2010年04月の記事


「親心」
 暖かい日もあれば寒い日もあるように、人生にも良い時期と辛抱の時期があります。

 中国では、生まれたばかりの赤ん坊に、酢をなめさせ、塩をなめさせ、苦い薬をなめさせ、さらにトゲのある”カギカズラ”をなめさせ、最後に砂糖をなめさせる「五香の儀式」というのがあるそうです。

 人生は「すっぱく」「からく」「にがく」「痛い目」に逢わなければ「甘い」ものにはありつけないということを、この世に生をうけたばかりの赤ん坊に体験させるというわけです。
もちろん、困難に打ち克って素晴らしい人生を勝ち取ってほしいとの親の願いが込められています。

 日本にも「一生食べるのに困らないように。健やかに育つように」との願いを込めて、一歳の誕生日に一升のお餅を背負わせるといった風習が残ってますが、もちろんこれにも「困難に負けぬように」との願いが込められています。

 愛情の注ぎ方も様々ですが、簡単に諦めたり へこむ人が多い世の中で、上記のような風習には見失いがちですが、大切な何かが残されているような気がします。
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「一期一会」
 誰もが日常生活で初対面の人と話す機会があると思いますが、第一印象が肝心であるのは言う迄もない事でしょうね。
第一印象とは、単に見栄えだけではなく、その人の所作そのものです。

 お互いの生活や仕事上で関わりがない相手との偶然の出逢いの場合、こちらの印象や振る舞いなどどうでもいいと考える人がいるかもしれませんが、そうした考えはそうではない場合にも見え透いてくるものです。

 英語では「一度与えた第一印象をやり直すチャンスは二度と訪れない」と言いますが、和語では「一期一会」です。

 You never get a second chance

 to make a first impression.


 一期一会とは、もしかしたら二度とは会えないかもしれないという覚悟で人に接しなさいという心得であり、その方法として武道や芸道には「残心」というのがあります。

 武道においては、勝負が決した後も、相手を意識しながら反撃を瞬時に返すことができるよう身構えている精神の事を言い、試合において残心がないと勝敗が無効とされることもあります。
例えば剣道の試合では一本取った事を喜び、ガッツポーズなどすれば、奢り高ぶっていて「残心」が無いとみなされ、一本を取り消される場合もあるそうです。

 「残心」とは最後まで心を残すこと。心を途切れないさせないことであり、それは相互扶助であるという認識を忘れずに心の緊張を持続させること、相手を尊重する思いやりの心でもあります。

 普段の生活においては、だらしなくない事や気を抜かない事、卑怯でない事であり、決して驕らず高ぶらず、最後まで「きちっと」する事です。

 一期一会の気持ちで「残心」を持って人に接すれば、価値ある人との出会いがあり、一期一会(生涯にただ一度の交わり)ではなくなり、自分の人生も豊かなる、改めてそう思う今日この頃です。
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「花心(はなごころ)」
 一雨ごとに暖かさがます此の頃ですが、ところどころで咲いている花の色数もずいぶん豊富になってきました。

 コンクリートを割いて上に伸びる自然の植物たちのたくましさは、人間のそれよりも遥かに凌いでいるように思えます。

 花は、どんなに厳しい風雪にも耐え、当たり前のように花を咲かせようとします。
花に心はありませんが、花が花を咲かせようとする心を「花心(はなごころ)」と言います。

 人も然りで、皆等しく一粒の種、自分なりの花を精一杯に咲かせようと努力しています。

 
 「天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び 人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」   武者小路実篤
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「手紙文」
 最近はTEL,メールと通信手段が多様化して手紙を書く機会が少なくなってますが、手紙文を書く際に時折迷うのが、頭語(冒頭に書く言葉)と結語(結びに書く言葉)の組み合わせです。
例えば、「拝啓」で始めて「敬具」で締めるのが一般的な頭語と結語の組み合わせで、「拝啓」は「拝=つつしんで」「啓=申し上げる」という意味となり、「敬具」は「敬=つつしんで」「具=申し上げました」という結びになります。

