2012年04月の記事


「親心」
 暖かい日もあれば寒い日もあるように、人生にも良い時期と辛抱の時期があります。

 中国では、生まれたばかりの赤ん坊に、酢をなめさせ、塩をなめさせ、苦い薬をなめさせ、さらにトゲのある”カギカズラ”をなめさせ、最後に砂糖をなめさせる「五香の儀式」というのがあるそうです。

 人生は「すっぱく」「からく」「にがく」「痛い目」に逢わなければ「甘い」ものにはありつけないということを、この世に生をうけたばかりの赤ん坊に体験させるというわけです。
もちろん、困難に打ち克って素晴らしい人生を勝ち取ってほしいとの親の願いが込められています。

 日本にも「一生食べるのに困らないように。健やかに育つように」との願いを込めて、一歳の誕生日に一升のお餅を背負わせるといった風習が残ってますが、もちろんこれにも「困難に負けぬように」との願いが込められています。

 愛情の注ぎ方も様々ですが、簡単に諦めたり へこむ人が多い世の中で、上記のような風習には見失いがちですが、大切な何かが残されているような気がします。
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「端午の節句」
「こいのぼり」が泳ぐ季節、「端午の節句」が近づいてきました。
他の魚と比べて生命力が強く、多少汚れた沼地や池でも平気な鯉(こい)は、子供の健やかな成長を願う親心の象徴となっています。

 中国の故事に『鯉が黄河の急流を登り、その水脈(登竜門)に達したとき、龍になる』という言い伝えがありますが、「こいのぼり」を立てることは、元気に成長して立派になってほしいという願いを託した親の気持ちの表れそのものと言えます。

 ちなみに、「端午」とは1月7日の人日(じんじつ、七草の節句)、3月3日の上巳(じょうし、桃の節句)、7月7日の七夕(たなばた)、9月9日の重陽(ちょうよう、菊の節句)といった五節句の一つです。

 中国の陰暦では5月は物忌み(ものいみ)の月とされ、5月5日を重五(ちょうご)と呼んでいました。
災いや病気を祓う(はらう)日とし、蘭の湯に浸かる、菖蒲(しょうぶ)入りのお酒を飲むなどの風習がありました。
日本の宮中でも同様な行事が催されていました。

 やがて、宮中から武家の世の中に移ると、武士達はこうした行事から「菖蒲」を「尚武」(武道を重んずる)とかけて、5月5日を尚武の節目の行事とし、盛んに端午の節句を祝うようになったようです。

 江戸時代になると、端午の節句は男子の節句とされ、武家の男の子の出世を祝う日として定着してゆきました。
子供が強く、たくましく育ってほしいという気持ちから、武者人形やのぼりを飾りました。それを真似、庶民の間で紙で出来た鯉を飾ったのが、「こいのぼり」の始まりと言われています。
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「蕗の薹(フキノトウ)」
 春の訪れを告げる、数少ない日本原産の野菜「フキ」。
全国の野山に自生しており、栽培の歴史は平安時代に遡るともいわれ、今も昔も独特の香りと歯ざわりが広く親しまれています。

 今、フキの出荷が本格化していますが、雪解けの地面からひょっこり顔を出すのがフキノトウ、その後、フキの葉と茎が伸びてきます。
食用としてだけでなく、薬用としても利用されており、咳止めやタン切りなどに効果があり、特有の苦みには消化および食欲促進作用があるそうです。

 スーパーなどで選ぶ際には、根元を持ってもあまりしならないものを選ぶとよいそうで・・、根元に赤みが出ているのが軟らかくて美味しいフキの特徴です。

 タケノコやシイタケと一緒にした煮物が春の味覚として喜ばれますが、春の一品、皆様方はご賞味されましたでしょうか。
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「グレープフルーツ
「グレープフルーツ」が旬となり、一番美味しい時期となっています。
数個集まってブドウの房のように実ることからこの名がついたようです。

 日本には昭和の初期に輸入が始まり、当初は高級フルーツとしてもてはやされていましたが、1971年にグレープフルーツの輸入が自由化され、一気に大衆化されて一般家庭の食卓にのぼるようになったようです。
日本で出まわっている多くは外国産で、主にアメリカのカリフォルニア州、フロリダ州とイスラエル、南アフリカからの輸入品です。

 黄白色をした果肉の「ホワイト種」が一般的ですが、近年存在感が高まっているのがピンク色の「ルビー種」、甘みが比較的強く、酸味とほろ苦さが売りのホワイト種とはまた一味違った風味があります。

