2012年10月の記事


「蕎麦(そば)」
  通常、年2回収穫される蕎麦(そば)は春蒔きの夏蕎麦と夏蒔きの秋蕎麦に区別され、今はちょうど秋蕎麦の収穫時期で、新蕎麦を味わうのがこの時期の楽しみの一つとなっています。

 一般的には、夏蕎麦よりも秋蕎麦の方が好まれる傾向があります。
自家製の蕎麦を挽いている店や馴染みの店の新蕎麦であれば間違いありませんが、日本各地で栽培される蕎麦の収穫時期は地方によって異なり、従って新蕎麦として出回る時期も微妙に違ってくるということと、国内で消費される蕎麦の8割は輸入されてるのが現状です。
自身の舌で新蕎麦を見分けることはなかなか難しいと言えます。

 ちなみに現在は、製粉技術の進歩により蕎麦殻や甘皮が混じらない蕎麦が挽け、白い蕎麦が作れるようになったそうです。白い蕎麦と黒い蕎麦は、蕎麦の割合が多いと黒くなると思われがちですが、蕎麦粉の割合というよりも、風味やその他の理由で白黒の違いが生じている場合が多く、一般的には”更科蕎麦”や”御膳蕎麦”は色が白く、藪蕎麦や田舎蕎麦は黒っぽい蕎麦となってるようです。
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「秋味」
秋も深まり、山も空も川もきれいで、おいしい食べ物がたくさんあります。
それを象徴するかのような「秋味」という言葉があります。

 秋、産卵のために河川に帰ってくるサケのことを、東北や北海道では「秋味」と呼ぶそうです。秋サケのことです。
サケは主に春と秋に捕られますが、春に捕れるサケのことは「時知らず」と言うそうです。
方言や俗語を集めた江戸期の辞書「俚言集覧(りげんしゅうらん)」で、すでに「秋味、鮭(サケ)を云(い)う」とあります。

 元々はアイヌ語で「秋の魚」という意味の「アキアチップ」にルーツをもち、これに「秋味」の字があてられたようです。アイヌ人のたんぱく源は主に鹿肉で、秋に捕れるおいしいサケは季節を感じるうれしい味だったに違いありません。
サケは、和人(日本人)との貴重な交易品でもありました。

 いまやサケは最も身近な魚の一つです。温かいご飯にのせる真っ赤なイクラも格別です。
四季それぞれに、それぞれの食べ物の味を楽しむ喜び、これがまた格別です。
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「バナナ」
朝食は「バナナ」1本とコーヒー、これだけで出勤という方も多いようですね。
バナナには「カリウム」が豊富で、「食物繊維」や「フラクトオリゴ糖」、「マグネシウム」等が含まれています。カリウムは血圧を抑える効果があり、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病の予防に効果があるそうです。

 また、マグネシウムは新陳代謝に欠かせず、食物繊維は消化を促進し、便秘改善に効果的。フラクトオリゴ糖には腸内のビフィズス菌を増やす効果があり、バナナを食べると大腸がんにかかりにくいという話しもあります。

 時間がない時にはすぐに食べられ、栄養豊富で美味。そして1本30円程度と安く、手軽に栄養補給できるバナナ。本当にありがたい食材です。

 ちなみに、バナナの輸入先はフィリピンが圧倒的なトップで90%超を占め、次いでエクアドル、台湾と続くそうです。
国内産では、沖縄県が約50%、鹿児島県が約45%を占めているそうです。
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「落ち鮎(あゆ)」
 「アユ」と言えば、旬の夏にこそ味わう魚、というイメージが強いようですが、晩秋に向かうこの時期、各地の河川では、地元の人々が、腹に卵を抱えた子持ちのアユ(落ちアユ)に舌鼓を打っているそうです。

 アユは海に近い河口で生まれ、一度海に出て稚魚となり、やがて春になると川の上流へ向かって上り成長します。
秋風が吹く頃になりますと、産卵するため再び海を目指して川を下り、河口付近で産卵します。

 落ちアユとは、この秋の産卵期に川を下ってきたアユのことです。
アユの名
の由来には諸説あるようですが、秋に川を下る様子から、「落ちる」の古語である「あゆる」が転じてついたとも伝えられています。

 「落鮎(あゆ)の身をまかせたる流れかな」(正岡子規)
とうたわれるなど落ちアユは秋の季語ともなっています。

 炭で塩焼きにした子持ちのメスの落ちアユはプチプチとした食感が広がり、春や夏のアユがさわやかで若々しい味が魅力なら、こちらは円熟味のある大人のうまみといったところです。

 秋の産卵が終わると死んでしまうアユ、年魚と呼ばれる由縁ですが、落ちアユの味わいには、その短い一生分のうまみが凝縮されているようです。
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「ボラのヘソ(カラスミ)」
 ボラは秋から冬にかけてが旬で、外湾で獲れた鮮度の高いボラは臭みもなく、刺し身の美味しさはタイにも劣らないと言われます。

