2009年07月の記事


「空蝉(うつせみ)」
 久しぶりの晴れ間がのぞいた午前、蝉がこの時とばかりに狂おしく鳴いています。

 何年も土の中で過ごし、脱皮して鳴けるようになった蝉は、そのわずかな期間を精一杯生きます。そのような蝉を、人間の生まれ変わりとする伝承が各地に数多く残っているそうです。

 蝉の抜け殻を「空蝉(うつせみ)」と呼びますが、もともとはこの世に生きる人という意の「現身・現し臣(うつしおみ)」が語源で、現世という意味も持ちます。

 空蝉という言葉は、樋口一葉の短編や源氏物語の表題にも使われ、万葉集などでの「うつせみ」は「人」や「世」にかかる枕言葉です。
蝉の儚さ、空蝉のすぐに壊れてしまいそうな脆さや危うさは、まさに「人」であり「世」であるような気がします。
 
 ちなみに源氏物語に登場する空蝉は作者である紫式部自身がモデルではないかと言われています。
たった一度だけ肌を合わせたものの、その後は拒絶を続けた空蝉は、源氏にとって生涯忘れることのできない女性として描かれています。

 また、一葉は「とにかくに越えてをみまし 空蝉の 世渡る橋や夢の浮橋」と詠み、儚い世の中なれどとにかく生きていこうとの思いを歌にしています。
コメント (0)

「ゲリラ豪雨」
 九州北部を中心に、各地で昨日までの3日間に降った雨の量は観測史上最大を記録したそうです。

 福岡県太宰府市の総雨量は600ミリを超え、1年間の総降水量の3分1以上、平年の7月一カ月間で降る雨の量の2倍の量が3日間で降ったことになります。
また、福岡県の飯塚市や博多などでは一時1時間の降水量が100ミリを越える猛烈な雨を記録しています。

 ちなみに1時間に80ミリ以上の雨は、息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる雨で、1時間に100ミリの降水量というのはで6畳間にドラム缶4.5本分の雨が降ったイメージです。

 雨雲の中心は東にズレ、関東周辺でもすでに激しい雷雨となっているところもありますが、気象庁は近畿や東海、関東甲信、東北での局地的な大雨への警戒を呼びかけています。

 尚、「ゲリラ豪雨」と呼ばれる予測困難な局地的大雨は、きわめて狭い範囲に短時間に猛烈な雨が降るという特徴があります。

 世界最大の民間気象情報会社の「ウェザーニューズ社」は、今夏のゲリラ豪雨について、7─9月前半に福岡県で約330回、大阪府で約80回、東京都で約120回起きると予測しています。
コメント (0)

「金魚」
気象庁が昨日発表した3カ月予報では全国的に8月は平年に比べ晴れの日が少なく、西日本では気温も平年を下回る日が多いと予想しています。
今年は盛夏を体感できる日が少ないのかもしれません。

 そんな中、大阪の夏を彩る天神祭も最高潮を迎えているようです。
大阪の天神祭は、京都の祇園祭、東京の神田祭とともに「日本三大祭」の一つに数えられる歴史あるお祭りで、明日の本宮でフィナーレを迎えます。

 この時期は各地で夏祭りが催され、露店がそこかしこに並ぶ風情は昔も今もあまり変わらず、金魚すくいをねだる子供の姿もほほえましく思えます。

 金魚はもともと突然変異のフナを飼育・交配させ、改良を重ねて定着させた観賞魚で、光があたるとキラキラ輝いて見えるので「金魚」と称します。
日本には15世紀頃に中国から伝来したそうで、江戸時代後半には広く庶民も愛玩するようになりました。

 ところでこの金魚、中国では「金余(お金が余る)」の発音に似ていることから縁起物としても知られています。
明治の頃、日本から移入されたアメリカでは、「ゴールドフィッシュ」という縁起のよい名前と相まって、ペットとして飼育している愛好家も増えているそうです。

