2007年10月の記事


「山茶花、柊、南天」
南天

 今日と明日とでは一日しか違わないのですが、「10月」と「11月」とでは受ける印象がまるで違います。

 ところで、花の少ないこの季節に花を咲かせる山茶花(さざんか)は、日本原産の
純和風の木で、どことなく平安朝のイメージを抱かせます。
御近所の庭先にある山茶花はまだつぼみの状態ですが、淡紅色、白色の花が今から楽しみです。

 この時期の花といえば、冬の木と書く柊(ひいらぎ)もそうです。
葉は固くて光沢がありギザギザに尖っているのが特徴で、可憐な白い花をつけます。
木犀科に属するだけあって良い香りがします。

 柊には、鬼が目を突かれて退散したという伝説や葉っぱのトゲで邪気を払うとされ、
昔から庭に植える習慣がありました。節分に柊の枝葉を立てておくのも邪気を払うためです。又、クリスマスによく用いられるのはこれとは違い、赤い実を結ぶ柊黐(ひいらぎもち)か西洋柊です。

 邪気を払う縁起ものの木といえば、南天(なんてん)もそうです。開花時期は初夏
ですが、そろそろ赤い実を結ぶ頃です。
「難を転じて福となす」という縁起を担ぎ、福寿草とセットで庭先や鬼門に植えられたり、正月飾りとしてもよく目にしますね。
殺菌効果があるとされる葉は料理の添え物としても用いられます。
諸毒を消し無病息災を願う「南天の箸」や、金閣寺にある茶室「夕佳亭(せっかてい)」の「南天の床柱」は有名です。

 南天の実には消炎、鎮咳薬などの薬効があり、その成分を含むのど飴はこれからの
時期の必需品です。
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「時計」
 明日31日は古代ケルト人の収穫祭を起源とする「ハロウィン」です。
日本においても大きなカボチャをくりぬいて作った「ジャック・オー・ランタン」のオレンジ色がこの時期の街の色としてすっかり定着した感もありますね。

 ハロウィンが過ぎると、翌日からデパートなどではクリスマスに向けた飾りつけが始まり、来年の年賀状が発売になるなど、追い立てられるように気ぜわしさが増していきます。

 追い立てられると言えば、大抵どこの家庭や職場でもいたるところに時計があると思いますが、時計がないと不安という方が少なくありません。
また、少し進ませたり時間がずれた時計がいくつもあり、どれが本当の時間なのか分からなくなってしまったというケースもよくある話です。

「情報」についてもそうですが・・。

 時間を管理しているのか時間に管理されているのか分からない状況の人が少なくないように思う今日この頃です。

 ところで、質問に対する答えから深層心理を明らかにする心理テストの一つに「あなたにとって時計とはどんな存在ですか?」というのがあります。

 この質問の「時計」を「妻」や「夫」あるいは「恋人」に置き換えると自分にとって相手はどのような存在かが浮き彫りなるというものです。皆様の場合は如何でしょう?
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「牡蠣」
西洋では、スペルの中に「Rのつかない5〜8月は牡蠣(かき)を食べるな」と言われているそうですが、日本では「花見過ぎたら牡蠣食うな」と言います。
産卵期の夏場は身がやせるうえ、海の細菌汚染で食中毒を起こしかねないからです。

 その牡蠣(かき)は、これから寒さが増すにつれて美味しくなってきます。
西洋や中国では紀元前から食卓に上り、シーザーやナポレオン、ビスマルクなど英雄たちの好物だったそうです。

 主産地は三陸沖や三重、広島などですが、別名「海のミルク」とも呼ばれ、旬の牡蠣はうまみ成分のアミノ酸や亜鉛、ミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれ、牛乳並みの栄養価があります。
フライや鍋、また酢やレモン汁をかけて生で食べる・・・等々、いずれの食べ方でも
これからの牡蠣は格別ですね。
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「お歳暮」
 「歳(年)の暮れ」と書いて「お歳暮」。
今では、お世話になった人に日頃の感謝の気持ちを込めて年末に贈る「贈り物」を指しますが、もともとは、「歳暮の礼」といって、新年を迎えるために必要な食べ物を
実家などに持って行く習わしだったそうです。

