2014年11月の記事


「柿」
最近は都会で見かけることは少なくなりましたが、昔は庭先に柿の木を植える家が多く、農村では一軒に少なくても一本の柿の木が植えられていました。

 高齢化がすすむ地方の農村では、実をもいで食べる人も少なくなり、たくさんの柿の実がすずなりとなって枝がたわんでいます。

 昔は、柿の木にも霊魂が宿っていると考えられていたことや、柿の木は折れやすいこと、そして子どもが木登りをして落ちて怪我しないようにと、戒めの意味で「柿の木から落ちたら三年しか生きられない」と言われたそうです。

 柿の木のそばには実をもぐための竹竿などがありましたが、それでもやはり、たわわに実った柿の木は子ども達には格好の木登りの対象でした。

 ところで、柿の実は最後の一つあるいは数個を必ず残し、全部もいではけないという「木守柿(きもりがき)」の風習があります。
理由は、自然の恵みを人間が独占するのではなく鳥などに残しておくため、さらには柿の霊が再生し翌年もたくさん実を結んでくれることを霊界の使いである烏に託すためであったと言われます。

 自然へのいたわりと畏敬。一つだけ残った柿の実があたかも木を守っているかのように見えたものです。

 与えられた恵みに感謝し、他者へもその恵みを残しておくことは、巡りめぐって自分のためでもあるということでしょうね。
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「ボージョレ・ヌーボー」
収穫したその年の11月に飲むフランス産赤ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」。
秋の風物詩として世界中で人気を呼んでいますが、日本では時差の関係でフランスより早く飲めると話題になっています。
毎年解禁日は11月の第3木曜日午前0時で、今年は20日が解禁日だそうです。

 昨今のワインブームは、ワインが身体にいいという通説も影響しているようですが、本当にワインは身体に良いのでしょうか。
調べてみると、赤ワインに含まれているタンニンは、アルコールの吸収・排出を助けるプロシアニドールという成分を有しており、動脈を保護し、コレステロールを取りのぞく作用があるようです。

 フランス人が肉食中心の食生活に比して心臓病による死亡率が少ないのは、赤ワインを飲んでいるからであるという説も発表されています。
また白ワインには、強い殺菌効果があることが分かっています。
ワインにはミネラルも多く含まれているので、新陳代謝を促し、体調を維持するのに役立つようです。
またワインの酸度は胃液の酸度に近く、消化を促進する作用があり、食欲の増進をも促すといいます。

 このように、ワインには、体に良い要素がいくつもあるようですが、肝心なのは、ワインは食事と一緒に飲むものだということです。
食事のときにワインを適量飲むことによって、お腹のなかで肉や魚類とうまく調和し、体を弱アルカリ性の方向に導いてくれるようです。
適度にワインを楽しむことができれば、心身ともに健康の維持に役立つことは確かなようです。
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「竜胆(リンドウ)」
漢字で「竜胆」と書いて「リンドウ」。

この時期の山道などでよく見かける代表的な秋の花ですが、気品のあるこの花が咲くと秋の深まりを感じます。
かつては水田周辺の草地や溜池の堤防などにリンドウやアキノキリンソウなどがたくさん自生していましたが、
それは農業との関係で定期的に草刈りがなされ、草丈が低い状態に保たれていたためだったようです。
近年は、そのような手入れのはいる場所が少なくなり、リンドウをはじめこれらの植物は見る機会が少なくなっています。

根が古くから生薬として使われ、「竜の胆(きも)のように苦みが強い」ことが由来となっているそうです。
リンドウの呼び名は「竜胆」の音読み「りゅうたん」がなまったとされています。
青紫の花は日光を浴びると開き、夜中や雨・曇りの日は閉じたままです。

出回る時期は6月から11月と長いですが、6~9月のリンドウは仏花として添えられます。
黄色や白のキクと合わせて花束にするため、色は青紫がほとんどです。

 10月に仏花需要が一段落すると、ピンクや青と白の混合色など変わった色のリンドウが目を楽しませてくれます。
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