2007年11月の記事


「春菊」
そろそろ鍋料理の美味しい季節となりますが、その鍋料理に彩りを添える「春菊」が、11月から2月にかけて需要のピークとなりますね。

 春に花が咲くことから「春菊」と言われ、関西では「菊菜」(きくな)とも呼ばれるそうです。
ホウレン草や小松菜と並んで代表的な緑黄色野菜で、ベータカロチン(ビタミンA)、ビタミンB・Cなどが多く含まれていますが、ビタミンAやCは、風邪や肌荒れ、ガンを予防してくれます。

 春菊200グラムで1日に必要なビタミンAが摂取でき、他の緑黄色野菜と比べて、鉄・カルシウム・カリウムなどのミネラルが多いのが特徴です。又、食物繊維も多く、便秘に効果を発揮するそうです。

 その独特の香りは、胃腸の働きを促進したり、痰(たん)や咳(せき)を鎮めたりする効果があり、中国では肝機能を増強し、腸内の老廃物質を排出する漢方薬として使われるそうです。

 ちなみに、春菊は入浴剤にすることもでき、菊や葉を陰干しして、ネットや布袋に
入れてお風呂に浮かべると、体をあたため、肩こり、神経痛に効果を発揮するそうです。
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「甘柿」
 甘柿の王様「富有(ふゆう)柿」は今が出荷の最盛期のようですね。

 都会で見かけることはほとんどありませんが、昔は庭先に柿の木を植える家が多く、農村では一軒に少なくても一本の柿の木が植えられていました。
高齢化がすすむ地方の農村では、実をもいで食べる人も少なくなり、たくさんの柿の実がすずなりとなって枝がたわんでいます。

 昔は柿の木にも霊魂が宿っていると考えられていたことや、柿の木は折れやすいこと、そして子どもが木登りをして落ちて怪我でもしないようにと、戒めの意味で「柿の木から落ちたら三年しか生きられない」と言われたものです。
柿の木のそばには実をもぐための竹竿などがありましたが、それでもやはり、たわわに実った柿の木は子ども達にとっては格好の木登りの対象でした。

 柿の実は最後の一つ、あるいは数個を必ず残し全部もいではけないという「木守柿(きもりがき)」の風習がよく知られています。
理由は、自然の恵みを人間が独占するのではなく鳥などに残しておくため、さらには
柿の霊が再生し翌年もたくさん実を結んでくれることを霊界の使いである烏に託すためであったと言われます。

 自然へのいたわりと畏敬。一つだけ残った柿の実があたかも木を守っているかのように見えたものです。

 与えられた恵みに感謝し、他者へもその恵みを残しておく風習は、巡りめぐって自分のためでもあるのでしょうね。
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「大根」
 冬の代表的な野菜に「大根」があります。
短気な人が大根をおろすと辛くなるという話がありますが、どうやらこれは本当のようです。
大根を急いで力まかせにおろすと細胞が壊れ、その時にミロシナーゼという酵素の作用で辛くなってしまうのだそうです。
そのため、昔から短気な人や乱暴者が大根をおろすと辛くなると言われています。

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、大根は部分によって味が違います。
大根の上の方は甘味が強いので、大根おろしや生で食べるサラダに最適です。
真ん中辺りは大きく輪切りにして、おでんやふろふき大根などによく、そして、下の
辛味の強い部分は味噌汁の実にするなど比較的濃い味付けに向いています。

 従って、一人暮らしで大根を半分だけでいいという場合は、どんな料理に使うかを
考えて上下を使い分けるのが最適でしょうね。又、尻尾の部分にクレンザーをつけて、ステンレスのシンクや包丁を洗うと傷がつかずピカピカになります。
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「紅葉」
 上品な甘さと弾力のある歯ごたえで人気の松葉ガニ(ズワイガニ)漁が昨日から解禁となったそうです。
頻繁に口にする食材ではありませんが、焼き、ボイル、鍋、味噌汁にと、何かと大活躍の冬の味覚の王様。大漁を願っています。

 一方、猛暑の影響で遅れている紅葉は、すこし郊外に足を運べば、濃緑だった木々も少しずつ色づき始めています。

 中国の四季は青帝、炎帝、白帝、黒帝という男性の神々がそれぞれ司っていますが、日本の四季は女神が司ります。

 春は佐保姫、夏は筒姫、秋は竜田姫、冬は宇津田姫です。春を司る佐保姫は野山を花で埋め尽くし、秋を司る竜田姫は錦のような見事な色彩で山や里を彩ります。

 木々が一本一本違った色づきを見せる、まるで姫君のような秋の山は、そこで新鮮な空気を吸い、そこに居るだけで、眺めているだけで、身体の細胞が新しいものと入れ替わるような、そんな気分の良さを感じます。

