2014年05月の記事


「桐の花」
 先の21日は残雪の残る尾瀬で山開きが行われたようですが、
夢見る可憐な少女のような水芭蕉の花はこれから見頃(6月中旬)を迎えます。

 水芭蕉の花は4月上旬頃に咲くところもありますが、夏の季語です。
澄みきった空、夏山、湿原にわたる板の橋等々は、人の心に等しく残る夏の情景ですね。

 ところで、桐も今時の花で、紫色の筒状の花を咲かせます。
桐は切ればすぐに芽を出して生長するためこの名がついたそうです。
軽くて湿気を吸わないので、箪笥(たんす)や琴、下駄や箱などの材料としても有名です。

 又、桐は古くから神聖視されており、菊の御紋に次ぐ高貴な紋として用いられてきました(皇室の正紋は菊、副紋は桐。秀吉の太閤紋など)。
国家勲章の旭日章や警察章などに桐の意匠が見られ、五百円硬貨やパスポートなどにもデザインされています。
さらには内閣総理大臣および政府の紋章として、あるいは菊花紋に準じる国章としても使用されています。

 そんな桐ではありますが、一方庶民的な木でもあります。
昔は、女の子が授かったら桐を植え、成長の早い桐は娘とともに大きくなり、お嫁に行く時には、大きくなった桐で作ったタンスを持たせたと言います。
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「夏も近づく八十八夜」
立春から数えて八十八日目の明日は「夏も近づく八十八夜」ということで、愈々若葉の季節、新茶の季節です。

 お茶はもともとが「養生の仙薬、延齢の妙術」として飲まれており、科学が進歩した現代においても様々な効用がうたわれていますが、さわやかに香りたつ新茶は旬の味わいとともに「無病息災長寿目出度の茶」の縁起物として珍重されて来ました。

 長らく抹茶のみだった日本茶文化にあって、葉茶を瑞々しい緑色に煎じて飲料用に供する煎茶の技法を編み出したのは、江戸中期の宇治の人、永谷宋円だそうで、宋円の直系の子孫は京都府宇治市で「永谷宗園茶店」を営み、また別の子孫の一人は「永谷園」を創業してます。   *お茶漬け海苔

 江戸の頃、将軍に献上するお茶を宇治から江戸に運ぶ「お茶つぼ道中」は、大名行列でさえ道を譲らなければならず、「茶つぼに追われてとっぴんしゃんぬけたらどんどこしょ」の歌のように、お茶つぼ道中の障りになるのを恐れた庶民は家中の戸を全て閉ざしてやり過ごしたそうです。

又 その一方で、「お茶の木」は丈夫かつ長寿で、地中深くまっすぐに根を張ることから、嫁ぎ先にしっかり根をおろしてほしいとの願いを込めて結納にも用いられます。
結納茶には、新芽をつみ取った残りの茶葉で作られる番茶が使われますが、「番茶は一度しか出ない。嫁も家を出るのは嫁ぐ時の一度だけ」の縁起をかついでいるそうです。
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