2012年09月の記事


「中秋の名月」
今宵は旧暦の八月十五日で、晴れれば十五夜、いわゆる「中秋の名月」です。
しかしながら今回は大型で強い勢力の台風17号が北上中で、名月どころではないようです。

 満月はそれこそ月々にありますが、「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」と歌にあるように、昔は月見といえばこの月を指しました。
昔の人には、秋の十五夜のお月見は春の花見とともに最大の楽しみ事だったでしょうね。

 農作物の収穫時期と重なることもあって昔からこの日は特別な日だったわけですが、こうした風習は大陸から伝わったものです。
中国ではこの日を「中秋節」と言って祝い、春節(旧正月)や端午節(五月五日)などと並ぶ伝統的な祭日となっており、月に見立てた丸いお菓子「月餅」をふるまう慣わしがあるようです。
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「ショウガ(生姜)」
「冷え性」に悩む女性を中心に人気が高まっている「ショウガ」(生姜)。
薬味として1年中出回る食材ですが、店頭で一般的に見かけるのは「ひねショウガ」だそうです。

●老成生姜または古根生姜(ひねしょうが)・・・囲い生姜とも呼ばれ、前年に種生姜として植え付けた根槐の部分を貯蔵し随時出荷されるもので、繊維質で辛みが強くなっています。
●新生姜(しんしょうが)・・・植付けに使ったヒネショウガの上の部分にできた新しい根の部分で、老成生姜に比べ辛味が穏やかで、みずみずしさがあります。

保存先の部屋から出されて、これから出荷の最盛期を迎えます。
保存中に繊維質が作られ、辛味も強くなります。
辛味成分は「ジンゲロール」や「ショウガオール」で、血行を促進する効果で冷え性の緩和が期待できます。

 国内産地は高知県などで約4万トン生産されているそうですが、年々輸入が増えており、現在は約3万トンが中国などから入っています。
表面がなめらかで張りがあるものが良いそうです。

 ちなみに、ジンジャーエール(Ginger ale)とはジンジャー(ショウガ)などの香りと味をつけ、カラメルで着色したノンアルコールの炭酸飲料で、味はショウガ独特の辛みがあります。
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秋の七草
 今日から秋の彼岸入り。
「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、昨夜からの荒れた天気が秋の空気を運んできてくれるのかもしれません。

 この時期、コンビニやスーパーのお惣菜コーナーの目立つところには「おはぎ」が並べられています。
草かんむりに秋と書く萩は、その名のとおり秋を代表する花の一つで、秋の七草の筆頭にも数えられています。 

 秋の七草は「萩(はぎ)尾花(おばな)桔梗(ききょう)撫子(なでしこ)女郎花(おみなえし)藤袴(ふじばかま)葛(くず)」で、古くは万葉集にある山上憶良の歌(下記)に由来します。


『 秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種(ななくさ)の花

萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花 』


 尾花はススキのこと。憶良の歌にある朝顔は桔梗という説が有力で、春の七草が食して楽しむ花でまとめられているのに対し、秋の七草は観賞して楽しむ草花でまとめられています。
ただ、開花時期がそれぞれ異なるため秋の七草を同時期に鑑賞することはなかなか適いません。

 ちなみに秋の七草(ハギ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、クズ、フジバカマ、オミナエシ)は「ハスキーなクフ王」と覚えれば忘れにくいそうです。
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「柿の季節」
 「柿が赤くなれば、医者が青くなる」という言葉があるほど栄養価が高い「柿」。
そろそろその「柿」が出回る頃となりました。歴史のある果物だけに柿にまつわる日本の食文化は多様です。
生で食べたり、干し柿にしたりするほか、”柿の葉し”や”柿ようかん”など食材として広く用いられています。

 その「柿」(かき)という言葉は欧州でも通じる名称で、日本と同じく「カキ」と発音されるそうです。
欧州に知られたのは江戸時代で、18世紀末にスウェーデンの学者のツーンベリーが日本を訪れ、初めて見る柿に興味を示したことがきっかけだそうです。