 また、これからの季節は空気も澄み、高原や山など、遮蔽物のない高地から見る星空には格別の良さがあります。
山々の色づきを楽しみ日が暮れた後、上を見上げればまるで宇宙にいるかのような感覚を味わえるはずです。

 日々の暮らしの中では、近くばかりを見つめ気にしがちですが、たまには静寂の中で遥か遠くを眺めてみるのもいいものです。
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「ギンナン(銀杏)」
枯葉の舞う季節ならではの食材「ギンナン」。
茶わん蒸しを食べ終わる頃に底の方から出てくるのが印象的です。
おでんなどの鍋物にも欠かせませんが、電子レンジやフライパンで軽く過熱しただけでも酒のつまみや子供のおやつになり、手軽に秋の風味を楽しめますね。

 ギンナンには、ビタミンCやD、カロチンに加え、良質なたんぱく質が含まれて、滋養強壮や、肺や気管支の働きを高める効果があるそうです。
国内で出回っているギンナンのほとんどが国産で、主な産地は愛知、大分、福島県だそうです。
中でも愛知県の祖父江町は国内の3割以上を生産しており、主に料亭など業務用高級食材として取引されているようです。

 イチョウの木の植えてある公園などで拾ってきてもよいですが、食べられるのは外側の種皮を取り除いた殻の中の黄緑色をした胚乳(はいにゅう)部分です。
外側の種皮は匂いがきついうえ、素手で触って汁が付くとかぶれることがあので注意が必要です。
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「秋蕎麦(新蕎麦)」
鴨南蛮

 昨日は「立冬」、冬の始まりでした。
季節感覚はまだ晩秋ではありますが、一昨日昨日までの「秋晴れ」は、「冬晴れ」あるいは「小春日和」となります。

 気温が下がってくるにつれ暖かい鍋や汁物が恋しくなりますが、ちょうど今は夏蒔きの秋蕎麦(新蕎麦)の時期で、温かい蕎麦が温もりを与えてくれます。

 今は便利な世の中になり、外食産業のチェーン展開により、どこに行ってもいつでも均一な料金で均一な味を求めることができます。しかしながら、料理には本来、地域性や食文化を反映した百種百様の味やスタイルがあります。
蕎麦も然りで、地域や店ごとに風味や食感または製法が違うもので、その違いも美味
しさの一つとなります。

 料理を提供する店の中にはただ作って出すだけの店もありますが、身も心も温めて
くれる料理を提供してくれる店も少なくありません。
ただ美味しいというわけではなく、決して客に媚びているわけでもなく、味に嫌味でない程度の「伝統」や「仕事に対する誇り」「客への思いやり」を感じつつ、口の中に風味が広がる瞬間は思わず笑みがこぼれてしまいます。

 先日、よく行く蕎麦屋で”あつあつ”の鴨南蛮を堪能した後、蕎麦団子を注文しました。
その店では初めてのメニューで、個人的にも初めて口にしましたが、つぶ餡のほのかな甘さと素朴な味わいに身も心も温まる心地でした。
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「さつま芋」
 焼き芋売りの元気のいい声を聞く機会は少なくなりましたが、代わりにスーパーの陳列棚に真空パックとなった焼き芋を見るようになりました。

 サツマイモの種類は多く、よく見かけるのが、皮が赤、実は黄、ほくほくした食感の「紅あずま」や「紅小町」といった品種です。
埼玉県の川越で発見された「紅赤」は“金時”とも呼ばれ美味しいサツマイモの代名詞となっています。

 その金時も市場に出回る量は少ないのですが、栗に勝るようなまろやかな甘さが売りの「クリマサリ」という品種も生産量がわずかであるため、ほとんどが菓子業者へ
出荷され、わずかに産地の直売所で売られるくらいでお店でお目にかかることはまずありません。

 ところで、関東のサツマイモ栽培は、飢饉の際の”救荒作物”として、江戸時代の
初期の蘭学者、青木昆陽(甘藷先生)によって広められたといわれます。

 当初、焼き芋は栗に近い美味なる甘さという意味で「八里半」と呼ばれたそうですが、そのうち「栗より(九里四里)うまい十三里(九里と四里で)」という看板を立てる焼き芋屋が現れ、人気を博したそうです。
当時、産地の川越が江戸から十三里の距離にあったことに由来するという説もあります。

 サツマイモの栄養価の高さは以前ご紹介いたしましたが、アメリカの国立がん研究所がお墨付きを与える抗がん効果(主に肺がん)もあります。

 新芋は7月頃から出回りますが、やはり美味しいのは今の時期からです。
貯蔵して少し水分が抜けたくらいのものは、甘みが増して本当に美味ですね。
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