2013年03月の記事


「桜の季節」
 桜のまぶしい季節、急ぎ足で満開の時期を迎えています。

『ひさかたの 光りのどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ』

『花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』


 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、上記は百人一首の中で桜を歌ったものの一部です。
 この時期、桜の開花や花見などが盛んに巷の話題になりますが、こんな歌もあります。

 「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」

 世の中に桜というものがなかったなら、いつ咲くだろうか、雨風で散ってしまわないだろうかと心乱されることなく春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに、在原業平はそんな気持ちを詠い古今和歌集に残したのが上の歌です。

 桜を愛でる日本人の心を表現した詩文はたくさんありますが、歌舞伎「楼門五山桐(ろうもんごさんのきり)」の中で、これから釜煎りされる大盗賊の石川五右衛門が煙管(キセル)片手に切った見得もこれまた有名です。


 「絶景かな、絶景かな。春の眺めは値千金とは、小せえ、小せえ。

  この五右衛門の目からは値万両、万々両。 

  もはや日も西に傾ぶき、まことに春の夕暮れに花の盛りもまたひとしお。

  はて、うららかな眺めじゃなぁ」
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「桜言葉」
桜の花がすでに満開となっているところもあるようですが、花冷えのお天気のため開花した花が少し長持ちしそうです。

 桜は日本を代表する花であり、日本人には特別な存在の花で、和歌や俳句に「花」とあれば桜の花を指しています。
そんな桜にまつわる言葉をいくつか拾い上げてみました。

 花時(はなどき)     桜の花が咲く時季
 桜狩(さくらがり)    花見
 花盛り(はなざかり)   満開の桜
 花影(はなかげ・かえい) 水面などに映った桜花の影
 花明り(はなあかり)   夜、満開の桜のまわりがほのかに明るく感じる様子
 花衣(はなごろも)    花見に行く際の女性の美しい着物 
 花疲れ(はなづかれ)  花見に行って疲れること
 花人(はなびと)     花見の人
 花守(はなもり)     花の番をしている人
 花篝(はなかがり)    夜桜を見るために花の下で炊かれる篝火「花雪洞」
 花筵(はなむしろ)    桜の花びらが一面に散り敷いている様子
 花曇(はなぐもり)    桜の頃に多い曇天。花を養うとの意で「養花天」
 花の雨(はなのあめ)   花見の頃に降るあいにくの雨「桜雨」
 花の風(はなのかぜ)   桜を散らしてしまう恨めしい風
 花の雪(はなのゆき)   雪のように散る桜花
 零れ桜(こぼれざくら)  散る桜
 花筏(はないかだ)    水面に散った花びらが吹き寄せられ流れていく様子
 残花(ざんか)      散り残った桜花
 桜流し(さくらながし)  散った花びらが雨や水に流れていく様子

 これらの言葉を見ただけでも、桜は古から日本人に、こよなく愛されてきたことが分かります。
ちなみに「花吹雪」は、詩人谷川俊太郎の尊父で哲学者の谷川徹三氏がかつて世界一美しい言葉として激賞した言葉でもあります
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「カレーライス」
歳のせいか、最近「カレーライス」は余り食しなくなってますが、今日はカレーに就いて一席!(#^.^#)

カレーはインド発祥の料理ではありますが、インドやタイ、日本などではそれぞれ独自の発展を遂げ、日本独自のカレーライスは国民食と呼ばれるほどの地位を確立しています。

 カレーも地域によって使う素材やアレンジに違いが見られます。
マーケティング事業を展開するドゥ・ハウスの調査によりますと、例えば自宅でカレーを作る際に最もよく使う肉は、宮城、東京、愛知では「豚肉」、大阪、広島、福岡では「牛肉」がトップとなっているようです。
また、東京では「鶏肉」が2位に来ますが、愛知では2位が「牛肉」となってるそうです。

 カレーにかけたり、添えたりするものは全国的に「福神漬け」と「らっきょ」が定番で、愛知や広島では「チーズ」が上位にくるようです。
また、卵を使ったトッピングに関しても、宮城の1位「目玉焼き」、東京が「ゆでたまご」、愛知と大阪が「生卵」、広島と福岡も「ゆでたまご」といった具合に、地域で特色があります。

 日本のようなカレーを食べる習慣がない中国ではまだ舶来の食べ物で、カレーにとっては大きな可能性を秘めている市場です。

 日本で「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋は、資本関係のあるハウス食品と組んで、2004年に上海市に中国1号店をオープンして以来、現在は北京や蘇州、天津などで店舗数を33店舗まで増やしているそうです。

 また、中国でカレーのルーやレトルトカレーを販売するハウス食品では、カレーライスを中国の「人民食」とするべく現地展開に力を入れているそうです。
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「ホワイトデー」
 本日はホワイトデー。男性の皆様はお返しはお済でしょうか。
今から43年前の本日3月14日、大阪で日本万国博覧会の開会式が行われました。
「月の石」などが話題となり、9月13日の閉会式までの入場者数は6421万人に上ったそうです。