 最近は、インターネットでの予約が増えているようですが、お歳暮ランキングを見てみますと、ハム、コーヒーセット、洗剤、シャンプー、海苔、かに缶、メロン、明太子といったところが上位にならんでいます。

 ところで、先方が喪中の場合にどうしたらよいのか気になるところですが、喪中とは仏式では四十九日、神式の場合は五十日とされています。
歳暮は「ふだん世話になったお礼」という性質のものなので、一般には不幸に関係なく贈っても良いと言われています。

 ただし、亡くなってからあまり月日がたっていない場合は、贈る時期を少し遅らせるのが良く、また、赤と白の水引が気になるのなら、白短冊を使うのも一つの方法だそうです。
尚、一家の主が亡くなった家庭には、簡単な手紙を添えた上で「忌中御見舞」と書いて届ければ、相手への慰めにもなります。
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「雨がえる」
関東地方ではしばらく秋晴れの日が続いていたのですが今日もあいにくの雨模様。
行楽の秋はお預けでしょうか?

 ところで雨と言えば、このような昔話をご記憶でしょうか?

 昔、あるところに、かえるの母と子がいました。
子供は親の言うことをまったく聞かず、母親が「川へ行け」といえば山へ行き、「山へ行け」といえば川へ行くというぐあいです。
ある時、重い病気にかかった母がえるが、死の間際に考えました。
「死んだら山にうめてほしいけれど、そのまま伝えるとあの子は川原へうめるだろう。
川原へうめてくれと頼めば、きっと山にうめるにちがいない」と。

 そこで母がえるは子がえるを呼び、「わたしが死んだら、川原へうめてくれ」と言い残して死にました。
子がえるは、親が亡くなって、はじめて今まで逆らってばかりいたことを悔やみました。
「母さんのことばの聞きじまいだから、こんどばかりは言われたとおりにしよう」と思い、母がえるのなきがらを川原にうめました。

 ところが、雨がふりだすと、水かさが増した川の流れに、母がえるのお墓が流され
そうになりました。子がえるは心配のあまり、「母さん、流されるな、げろ、げろ、げろ」と鳴き続けました。
それからというもの、かえるは、雨が降りそうになると、母がえるのお墓が流されるのを心配して「げろ、げろ、げろ」と鳴くようになったそうです。

 これは、親は子供のいうことにその都度グラついてはいけないという物語となっています。

 相手を気遣うあまり、望まない結果を招くということはよくある話です。
また、同調して態度をぐらつかせることは、結局、相手を不安にもします。
短い話ではありますが、結構考えさせられるお話です。
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「体内時計」
 気象庁は今年の4月、10年ぶりに予報用語を改正し、人によって感覚が違うとの理由から従来使われていた「宵のうち」などの表現が削除されました。
18時頃から21時頃を指す「宵のうち」は「夜のはじめ頃」に改められています。

 ところで、動植物達は気温や日照時間などの微妙な変化から行動を変化させています。
つまり、冬眠や落葉、日々の睡眠など、動植物には地球の自転や公転に合わせた生理的なリズムが備わっています。

 人間の場合ももちろん例外ではなく、体を作る細胞に備わる時計遺伝子は約24時間周期で体温やホルモンの分泌などを調節しているそうです。
これが一般的に「体内時計」と言われるものです。

 「時計」という名前が付くくらいですから、時計合わせの起点となるものが存在します。
それは「朝の光を浴びること」であり、それによって人間の身体は活動の準備に入る
そうです。
ちなみに太陽の光でありましたら曇りの日の窓際でも十分だそうです。

 また、最近の研究では、真夜中に光を浴びていると眠れなくなることがあることが実験によって科学的に裏づけられています。
光の刺激で細胞に組み込まれている体内時計が機能停止に陥り、細胞のリズムがバラバラになってしまうそうです。

 夜長の秋はついつい宵っ張り(よいっぱり:夜更かし)になってしまいますが、体調管理のためにたまには意識して生活のリズムを調整することも必要でしょうね。
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「キノコ」
秋はキノコの美味しい季節ですが、キノコと聞いて思い浮かべる名前は、「シイタケ」・「マツタケ」・「エノキダケ」・「ナメコ」・「マッシュルーム」・・・等々、数多くあります。