 ボラの胃の幽門は「ボラのヘソ」と呼ばれ、こりこりとした食感の珍味。卵巣を塩漬けにした「からすみ」はウニ、コノワタと併せて「日本三大珍味」と呼ばれ、高級な酒肴として有名です。

 ただ、東京湾などの内湾で獲れたボラにはドロ臭いものが多いことや、本来の目的である魚を釣るのに邪魔になることがあるため、ボラを嫌う釣り人も少なくないようです。

 ボラは古くから食用にされてきた魚で、ブリやクロダイ、スズキなどと同様、本来は縁起の良い出世魚です。

 日本人と馴染みが深いボラから派生した言葉も少なくありません。
 例えばボラの稚魚名そのものの「オボコ」は、うぶな世間知らずという意味で使われ、幼い様子や可愛いことを表す「おぼこい」の語源ともなっています。

 粋で勇み肌の若い衆を「イナセ」と呼ぶのもボラの幼魚名の「イナ(鯔)」からきており、当時魚河岸の若い衆の間で流行した跳ね上げた髷(まげ)の形をイナの背びれに例えて「鯔背銀杏」と呼んだことや、若い衆の髷の青々とし
た剃り跡を、イナの青灰色でざらついた背中に見たてた事に由来すると言います。

 ボラの成魚は「トド」と呼ばれますが、これ以上大きくならないことから、「結局」「行きつくところ」という意味の「とどのつまり」という言葉が生まれました。
 年若で未熟な人のことを意味する「青二才」も、一説によるとボラなどの稚魚を「二才魚」または単に「二才」と呼ぶことに由来していると言います。
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「秋浪漫」
り変わってゆきますが、低地ではまだ紅葉には早く、今は秋の桜と書くコスモスが満開です。

 ところで、中国の四季は青帝、炎帝、白帝、黒帝という男性の神々がそれぞれ司っていますが、日本の四季は女神が司ります。

 春は佐保姫、夏は筒姫、秋は竜田姫、冬は宇津田姫です。春を司る佐保姫は野山を花で埋め尽くし、秋を司る竜田姫は錦のような見事な色彩で山や里を彩ります。

 木々が一本一本違った色づきを見せる、まるで姫君のような秋の山は、そこで新鮮な空気を吸い、そこに居るだけで、眺めているだけで、身体の細胞が新しいものと入れ替わるような、そんな気分の良さを感じます。

 また、これからの季節は空気も澄み、高原や山など、遮蔽物のない高地から見る星空には格別の良さがあります。
山々の色づきを楽しみ日が暮れた後、上を見上げればまるで宇宙にいるかのような感覚を味わえるはずです。

 日々の暮らしの中では、近くばかりを見つめ気にしがちですが、たまには静寂の中で遥か遠くを眺めてみるのもいいものです。
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「キノコ(樹の子)」
 秋はキノコの美味しい季節ですが、キノコと聞いて思い浮かべる名前は、「シイタケ、マツタケ、エノキダケ、ナメコ、マッシュルーム・・・」等々、数多くあります。

 全国の主婦に好きなキノコを訪ねたアンケート調査では、第1位はシイタケ。
シイタケはシメジやマツタケと同じキシメジ科で、日本では古来から親しまれてきています。
特有の香りは好き嫌いが分かれるようですが、どんな料理にも
使えるなど実用性を評価する声が多く、76%が好きと答えています。

 「主婦が好きなキノコ」の順位は、下記のようになっていました。

 1.シイタケ    (シイ、カシなど広葉樹の枯れ木や倒木に生える)
 2.マイタケ    (ミズナラなどブナ科広葉樹の根元に生える)
 3.エノキダケ   (広葉樹の切り株に発生)
 4.ナメコ     (ブナの倒木や切り株に群生)
 5.マッシュルーム
 6.ホンシメジ   (ミズナラなどの雑木林、マツとの混成林に群生)
 7.エリンギ    (東欧や地中海沿岸が原産)
 8.ブナシメジ   (ブナなど広葉樹の倒木や枯れ木に発生)
 9.キクラゲ    (広葉樹の枯れ木などに付く)
10.マツタケ

 マツタケは10位と意外にふるいませんが、「食べたことがない」「ほとんど食べない」が半分近くを占めるなど、家庭では縁遠い食品なのかもしれません。
尚、キノコにはカロリーはほとんどなく、ビタミンやミネラル、繊維質が多く含まれています。
又、キノコはもともと「樹の子」の意があるそうです。
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「ブランデー」
スーパーなどの店先では旬のブドウが所狭しと並んでいますが、このブドウを発酵させたものがワインであり、更に蒸留・熟成させるとブランデーとなりますね。
ちなみに、ウイスキーもブランデーと同じく蒸留酒で製造方法はほとんど同じですが、ウイスキーは穀物を原料とし、ブラン
デーはブドウ(現在は全ての果実)を原料としているところに違いがあります。


