2014年03月の記事


桜、開花
 今宵は夜桜見物、明日は花見の酔客で、普段は落ち着いた雰囲気の公園も大変なにぎわいとなりそうですね。

 桜は日本を代表する花であり、古くからこよなく愛されてきた特別な存在の花です。
そんな桜にまつわる言葉をいくつかご紹介したいとと思います。


 花時(はなどき)    桜の花が咲く時季
 桜狩(さくらがり)   花見
 花盛り(はなざかり)  満開の桜
 花影(はなかげ・かえい)水面などに映った桜花の影
 花明り(はなあかり)  夜、満開の桜のまわりがほのかに明るく感じる様
 花衣(はなごろも)   花見に行く際の女性の美しい着物 
 花疲れ(はなづかれ)  花見に行って疲れること
 花人(はなびと)    花見の人
 花守(はなもり)    花の番をしている人
 花篝(はなかがり)   夜桜を見るために花の下で炊かれる篝火「花雪洞」
 花筵(はなむしろ)   桜の花びらが一面に散り敷いている様子
 花曇(はなぐもり)   桜の頃に多い曇天。花を養うとの意で「養花天」
 花の雨(はなのあめ)  花見の頃に降るあいにくの雨「桜雨」
 花の風(はなのかぜ)  桜を散らしてしまう恨めしい風「花嵐」
 花の雪(はなのゆき)  雪のように散る桜花
 零れ桜(こぼれざくら) 散る桜
 花筏(はないかだ)   水面に散った花びらが吹き寄せられ流れていく様
 残花(ざんか)     散り残った桜花
 桜流し(さくらながし) 散った花びらが雨や水に流れていく様子

 
 ちなみに「花吹雪」は、詩人谷川俊太郎の尊父で哲学者の谷川徹三氏がかつて世界一美しい言葉として激賞した言葉でもあります。

 桜(ソメイヨシノ)は葉が出る前に花が咲きそろいます。一見何もないようなところから花を咲かせる桜の姿に、生命力の強さも感じます。
何もない状態で生まれ、何もないところから花を咲かせようとするのは人も同じこと。上を向けば桜の季節です。
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「桜・染井吉野」
 明日は春の彼岸入りです。彼岸の中日の春分の日(3月21日)を境に昼が少しずつ長くなり、陰陽の気も入れ替わるとされています。
また、ほぼ真東から日が上り、ほぼ真西に日が沈む春分は、古代中国では「龍天に昇る」とされ、春の気もいよいよ盛んになってゆきます。

 春の気が盛んになれば桜の開花ももうすぐです。気温の推移にもよりますが早ければ高知で一両日中に開花し、今週末には佐賀県あたりでも咲き始める予想となっています。

 ちなみに、花色が濃く大型のカワヅザクラ(河津桜)は、関東地方でもすでに見頃を迎えているそうですが、気象庁などが開花状況を観察しているのはシメイヨシノ(染井吉野)です。

 ソメイヨシノは人口交配によって誕生した品種で、種子では増えず、全国にあるソメイヨシノはすべて人の手によって接木(つぎき)などで増やしたものだそうです。

 つまり純粋なソメイヨシノは皆すべて遺伝子情報を同じくするクローン植物であり、すべての株が同一の特性を持つため、条件が同じであれば一斉に咲き一斉に花を散らします。
明治以降、若木から花を咲かせるソメイヨシノの植樹が盛んに行われ、最も一般的な桜となっています。

 尚、古来より桜の名所として名高い吉野山(奈良県)の桜は主にヤマザクラで、約3万本の桜が山全体を埋め尽くす景観は、一目に千本見える豪華さという意味で「一目千本」と言われています。
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「チューリップ」
 春に幕開きがあるとすれば、暦や節句ではなく、暖かな南風「春一番」かもしれませんね。

 冬が頑張っている今年は春一番が吹くのが遅いようですが、各地で4月の並みの陽気となった昨日は、全国最初の春一番が北陸で観測されました。昨年よりも1カ月ほど遅い報せです。

 今日は九州南部や奄美地方でも春一番が吹いたそうですが、全国的には雨風が強く春の嵐の様相です。

 処で、春を彩る花といえばチューリップもその一つですが、オランダを扱ったテーマパーク、長崎県佐世保市のハウステンボスでは恒例の「チューリップ祭」が4月6日までの日程で開催されています。

 心優しいひとり暮らしのおばさんに女神が手渡した球根はやがて花を咲かせ、その中には小さな女の子が座っていました・・・アンデルセンの童話「おやゆび姫」で女の子を包んでいた花がチュウリップであり、昭和初期の俳人、松本たかしは「チューリップの花には侏儒(コビト)が棲むと思ふ」と詠んだそうです。

 このようなメルヘンチックな花ですが、昔投機の対象となり、人々の心を惑わしていたことは、それもまた童話の世界の出来事のような感じがします。

 1630年代のオランダでは、チューリップの小さな球根が、平均的な労働者の賃金の10年分の値段で取引され(現在価値に換算すれば5000万円以上)、借金をしたり家屋敷を売って球根を買い求める人が相次ぎました。
これが世に言う「チューリップ・バブル」で、最終的には多くの人が破たんしたそうです。

 そんなチューリップの昔話は、人間の価値判断の不確かさ、付和雷同の怖さ
を今に伝える教訓ともなっています。
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「国立公園」
 明日はもう「啓蟄」です。
暦の上では冬ごもりをしていた虫たちが穴を啓(ひら)いて這い出してくる頃ですが、気象庁が春の訪れは遅いと予想しているように、まだ少し寒いですね。

 ところで、四季折々の美しい風景があり、山には色とりどりに咲く草花が自生し、新緑と紅葉を映す湖、多彩な表情を見せる渓谷、雪を頂きそびえる峰々、神秘の海に大小の島々・・・
このような風光明媚な日本を代表し、世界的にも誇りうる傑出した自然の風景地を保護し利用を促進する目的で30の自然公園が「国立公園」に指定されているそうです。

 3月5日で「サンゴの日」の今日は、那覇市の西約40キロに位置し、大小30余りの島々で構成され、多様な珊瑚が生息し、ザトウクジラの繁殖海域があることでも知られている慶良間(けらま)諸島とその周辺海域が「慶良間諸島国立公園」として31番目の国立公園に指定されました。
国立公園の誕生は1987年の釧路湿原国立公園以来、27年ぶりのことだそうです。

 ちなみに、国立公園は環境大臣が指定し、国(環境省)が管理しますが、「国定公園」は国立公園の景観に準ずる傑出した自然の大風景として環境大臣が指定し都道府県が管理、「都道府県立自然公園」は都道府県の風景を代表する傑出した自然の風景として都道府県知事が指定し都道府県が管理するといった違いがあるそうです。
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