 ちなみに、風水を非常に気にする香港ビジネス界では、風水の観点から水槽の位置やその中に入れる金魚(風水魚)の数まで決まっています。
風水では、水には「気」を引き込んで蓄積するという特性があり、「お金が余る」という縁起物の金魚を入れることで、「幸運や財を引き込む」という験担ぎとなっています。
そのため、水槽の中の金魚が死のうものなら、ビジネスそっちのけで対応に追われることも珍しくないそうです。
コメント (0)

「西瓜」
 「西瓜」と書いて「スイカ」。夏の青果の王様と言われますが、この果実は野菜か果物か?。
伝統的な日本語の概念では、野菜と果物の区別は草本か木本かによるため、野菜に分類されるそうです。一大産地は熊本や千葉です。

 ご存知の通り、果肉の90%以上が水分であり、ノドの渇きを癒やすには最適です。
むくみ解消が期待でき、カリウムを含み、利尿作用もあります。

 子どもの頃にはカブトムシのエサにしましたが、実はカブトムシのエサには向かないそうです。
水分が多いために、カブトムシが下痢をした状態になってしまうためです。

 スーパーなどの店先では、カット販売が増えていますが、丸ごとのスイカを買うときは軽くたたいて味を推測できます。
「カンカン」という高い音は若くて糖度が不足気味。「ボテボテ」という鈍い音は熟し過ぎ。中間の「ポンポン」と小気味よい音が甘さの証しです。

 ちなみに、種を表に出さない切り方として、スイカの縞(しま)と縞の間を切ると切断面に種があまり出ないそうです。
切り売りスイカだとついつい種が少ないものを選んでしまいますが、店のほうでも工夫して販売しているようですね。
コメント (0)

「ご夫婦の夏休み、お勧めの場所」
そろそろ夏休み。リゾート地もいいけれど、落ち着いた町並みをゆっくり歩いてみたいという夫婦や大人のカップルも多いかと思います。

 以前、「お勧めの場所」を観光や町並み保存の専門家に聞いたアンケート調査を目にしましたが、1位は岐阜県の「高山」となっていました。
高山市は飛騨高山として有名ですが、江戸末期から明治にかけて建てられた商家が軒を並べる上三之町(かみさんのまち)を中心とした町並みの評価が高いです。

 ちなみに、城下町の中心、商人町として発達した一之町、二之町、三之町の三筋の町並みを合わせて三町と呼び、中でも上三之町は、国の「重要伝統建築物保存区域」に指定されており、江戸時代の古い街並みが今に残っています。
2位は「鎌倉」、3位は京都・「祇園」、4位は「竹富島」となっていましたが、竹富島は周囲約9.2キロ、人口約300人の小島で、赤い瓦、石垣の民家が点在して砂浜がとても美しい島だそうです。


 <1位から10位までは下記のようになっていました。>

  1.高山   (岐阜県高山市)     7.白川郷  (岐阜県白川村)
  2.鎌倉   (神奈川県鎌倉市)    8.函館・元町(北海道函館市)
  3.京都・祇園(京都市)        9.妻籠・馬籠(長野県)
  4.竹富島  (沖縄県竹富町)    10.尾道   (広島県尾道市)
  5.金沢   (金沢市)       10.萩    (山口県萩市)
  6.角館   (秋田県角館町)
コメント (0)

「熱中症」
  相変わらず、暑い日が続いており、方々で熱中症に対する注意が促されています。
暑い日は無理な運動を避け、屋外で直射日光があたる場所では帽子を着用し、水分と塩分を十分に摂取することで熱中症をある程度防ぐことができます。

 暑くも寒くもない状態で、蒸発や排泄などによって1日に失われる水分量はおよそ2.5リットルにもなるそうです。
さらに、暑い日や汗をかいた日はプラス1リットル程度の水分を失うとされています。