 手紙を出す相手が媒酌人や恩師などの場合には、より丁寧な頭語と
結語を使いますね。
例えば、「謹啓」→「敬白」などで、「拝啓」→「敬具」と意味は同じですが、より一層丁寧な表現になります。

 また、急用の手紙の場合には、「急啓」→「早々」と書き、時候の
あいさつを省略する場合には、頭語を「前略」「冠省」などと書き、
結語は「早々」などで結びます。
「早々」とは、「ぞんざいな走り書きで、失礼しましす」という意味です。
死亡通知やお悔やみなど弔事の手紙には、頭語を省くのが習わしで、
「敬具」などの結語は使ってもよいそうです。

 尚、女性の手紙では頭語はあまり使わず、結語は「かしこ」で終わるのが一般的です。「
かしこ」とは「恐れ多い」という意味の「畏し(かしこし)」の語幹で、「これで失礼します」といった意味となります。
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「夏も近づく八十八夜・・♪」
此処に来て寒暖の差が激しい日が続いてますが、
暦はそろそろ「夏も近づく八十八夜・・♪」のほうに移って行きます。
八十八夜は、立春からかぞえて八十八日目にあたる日で、五月二日頃でしょうか。
古から夏への準備をする決まりの日、縁起のいい日とされてきました。
また、八十八夜の別れ霜というように、この頃から霜もなく安定した気候となり、
茶摘み、苗代のもみまき、蚕のはきたてなど一般に農作業の目安とされています。
しかし「八十八夜の忘れ霜」「さつき寒」とも言い、急に気温が下がって霜が降り、
農作物や果樹に思いがけぬ被害を与えることを警戒したことばもあります。


霜なくて曇る八十八夜かな    正岡子規


 八十八夜といえば茶摘み。茶どころ静岡では、新茶の初取引が行われます。
場内には威勢のいい三本締めが響き渡り、明るいムードに包まれます。

 また、西日本のでは初夏の味、トビウオ漁も盛んです。
関東以北ではあまり馴染みのない味ですが、西日本では故郷の味の一つです。

 八丈島や三宅島では”クサヤ”になり、関西の”トビ揚げ(シンジョウ揚げ)”、
ダシに使った九州地方の”アゴ出汁”等々。呼び名も「アゴ」「トビ」「ウズ」「ツバクロ」
「フルセン」「タチョ」「マイオ」等々、各地で様々ですね。

 春を感じて間もないのですが、春と夏が少しずつ入れ替わってゆくのを感じる今日この頃です。
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「六曜(ろくよう)ー大安」
本日は「大安」です。
冠婚葬祭などの日取りを決めるときに、「大安なので、この日に結婚式を・・・」とか、
葬儀の日を決めるのに「友引なので、葬式を繰り上げよう・・・」といった話をよく聞きます。

 ここで使われている「大安」・「友引」などは、古代中国の「六曜」(ろくよう)という暦の考え方にもとづいており、三国志で有名な「諸葛孔明」が戦いの際に吉凶の日を知るのに利用したことに端を発しているそうです。
但し、三国時代から六曜があったということは疑わしく、後世のこじつけであるとするのが定説となってるようです。

 この六曜が日本に伝わったのは江戸時代半ばで、いつしか暦に記されるようになって現在に至っています。
現在使われている六曜のそれぞれの日には、次のような意味があります。


【先勝】(せんしょう、せんがち)

 先んずれば勝つの意味で、早ければ吉。
 万事朝から昼までにすれば障りなしとされています。

 友引】(ともびき)

 凶事に友を引くの意味で、午(うま)の時刻(正午頃)は特に悪く、この日の葬式は大いに忌むべしとされています。

【先負】(さきまけ、せんぶ)

 先勝の逆で、先んずれば負けるの意味。
万事朝から昼までが悪く、昼過ぎからは吉とされています。

 仏滅】

 仏も滅亡するような最悪の日の意味で、移転・開店をはじめ、何事も忌む日とされています。

【大安】

 大いに安しの意味で、旅行・婚礼など万事において吉日のめでた日とされています。

 赤口】(しゃっこう、しゃっく)