 先日、全国の主婦に好きなキノコを訪ねたアンケート調査を目にしましたが、第1位は「シイタケ」でした。
シイタケはシメジやマツタケと同じキシメジ科で、日本では古来から親しまれています。
特有の香りは好き嫌いが分かれるようですが、どんな料理にも使えるなど実用性を評価する声が多く、76%が好きと答えています。

 ちなみに、「主婦が好きなキノコ」の順位は、以下のようになっていました。

   1.シイタケ    (シイ、カシなど広葉樹の枯れ木や倒木に生える)
   2.マイタケ    (ミズナラなどブナ科広葉樹の根元に生える)
   3.エノキダケ   (広葉樹の切り株に発生)
   4.ナメコ     (ブナの倒木や切り株に群生)
   5.マッシュルーム
   6.ホンシメジ   (ミズナラなどの雑木林、マツとの混成林に群生)
   7.エリンギ    (東欧や地中海沿岸が原産)
   8.ブナシメジ   (ブナなど広葉樹の倒木や枯れ木に発生)
   9.キクラゲ    (広葉樹の枯れ木などに付く)
  10.マツタケ

 マツタケは10位と意外にふるいませんが、「食べたことがない」、「ほとんど食べない」が半分近くを占めるなど、家庭では縁遠い食材なのかもしれません。
尚、キノコにはカロリーはほとんどなく、ビタミンやミネラル、繊維質が多く含まれています。

 キノコはもともと『樹の子』の意味があるそうです。
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「梨」
人の味覚は、暑い夏は甘さを求め、季節の移り変わりと共に次第に控えめの甘さから酸味のある物を求めるようになるそうです。

 今スーパーなどの青果売り場には、ナシがずらりと並んでいますが、日本梨はタネ回りに酸味があり、皮の近くが最も甘いそうです。
古くから日本人に親しまれている秋の果物の代表格ですが、なかでもこの9月に最盛期を迎えるのが大型で丸い「豊水」。

 「豊水」は日本ナシの生産量の約3割を占め、「幸水」に次いで生産量が多く、1個3〜400グラムと他のナシと比較的して大玉なものが多くあります。
果肉は軟らかくて、みずみずしいのが特徴で、甘みと酸味のバランスもよいことから
ナシの最高級品と評価する人もいます。

 主産地は関東だそうで、生産量首位は茨城県、そして千葉県、栃木県と続くそうです。
 店頭で選ぶ際には、高さがあるものより横に張りのものが良いそうです。
また、冷蔵庫などでの保存の際には「ヘタの部分を下にしておく」とより長持ちするそうです。
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「壺坂霊験記」
「夢が浮世か浮世が夢か」で始まる有名な浄瑠璃があります。遠い昔の、壷阪寺という寺の麓に住む、視力を失い苦しんでいる沢市とその妻、お里のお話です。

 心優しいお里は、苦しむ沢市を救うため、夜が明けきらぬうちに家を出、薄明かりを頼りに険しい参道を登り、毎日、壷阪寺の観音様に願を懸けに行くのですが、そうとは知らない沢市はお里の浮気を疑います。

 それを知ったお里は、あまりの情けなさに言ったのが「三つ違いの兄さんというて暮らしているうちに情けなやこなさんは、生まれもつかぬ疱瘡(ほうそう)で、眼界の見えぬそのうえに、貧困にせまれどなんのその、いったん殿御の沢市さん・・」という有名なセリフです。
(夫を)三歳年上の兄さんと言いながら暮らしているが、夫は突然の疱瘡で視力を失い、その上ますます貧乏になったけれど、いつまでも偉そうにしている沢市さん・・という意味です。

 お里の愛情を知った沢市は、病が治癒するとも思えず、お里への感謝と詫びる気持ちを胸に身を投げてしまい、気づいたお里もすぐに後を追います。
観音様はそんな二人の命を助け、沢市の目まで治してくれたそうです。

 これは明治期に大ヒットした「壺坂霊験記」という文楽で、その後、浪花節(浪曲)にも移され、「妻は夫を労わりつ、夫は妻を慕いつつ」の名調子で一世を風靡しました。

 ところで、内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、「夫は仕事、妻は家庭」との家庭観に対して「反対」と答えた割合が、1979年の調査開始以来初めて5割を超えました。
外で仕事を持つ妻が増えてきた現在は「夫は妻を労わりつ、妻は夫を慕いつつ」の気持ちが多少なりとも必要なのかもしれません。
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