 珍しさのあまり、神々の食べる果物という意味を示す「ディオスピロス・カキ」と名づけました。
今でもスペインやイタリアでは甘柿をデザートとして珍重して食べるそうです。
柿の生産量ベストスリーは、和歌山県、奈良県、福岡県の順となっているそうです。
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「10%の取水制限」
9月に入っても暑い日が続いています。
全国一の暑さで有名な埼玉県熊谷市では、30度を超す真夏日が今日で50日連続となり、統計開始以来の最長記録を更新中です。

 そんな記録的な暑さと少雨により、首都圏の水がめ、利根川水系の8つのダムの合計貯水率が39%にまで低下(過去3番目に低い貯水量)。8ダムのうち最も貯水容量が大きい矢木沢ダム(群馬県みなかみ町)の貯水率は6%と、ほぼカラの状態です。
 
 今後もまとまった雨の予想がなく、貯水量の回復がすぐには見込めないことから、利根川水系を利用する1都5県(東京都、千葉県、埼玉建、茨城建、群馬県、栃木県)では本日午前9時から10%の取水制限が始まっています。

 今のところ別の水系から補うことが可能であるため、日常生活への影響はほとんどないそうですが、しばらくまとまった降雨は期待薄なため状況の改善にはまだ時間がかかりそうです。

 ちなみに、利根川水系で取水制限が実施されるのは、2001年8月以来、11年ぶりのことで、その時は5日で取水制限が解除されました。
当時は8ダム合計の貯水率51%で、そこから67%まで回復した際に取水制限が解除され、その間の降水量はおよそ140ミリ(普通の低気圧でおよそ3~5回分)だったそうです。
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「お伊勢参り」
 江戸時代、「伊勢に行きたい 伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と歌われたようにお伊勢参りは庶民の憧れでもありました。

 江戸から伊勢までは片道15~20日間の行程で、庶民にとってその旅費は相当な負担です。
旅費は一家の生活費の1年分にも相当しましたが、有志の者
でお金を出し合い、順番に伊勢神宮に参拝する「請(こう)」という仕組みがあったため、当時でも多くの人が伊勢に旅立つことができました。
それでも伊勢神宮まで参拝に行けない人は、芝大神宮(東京都港区)に参拝したそうです。

 芝大神宮は、伊勢神宮の内外両宮の主祭神(天照皇大御神と豊受大御神)を祀ることから 「関東のお伊勢様」とも尊称され由緒ある神社です。

 芝大神宮の例大祭が明日から始まるそうですが、昔は同宮の周辺が一面の生姜畑で、例大祭の時には参道や境内に生姜売りの屋台が並んだことから、例大祭は「しょうが市」とも呼ばれます。

 また、関東周辺で伊勢神宮まで行けない参拝客を一手に引き受けていたため参拝客がいつまでも途切れることなく続いたことから、「だらだら祭り」との別名もあるそうです。

 ちなみに、同宮では白と黒のオリジナルの御守り「商い守」を販売しています。
白い御守りは「白星、土つかず」、黒生地の御守りは「黒字」を表すとして営業職に人気だそうです。
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「鳳仙花(ホウセンカ)」
 別々の方向から進んできたものが出会うことを「行合う(ゆきあう)」と言いますが、夏の名残りと、秋の気配をはっきり感じる今はちょうど季節が行合う時節ですね。

 7月から9月頃にかけて咲く花に、鮮やかな紅色の「鳳仙花(ホウセンカ)」があります。

 花色豊かなこの花で、色水をつくって遊んだ方もいらっしゃるかと思いますが、ずっと昔は爪を染めるのに使われた花でもあります。
いわゆる現在のマニキュアで、別名を「爪紅(つまべに)」とも言います。

 熟した実は、触れただけで勢いよく弾け飛ぶことから「インパチエンス(我慢できない)」との学名を持ち、「せっかち草」との異称もあります。
英語では「Touch Me Not(私に触らないで)」という名で呼ばれることも。

 また、堅い魚の骨や肉類を煮るときに種子を数粒入れると柔らかくなることから「骨ぬき」という名も持っています。

 ちなみに、沖縄では「てぃんさぐ」と呼ばれ、「てぃんさぐぬ花」という民謡の歌詞には下記のような意味があります。


 一、鳳仙花の花は爪先に染め 親の言うことは心に染めなさい

 一、天の群星は数えようとすれば数えられるが
      親の言うことは数えられない(親の教えは限りがない)

 一、夜走る船は北極星を見ている 私を生んだ親は私を見守っている
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