「観天望気」
 雲一つない秋晴れも良いのですが、きらきらと輝き規則正しく遠くまで並ぶ雲は見ていて気持ちを広々とさせてくれます。

 さざ波のような、あるいは小石を敷き詰めたような白い雲は巻積雲の一種で、魚の群れのようにも、魚の鱗のようにも見えるため俗に「鰯雲」や「鱗雲」などと呼ばれます。

 また、巻積雲は低気圧が近づいた時に現われるため、昔から「鰯雲は雨の報せ」と言われます。
鰯雲が出ると鰯がよく獲れるそうですが、天候の変化が魚の行動に影響を与えているのかもしれません。
漁に夢中になり、潮時を見て引き上げることを忘れ、嵐に巻き込まれたというケースもあるそうです。

 天気図などなかった昔は、自然の様々な現象から天気の予測を行っていたのですが、例えば下記のような言い伝えも残っています。

 雨に関するものとしては「北風が南風に変わると雨」「茶碗の飯粒がきれいにとれる時は雨」「山に笠雲かかれば雨」など、好天に関するものとしては「秋は西が明るいと晴れ」「夕焼けに雨なし」「朝虹は雨、夕虹は晴れの前兆」「トビが鳴いて空を舞えば日和」等々。風に関するものには「星が激しくまばたくと強風」「秋雨蒸し暑ければ大風」「高い雲と低い雲が逆方向に流れると強い雨風」「朝、西空に虹が見えたら突風の前兆」などがあります。

 天候それ自体の様々な事象から先の変化を読み、次の行動に役立てる知恵は、「観天望気」として今にも残ってます。

 他にも地域ごとに様々な「観天望気」がありますが、田畑や山を生活の場にしていた人々(農家や猟師)にとっては「明日は晴れか雨か」が重要であり、海に携わる人(漁師)は「風はどうか」という観点に重点が置かれたようです。