 陰陽道(おんみょうどう)でいう凶日(きょうじつ)の一つで午時刻(正午頃)だけが吉、朝夕は凶で、特に祝い事は大凶とされてい ます。

元々は、1箇月(≒30日)を5等分して6日を一定の周期とし(30÷5 = 6)、それぞれの日を星毎に区別する為の単位として使われたようで、”七曜や旬”のような使い方がされていたようです。
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「花水木」
桜の花と入れ替わるように”花水木”がピンクや白い花を咲かせています。
元々はアメリカ原産のこの木は、明治の頃、当時の東京市長がアメリカに桜の木を送った返礼として届いたもので、白く際立つ花は春の風物詩としてすっかり日本に定着した感がありますね。
最近では”一青窈 ”が歌ったヒット曲としても知られています。

日本がアメリカに送った桜の木は、ワシントンDCのポトマック河畔に根付き、今では世界的な桜の名所となっているそうです。

 処で、スーパー等には、冬が終わる頃から、フキノトウ、フキ、菜の花、ウド、セロリ等々、独特の苦味を持った春の野菜が並んでいます。
 この苦味は冬の間に蓄えられたビタミンやミネラル類によるもので、昔から「春は苦いものを食べよ」と言い伝えられてるように、冬の間に身体に溜まった毒気を取り除いてくれる作用があるそうで、口に広がる若々しい苦味は春の味そのものです。

 又、この時期、売り場で目を引く「蓬(よもぎ)餅(草餅)」も春の味です。
蓬は山野のいたるところで自生している草で、駆虫や止血効果のある仙人草としても知られ、蓬の葉を乾燥させ、裏側の綿毛を集めた「もぐさ」はお灸として用いられてます。

 昔食べた蓬餅と比べると、最近のは風味がまるで違うのですが、それでも、野趣豊かで香気高く、苦味を伴った独特の風味があり、餡を包んだその味はどこか懐かしく感じられ、春の味そのもです。
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「ハルリンドウ」
ハルリンドウは、日当たりのよい野山に生える2年草で、北海道から九州まで広く分布してます。
花期は3~5月で、花は朝日を受けると開花し、夕方に閉じます。

フデリンドウとよく似ていますが、*ロゼッタ状の根生葉をもつところが異なります。

*地表に葉を平らに並べた植物の状態
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「山吹の花」
 季節には色があります。「ジャパン・ローズ」とも呼ばれる山吹の花の、鮮やかな黄色も春の色です。

**イギリスでは 「イエロー・ローズ(黄色いバラ)」 「ジャパン・ローズ(日本のバラ)」と呼ばれる。

 山吹で思い浮かぶのは、室町時代の武将で、江戸城を築城したことで知られる太田道灌の話です。
主家に忠義を尽くし、天才的な戦略家でもあった道灌は歌人としても有名です。


「急がずば 濡れざらましを旅人の あとより晴るる 野路の村雨」(太田道灌)

 道灌のこの歌は、その風情とともに、思慮が浅くせっかち故に失敗することを分かりやすく説明した名句です。

 若かりし頃の道灌は、平家物語の「驕れる者、久しからず」を引用してたしなめる父親に対し、「驕らざるも、また久しからず」と返すほど鼻っ柱が強かったそうです。
そんな道灌がある時、雨に降られ蓑を借りようと農家に所望したところ、その家の娘は返事の代わりに山吹の花を道灌に差し出しました。
意味が分からなかった道灌は後でそのことを恥じることになります。
この経験が、荒武者の道灌が歌に目覚めたきっかけだったと言われています。


「七重八重 花は咲けども山吹の 実のひとつだに なきぞかなしき」
             (後拾遺和歌集・兼明親王)

 娘が差し出した山吹には、上記の歌を踏まえ、実をつけない(実のひとつもない)山吹のように、貧しい我が家は蓑ひとつもなくお役にたてなく悲しいという気持ちが託されています。