 このグレープフルーツ。半分食べるだけで1日に必要なビタミンCを摂取できるのがうれしい点で、疲労・ストレスからの回復や風邪・がん予防に効果があるとされています。
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「夏も近づく八十八夜」
此処に来て寒暖の差が激しい日が続いてますが、暦はそろそろ「夏も近づく八十八夜・・♪」のほうに移って行きます。
八十八夜は、立春からかぞえて八十八日目にあたる日で、五月二日頃でしょうか。
古から夏への準備をする決まりの日、縁起のいい日とされてきました。
また、八十八夜の別れ霜というように、この頃から霜もなく安定した気候となり、茶摘み、苗代のもみまき、蚕のはきたてなど一般に農作業の目安とされています。
しかし「八十八夜の忘れ霜」「さつき寒」とも言い、急に気温が下がって霜が降り、農作物や果樹に思いがけぬ被害を与えることを警戒したことばもあります。


霜なくて曇る八十八夜かな    正岡子規


 八十八夜といえば茶摘み。茶どころ静岡では、新茶の初取引が行われ、場内には威勢のいい三本締めが響き渡るようです。

 また、西日本のでは初夏の味、トビウオ漁も盛んです。
関東以北ではあまり馴染みのない味ですが、西日本では故郷の味の一つです。
 八丈島や三宅島では”クサヤ”になり、関西の”トビ揚げ(シンジョウ揚げ)”、ダシに使った九州地方の”アゴ出汁”等々。
呼び名も「アゴ」「トビ」「ウズ」「ツバクロ」等々、各地で様々ですね。

 春を感じて間もないのですが、春と夏が少しずつ入れ替わってゆくのを感じる今日この頃です。
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「花水木」
 桜の花と入れ替わるように白い花を咲かせる花水木(はなみずき)。
もともとアメリカ原産のこの木は、明治の頃、日本がアメリカに桜の木を送った返礼として届いたものです。白や桃色の大きく目立つその花は、春の風物詩としてすっかり日本に定着した感があります。

 西の方から徐々に桜の季節が終わり、若葉を繁らせて木々が成長しようとする季節ですが、ぐんぐん上に伸びようとしている木を囲いの中に押し込めてどうにも上に伸びようがないようにしてしまったらどうでしょう・・・。
「困」と言う字はそんな状態を表わしているそうです。

 維新の英雄、革命期以外には使い道がないほどの天才、幾たびの絶体絶命の窮地を脱した様が雲に乗った孫悟空と評される高杉晋作は「困った」とは決して言わなかったそうです。
以下は司馬遼太郎の小説の一節です。

(高杉は)どんな事でも周到に考えぬいたすえに行動し、困らぬようにしておく。それでなおかつ窮地におちた場合でも、「こまった」とはいわない。
困った、といったとたん、人間は知恵も分別も出ないようになってしまう。
「そうなれば窮地が死地になる。活路が見出されなく」というのが、高杉の考えだった。「人間、窮地におちいるのはよい。意外な方向に活路が見出せるからだ。
しかし死地におちいればそれでしまいだ。
だからおれは困ったの一言は吐かない」と・・・。
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「筍(タケノコ)」
 春の味覚といえば「筍」と書いて「タケノコ」。
よく「朝掘りタケノコ」と言われますが、その新鮮なタケノコはまた格別です。
タケノコは採ってから時間がたつほどアクが強くなるので、買ったらできるだけ早く調理しましょう。
アクを抜くために米ぬかと赤唐辛子(2~3本)を入れて下ゆでするのが一般的ですが、米ぬかが無い場合は米のとぎ汁でゆでます。
小さなタケノコで、採れて1日以内ならほとんどアクが無いので、真水でゆでるだけでも十分です。
タケノコの皮の先端を斜めに切り落とし、皮に縦に切れ目を入れて水から一時間以上ゆでます。ゆであがったらそのまま冷まします。
採れた当日のタケノコが手に入った場合は焼き筍が美味。 皮ごとアルミホイルでくるんでオーブンで焼きます。直系が10cm程度の小型のもので、250度30分程度。 また、一度ゆでたタケノコも、焼いて焦げ目をつけると別の味わいが出ます。

 そのタケノコ、3月中旬頃から九州産が出回り始め、今の時期は静岡産が主力となっているそうです。
そして、4月中旬以降は千葉、茨城、栃木など産地が徐々に北上していきます。

