せることができる、さらに便秘や冷え性改善などにも効果があるという話が巷に広がっていることがその背景にあるようです。

 バナナには「カリウム」が豊富で、「食物繊維」や「フラクトオリゴ糖」、「マグネシウム」が含まれています。
カリウムは血圧を抑える効果があり、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病の予防に効果あるそうです。
 また、マグネシウムは新陳代謝に欠かせず、食物繊維は消化を促進し、便秘改善に効果的。フラクトオリゴ糖には腸内のビフィズス菌を増やす効果があり、バナナを食べると大腸がんにかかりにくいという話しもあります。

 時間がない時にはすぐに食べられ、栄養豊富で美味。そして1本当たり30円程度と安く、手軽に栄養補給できるバナナ。ここにきて急に見直されているようです。

 ちなみに、バナナの輸入先はフィリピンが圧倒的なトップで90%超を占め、次いでエクアドル、台湾と続きます。
国内産では、沖縄県が約50%、鹿児島県が約45%を占めてるそうです。
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「神無月」
 時の経つのは早いもので、本日から名実ともに10月「神無月」となります。
古来から十月を「神無月」と言いますのは、旧暦の十月には全国の神々が出雲の国(現在の島根県)に集まり、留守になるために神の無い月と言われているそうです。

 神の出発を「神送り」、帰来を「神迎え」といい、普通は出発が九月末日、帰還が十月の末日になります。
逆に、出雲では、神々が集合してきますので「神在月(かみありづき)」と呼ばれているそうです。

 ところで、お隣の中国は本日の10月1日に『国慶節』(建国記念日)を迎え、この日をはさんで約1週間が大型連休となるようです。
1949年10月1日に故毛沢東主席が天安門で建国宣言、中華人民共和国が正式に建国されたことにちなんでいます。
多くの公共機関の窓口や工場などが連休となり、本格的な観光シーズンとなって何億人ものヒトが移動します。
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