**一重の山吹には実がつくが、八重山吹には実がならない。

 お客様に否定形で答えてはならないという”接客マニュアル”を採用してる企業では、「ございません(ありません)」の代わりに「こちらだけになっております」と言うそうですが、ここにも山吹を差し出す娘のような奥ゆかしさを感じます。
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「グレープフルーツ」
 別名アメリカンフルーツと言われるほどアメリカ人が大好物の果物「グレープフルーツ」。今では1年中出回っていますが、今が旬で4~6月が一番美味しい時期となります。
数個集まってブドウの房のように実ることからこの名がついたようです。

グレープフルーツの歴史は300年ほどで、18世紀に西インド諸島の
バルバドス島で誕生したといわれています。
その後1823年にアメリカのフロリダに伝わり、栽培が行われるようになりました。

大正初期になると日本にも伝来し、当初は高級フルーツとしてもてはやされていましたが、日本の気候は栽培に向かず定着しませんでした。
1971年にグレープフルーツの輸入が自由化され、一気に大衆化されて一般家庭の食卓にのぼるようになりました。


 黄白色をした果肉の「ホワイト種」が一般的ですが、近年存在感が高まっているのがピンク色の「ルビー種」、甘みが比較的強く、酸味とほろ苦さが売りのホワイト種とはまた一味違った風味があります。
おいしいグレープフルーツの見分け方は、形が丸く整っていて、ずっしりと重みがあるもの。
また果皮にへこみがなく色があざやかで、ハリとツヤのあるものが良いそうです。皮にシミが付いたものがありますが、シミは味に関係ないので気にしなくても大丈夫だそうです。

 このグレープフルーツ、半分食べるだけで1日に必要なビタミンCを摂取できるのがうれしい点で、疲労・ストレスからの回復や風邪・がん予防に効果があるとされています。
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「筍(タケノコ)」
 春の味覚といえば「筍」と書いて「タケノコ」。

よく「朝掘りタケノコ」と言われますが、アクによる苦み・渋み・えぐみが一番少ない状態で収穫できるからです。
朝掘りタケノコを産地直送でお届けするのが、一番美味しいのです。
穂先が新鮮な緑色をしていて、皮に色艶のあるものが、新鮮です。

新鮮なタケノコは、焼いて食べるのも良し、サッと茹であげて食べやすい大きさにスライスしてワサビ醤油で食べるのも良しです。

 3月中旬頃から九州産が出回り始め、今の時期は静岡産が主力となってるそうです。そして、4月中旬以降は千葉、茨城、栃木など産地が徐々に北上していきます。

 栄養成分としては、豊富なたんぱく質の他、ビタミンB1、B2、ミネラルを含み、食物繊維が豊富で便秘や大腸がんなどの予防やコレステロールの吸収の抑制にも効果的だと言われています。

 ちなみに、竹の成長はとても早く、タケノコとして美味しく食べられる時期は非常に短いため、漢字の「筍」は10日間を意味する「旬」に由来するそうです。
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「ニシン」
春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれる「ニシン」。今では「幻の魚」と言われるほどその数は激減しています。北海道を代表する民謡「ソーラン節」がニシン漁の労働歌であることからも分かりますが、かつてニシン漁業は北海道の一大産業でした。

 漁が最も盛んだったのは明治の終わり頃で、岸に押し寄せるニシンの雄の精液で、海が米のとぎ汁を流したように白くなったそうです。 
そして、「ニシン御殿」が林立していました。

 旬の魚として人気があるのは、3~5月頃に北海道沿岸に産卵のために近づいてきたもので、塩焼きにすると脂がのって最も美味しくなります。
身が軟らかく独特の油臭さがありますが、これがまた特有のうまみにもなっています。
日常的には干物(丸干し、身欠きニシン)で出回っています。
刺身にしても美味ですね。ワインビネガーなどでマリネ、また酢じめにするのもなかなかの味です。

 ちなみに、「子供が栄え、子孫が栄える」・「よいことが数々ある」の縁起でお正月の食膳に欠かせない「数の子」は、産卵の為に沿岸におしよせるニシンの雌の腹から取り出した卵巣を1本1本塩水で処理加工したものですが、意外とニシンから採れることを知らずに食べている人も多いようですね。
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