 処で、家でのんびりしたい時や、仕事で疲れた時など、一杯の紅茶があるとホッとしたりしますが、紅茶は産地や茶葉によって様々な個性があり、味わい方も様々ですね。

 以前、専門家が”ブラインド方式”で試飲して選んだおすすめの『ティーバッグ紅茶』という調査結果を目にしましたが、順位は以下の通りとなっていました  (日経調べ)。


 1.ダージリンオータムナル            シンゲル農園

 2.桃の花            リーフルダージリンハウス銀座

 3.ダージリン                   ティージュ

 4.イングリッシュブレックファストティー    TWG Tea

 5.クイーンヴィクトリア         セントクリストファー

 6.ダージリン                     ベノア

 7.シャンパーニュ ロゼ               ルピシア

 8.エディアール ブレンド            エディアール

 9.アールグレイ                ウェッジウッド

10.ヌワラエリア            カレルチャペック紅茶店


 ちなみに、ティーバッグ紅茶を美味しく入れるコツは、最初にお湯でカップを温め、蒸らすときには受け皿などで蓋(ふた)をする。こうすることで透明感があって香り高い紅茶ができるそうです。
バッグを振る、2度漬けする、最後に絞る、雑味やえぐみが出るので、この3つは避けた方が良いそうです。
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「卒業式の歌」
 今は卒業式シーズンですね。卒業式と言えば昔は「蛍の光」や「仰げば尊し」が定番でしたが、今はあまり歌われないことが多いそうです。

 卒業式に歌われる歌を「桜ソング」と呼ぶそうですが、最近の卒業式で歌われることが多いのは「旅立ちの日に」や「きみに会えて」、「大地讃頌(さんしょう)」などの合唱曲、そしてその時代時代で人気の桜ソングで、今年も新しい桜ソングがヒットチャートをにぎわしています。

 ちなみに、あるアンケートで、年代別に聞いた思い出の卒業ソングは下記のようになっていました。


 10代 「3月9日」(レミオロメン)

     「手紙~拝啓 十五の君へ」(アンジェラ・アキ)


 20代 「my graduation」(SPEED)

     「さくら(独唱)」(森山直太朗)


 30代 「空も飛べるはず」(スピッツ)

     「卒業」(尾崎豊)


 40代 「卒業写真」(荒井由美)

     「贈る言葉」(海援隊)

     「卒業」(斉藤由貴)


 他に「道」(EXILE)や「YELL」(いきものがかり)なども人気のようです。

 90年代の後半から全国の小中学校の卒業式でよく歌われるようになった合唱曲「旅立ちの日に」は、先生から卒業生へ贈られた曲で、この曲が歌われるのはその年1回きりのはずでした。

 しかし、次の年から生徒達が歌い継ぐようになり、しだいに周りの学校でも歌われるようになったそうです。
生徒から生徒へ歌い継がれた歌は、学校から学校へ広がり、わずか数年で全国の学校の卒業式で歌わるようになりました。
今は世代から世代へ歌い継がれているようです。
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「葉ワサビ、花ワサビ」
葉や花を食用にする畑ワサビ(葉ワサビ、花ワサビ)が収穫の時期を向かえているようです。

 ワサビは徳川家康も愛好したそうで、大御所として駿府にいた頃、門外不出の御法度品にもなっているそうです。
また、日本的なものをイメージさせるワサビは、仏映画の題名になるほど海外でも知られた香辛料です。

 日本食によく合うワサビと並ぶ香辛料にカラシ(芥子)がありますが、ワサビとカラシは同じアブラナ科の植物で、辛味成分も「アリルイソチオシアネート」という同じ物質だそうですが、ご存知でしょうか? 
ワサビとカラシの風味の違いは主に、グリーンノートという香り成分にあるそうで、これがワサビには含まれ、カラシにはありません。

 ワサビは特別の肥料や手間を必要としないのですが、競争力が弱く、天然のものはあまり大きくなりません。
他の植物を寄せ付けないようにするため、その効果があるアリルイソチオシアネートを土中に出すワサビは、その効果のため自身の成長も阻害されます。

 そのため生食用の沢ワサビは、常に新鮮な水が流れ、アリルイソチオシアネートが土中に留まらない水はけの良い段々畑のようなところで大きく育てられてます。
一方、畑などで栽培される葉ワサビの根は小ぶりで、葉や花が食用にされ、わさび漬けに加工されます。

 ちなみに、チューブ入りワサビの原料には、主に大根臭の少ないワサビダイコン(西洋わさび、ホースラディッシュ、レフォール)を緑色に着色したものが使われており、メーカーによってはワサビ(主に地下茎以外の部分)が50%以上含まれるものを「本わさび使用」、50%未満の場合を「本わさび入り」としているようです。
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「啓蟄(けいちつ)」
はや、ひな祭りも終わり、本日は啓蟄です。
土中に冬ごもりしていた虫たちが一斉に春のことぶれを感じ取り、地上に顔をのぞかせる頃です。