 栄養成分としては、豊富なたんぱく質の他、ビタミンB1、B2、ミネラルを含み、食物繊維が豊富で便秘や大腸がんなどの予防やコレステロールの吸収の抑制にも効果的だと言われています。

 ちなみに、竹の成長はとても早く、タケノコとして美味しく食べられる時期は非常に短いため、漢字の「筍」は10日間を意味する「旬」に由来するそうです。
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「シイタケ」
 新物のシイタケが出回る3月~5月と9月~11月。
春にできるものが「春子」、秋のものは「秋子」と呼ばれています。

 主な栽培法は、シイやナラの木に菌を植え付ける「原木栽培」と、原木の代わりにおがくずなどを固めたものを使う「菌床栽培」があり、うまみが多い「原木」は干しシイタケ向き、「菌床」はやわらかく生シイタケ向きとなっています。

 シイタケは古くからその健康効果が認められていますが、「中国薬用真菌」には「気力を高め、五風(風邪・中風・痛風・瘋癲(ふうてん)・頭痛)を改善し、血液を固まらせないように保ち、体内の余分な水分を防ぎ、気力を調える。
そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されているそうです。
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「鰊(ニシン)」
「鰊」と書いて「ニシン」
。別名「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれますが、今では「幻の魚」と言われるほどその数は激減しています。
北海道を代表する民謡「ソーラン節」がニシン漁の労働歌であることからも分かりますが、かつてニシン漁業は北海道の一大産業でした。
漁が最も盛んだったのは明治の終わり頃で、岸に押し寄せるニシンの雄の精液で海が白くなったそうです。そして、「ニシン御殿」が林立していました。

 旬の魚として人気があるのは、3~5月頃に北海道沿岸に産卵のために近づいてきたもので、脂がのって最も美味しくなります。身が軟らかく独特の油臭さがありますが、これがまた特有のうまみにもなっています。

 ちなみに、「子供が栄え、子孫が栄える」・「よいことが数々ある」の縁起でお正月の食膳に欠かせない「数の子」は、産卵の為に沿岸におしよせるニシンの雌の腹から取り出した卵巣を1本1本塩水で処理加工したものですが、意外とニシンから採れることを知らずに食べている人も多いようですね。
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「エイプリルフール」
 今日4月1日は「エイプリルフール」です。
由来には諸説あるようですが、この日ついてもいい嘘は「誰も傷つけない」こと、これが鉄則です。

 数世紀前からエイプリルフールを楽しむ欧州では、新聞社が嘘の記事でこのイベントを盛り上げ、テレビではジョークニュースの報道も広く行われています。

 あまりに本当らしい嘘は、読者や視聴者の目を釘づけにし、それを真に受け騒ぎになるようなこともありますが、それを逆手にとり、このイベントを広告宣伝に利用するケースもあるようです。

 日本において史上最高と評価されているエイプリルフール広告は1990年4月1日に豊島園(としまえん)が国内主要紙に掲載した広告です。

 「史上最低の遊園地」と題したその広告には「来るんじゃなかった!」と頭を抱えるお父さんの絵とともに以下のような文章が綴られています。

 ◆だまされたと思って、いちど来てみてください。きっとだまされた自分に
気づくはず。
楽しくない遊園地の鏡として有名な豊島園は、ことしも絶好調つまらない乗物をたくさん用意して、二度と来ない貴方を、心からお待ちしてます。
  
  ただ回るだけ。がっかり新マシーン(フリッパー)
  乗ったと思ったらすぐ終わり(コークスクリュー)
  としまえんの偉大なる自己満足(ハイドロポリス)
  楽しくないし、夢もない。おんぼろ木馬(エルドラド)
  大きけりゃ、いいってもんじゃない。
       見かけだおしのフライング・パイレーツ
  不快!!サイクロン。ぜんぜん怖くな~い!
       つまんなーい。 サイテー。 おろせ! 金返せー。

  各方面から非難殺到! 異口同音に「情けない!」 
  パパー。早くお家に帰ろうよ。 子供は正直。お父さんはカタなし。◆

 製作者は当初、苦情が殺到するのではないかとの不安もあったそうですが、実際には絶賛の嵐。その年の豊島園の来場者数は大幅増となったそうです。

 ちなみに、真理を探究したアインシュタインは下記のような言葉を残しているそうです。実はこれも嘘かもしれないのですが、指摘していることは真理のような気がします。


 「 4月1日を楽しめる人は、人生を楽しめる人である。」
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