 ところで、ブランデーの瓶のラベルにV、S、O、Pの組み合わせや星型の印がついているのを目にしたことがあるかと思います。
ブランデーには、はじめに酒庫に入って、最後に庫出しされるまでの年数によって厳然たる階級序列があり、古ければ古いほど格が上がる完全年功序列型となっています。

 星は数が多くなるほど長く貯蔵されたことを表し、五つ星より古いものは、V・O、V・S・O、V・S・O・P、X・Oなどで表示されてるようです。

 記号の意味は、

 V=Very(非常に)
 S=Superior(極上)
 O=Old(古い)
 P=Pale(年数が経って自然の色が出た状態)
 F=Fine(良質)
 X=Extra(特別)

といった具合です。

 その大まかな基準は、V・Oが12~15年、V・S・Oで15~20年、V・S・O・Pで25~30年、X・Oで40~45年貯蔵したブランデーに使われることになるそうです。
さらに、その上にはナポレオン、エキストラなどがありますが、ナポレオンは会社によって65年から100年を超えるものに、またエキストラは「特別の」という本来の意味で用いられることが多く、普通70年以上のブランデーに付けられるそうです。
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「食欲の秋」
  昨今、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が問題となっていますが、これらの病気には「肥満」が深く関わっており、食生活には特に気を配る人が増えています。
生活習慣病とは、毎日のよくない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気であり、日本人の3分の2近くがこれで亡くなっています。

 それに関連して、「ワカメ」や「コンブ」に含まれる成分に、代謝を活発にして脂肪の蓄積を抑える肥満抑制効果があることを以前に北海道大学の研究グループが確認しています。

 マウスを使い、エサの中に大豆油7%を入れて3週間飼育したところ、20グラム弱だったマウスの体重が平均39.7グラムになったのに対し、ワカメの脂質2%を混ぜた場合は、平均34グラムとなり、約14%体重が少なかったそうです。

 「食欲の秋」、これからは何を食べても美味しい季節ですが、肥満予防に繋がる可能性がある「ワカメ」や「コンブ」、見直してみる価値がありそうです。
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「柳葉魚(シシャモ)」
 「柳葉魚」と書いて「シシャモ」。これから、そのシシャモの旬となります。
卵の食感が魅力のメスの子持ちシシャモが人気ですが、オスも身が締まっていてなかなかです。
アイヌの人々の間で、シシャモは神様によって柳の葉からつくられたと言い伝えられてきました。
このため、漢字では「柳葉魚」と書くそうです。

 唯、「シシャモ」と申しましても、日常、スーパーや居酒屋などで目にするシシャモは本物ではないケースが多いそうす。国内で出回るシシャモのほぼ9割がノルウエーなどからの輸入物が中心で、北海道産のものは1割未満に過ぎません。

 輸入物はシシャモではなく、カペリンという品種で、店頭でラベルを見ると「カラフトシシャモ」という名で並んでいます。
生態的な面も全く違っていて、シシャモは秋に川を遡上して産卵しますが、カペリンは一生海で暮らします。

 栄養面で申し分ないシシャモは、6匹程で1日に成人が必要なカルシウム分600mgが含まれているそうです。
その他、A・B2・D・Eなどのビタミンが多く、干し物にすることによりビタミンDが増加、カルシウムの吸収を助ける効果もでてくるそうです。
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「香母酢(カボス)」
漢字で「香母酢」と書いて「カボス」。
この9月から10月にかけてが旬で、食卓で爽やかな香りを楽しむことができます。

 料理の風味を豊かにする酸味料として焼き物や鍋物などに果汁を搾って使われることが多いようですが、ビタミンCの宝庫であり、血液を浄化したり、新陳代謝を盛んにしたり、疲労回復、さらにはダイエットにも効果があるということで、アルカリ性健康食品としての注目度が昨今高まっています。

 縦と横に切ると汁をしぼりやすく、サンマにかけたり、カレーや焼酎(しょうちゅう)にたらしたり、蜂蜜とまぜて水で割ってジュースにしたりと、色々なものに合わせて楽しむことができます。

 ちなみに、カボスは大分県で古くから栽培され、全国に出回るカボスの99%は大分県産だそうです。
色と形が似ているため、徳島県特産の「スダチ」と混同されることがありますが、大きさが全く違い、スダチは30~40グラム程度、カボスは100~150グラム程度となっています。

 購入する際は、果皮が硬く、濃い緑色をしたものを選ぶと良く、保存は涼しく暗い場所が最適だそうです。
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