 奈良東大寺のお水取りも始まるようで、草木萌(も)え出る爛漫の春もすぐそこに来ています。


  梅は匂いよ 桜は花よ 

    人は心よ 振りいらぬ  
                   「山家鳥虫歌」近世諸国民謡集 (岩波文庫) *江戸時代の民謡

   梅は匂いよ 木立はいらぬ

    人は心よ 姿はいらぬ
                   「隆達小歌集」

という言葉を思い出しますが、梅はその香を、桜は花の美しさを、そして人は心を愛(め)でよ、といいます。

 そして、人は心があれば外見を飾りつけて装うことなどどうだっていいと言っています。単純なことを言っているようで、なかなかに含蓄が深く、日本古典の素晴らしさかもしれません。
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「不老長寿」
 明日の日曜日は桃の節句・雛祭りですね。
上巳(旧暦三月最初の巳の日)の頃に咲く桃は、安産や強い生命力の象徴とされ、中国ではその実を不老長寿の仙薬とする伝説もあり、さらに魔を祓う力もあるとされていました。
そんな桃の花が雛壇に添えられるのは、女の子の健やかな成長を願ってのことでしょうね。

 ところで、厚生労働省は一昨日、2010年の都道府県別の平均寿命を発表してました。
それによると平均寿命が最も長かったのは男女とも長野で、最短は青森。長野が男性の平均寿命でトップとなるのは5回連続。女性のトップは今回が初めてで、前回まで7年連続で女性のトップだった沖縄県が3位に後退しています。

 2010年の国勢調査を基にした全国の平均寿命は男性が79.59歳、女性が86.35歳ですが、対して長野県の男性の平均寿命は80.88歳、女性は87.18歳となっています。長野県と青森県の差は男性が3.60歳、女性が1.84歳です。

 尚、長野県は「歩け歩け運動」として適度な運動を日常生活に取り入れるよう推進しており、また「減塩運動」として「味噌汁は1日1杯に」「そばやラーメンの汁は半分残す」「漬物は1日につき小皿1杯」など具体的に県民に働きかけています。
また、長野県は1日あたりの野菜の摂取量も日本一で、その
ことが予防医療の点で効果があるとされています。

 長生きと言えば、江戸時代の儒学者・生物学者の貝原益軒が八十歳を過ぎて発表した「養生訓」には長生きの秘訣として身体の養生だけでなく、心の養生についても記しています。

 例えば、長生きし、人生を楽しむためには飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、いたずらに喋りたがる欲といった内欲を抑え、怒り・憂い・悲しみなどを少なくするのが良いとしています。

 「古人、禍は口よりいで、病は口より入といえり。

       口の出し入れに常に慎むべし」(養生訓・第三巻 飲食上)

 まさにそのとおりです。「人生を楽しむこと」の実践者であった貝原益軒には次のような逸話も伝わっています。
 
 園芸好きの益軒は自分の庭に季節の花を植え大切に育てていました。
ある日、お城での用向きで益軒が家を留守にしていた時、留守を預かっていた若者が不注意で益軒が大事にしていた牡丹の花を折ってしまいました。
恐縮している若者に対し益軒は「私が牡丹を植えたのは、楽しむためで、人を怒るためではない」と言って安堵させたそうです。

 ちなみに気づいた方もおられるかと思いますが、この話は昨日の安倍総理の施政方針演説でも引き合いに出されています。
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「ウグイス」
月日が経つのは本当に早いもので、本日から「弥生」。3月1日です。いよいよ春の始まりです。

花月(かげつ)、花見月(はなみづき)、夢見月(ゆめみつき)、桜月(さくらづき)といった別名もあります。
 暦の上では二月初旬の立春から「春」になりますが、気象庁の定義では三月から五月までを「春」と呼ぶそうです。

 弥生の「弥」には「いよいよ」「ますます」といった意があり、植物も愈々生い茂る季節です。

 今の時期にぴったりの梅とウグイスは対のものとして考えられがちですが、実際には梅の開花とウグイスの鳴き初めにはひと月ほどのズレがあり、ウグイスの初鳴き前線はこれからしだいに北上してきます。

 ただ、今年は例年よりも寒い日が続き、梅の開花が全国的に平年よりも遅くなっており、ウグイスの初鳴きは逆に早めのようです。

 14日に佐賀で観測されたウグイスの初鳴きは平年より11日早く、昨年よりも30日早いそうです。
また、福岡では25日にウグイスの初鳴きが聞かれ、こちらは平年より7日早く、昨年よりも9日早い観測となっています。

 関東でウグイスの初鳴きが聞かれるのは平年は3月の中旬ごろですが、今年は梅の花とウグイスの声の両方を同時期に愛でることができるかもしれません。

 ウグイスには、歌詠鳥(ウタヨミドリ)、経読鳥(キョウヨミドリ)、百千鳥(モモチドリ)、匂鳥(ニオイドリ)、人来鳥(ヒトクドリ)、黄鳥(コウチョウ)などたくさんの異名がありますが、やはり春告鳥(ハルツゲドリ)の名がふさわしい鳥ですね。
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