 失った水分を補うためには、1日3食の食事中にはおよそ1リットルの水分が含まれおり、最低でも1.5リットルは水分として摂取する必要があります。
従って暑い日や汗をかいた日にはプラス1リットル、合計2.5リットル程度の摂取が望ましいとされています。
又、一度に大量に飲んでも尿として排出されやすいため、程々の量をこまめに飲むのが理想的です。

 ただし、アルコールは利尿作用が高く、飲んだ以上の量が尿となって排出されてしまうため水分摂取の用をなさず、コーヒーや緑茶なども利尿作用があるため水よりは効果は低くなるそうです。
又、ジュース類を飲む際は、糖分の取りすぎに注意が必要でしょうね。
コメント (0)

「ゴーヤ」
<

 昨日迄、暑い日が続いていましたが、世界最高気温は、1921年7月8日にイラク南部の都市バスラで記録したセ氏58.8度。
60度近い暑さともなると想像がつきませんが、ペルシャ湾の一番奥にあるこの一帯は、世界で最も暑い地域の一つです。その暑さの経験者によりますと、「暑い」よりも「痛い」と感じるそうです。
そのため、長袖のゆったりした衣服を着て、極力肌が直射日光に当たるのを避けるということです。

 ところで、連日の暑さで食欲が減退して夏バテ気味の方もいらっしゃると思います。
そんな方は、沖縄の代表的な野菜で今が旬の「ゴーヤ」(ニガウリ)を一度試してみるのがいいかもしれません。

 ゴーヤに含まれるビタミンCはキャベツの2倍。加熱によってもほとんど壊れず、そのビタミンCやカロチンは疲労回復に大変効果的です。
また、高血圧予防に役立つカリウムも多く含まれています。卵や豆腐と炒めた料理ゴーヤチャンプルがポピュラーですが、夏バテ対策に試してみる価値がありそうです。
コメント (0)

「やぶ入り」
本日7月16日は「地獄の釜の蓋(ふた)も開く」といわれた日、「やぶ入り」です。
今は、「やぶ入り」という習慣がそのまま残っているところはないようですが、お正月(1月)とお盆(7月)の16日ごろを指し、いわば昔の夏休みと冬休みでしょうか。

 新嫁さんや奉公人は日頃の苦労の慰安のため、一泊の休みを貰えるので、この日が来るのを待ち焦がれていました。
親元では里帰りした子をあたたかく迎え、子は「親腹七日(おやばらなのか)の諺の通り食べて寝て、縦の物を横にもせず一泊します。
また、帰りには沢山の土産物を持たせて帰らせたそうです。
わが娘が婚家に帰って恥をかかないようにとの配慮からです。

 奉公人は、丁稚(でっち)、手代(てだい)、番頭とたたき上げて何十年も働き、運が良ければのれん分けしてもらい、店が持てました。
早ければ10歳に満たない幼子が奉公に出て、貧しさ故、つらい労働に耐えていました。
それは戦後まで引き継がれ、戦後の高度成長で昭和30年代から40年代にかけて、「金の卵」ともてはやされた中卒者の集団就職が盛んだったことは記憶に新しいところです。

 現代の若者たちが恵まれ、甘やかされていると批判するつもりは毛頭ありませんが、今では死語になりつつあるこの「やぶ入り」。
奉公、勤労の歴史があったことを風化させないよう、何らかの機会に今の子供や若者に伝えたいものです。
コメント (0)

「御中元」
関東甲信地方が梅雨明けしました。本州では関東甲信がトップで、昨年よりも5日、平年よりも6日早い梅雨明けで、いよいよ夏本番を迎えます。

 ところで、先祖の精霊を供養する「お盆」はもともとは7月15日前後の「盂蘭盆」のことでありましたが、夏休みと重なることもあって、今は月遅れの8月に行うところが少なくありません。

 盂蘭盆は、お釈迦様が、餓鬼道に落ちて苦しむ亡母を救ってあげられないと嘆く弟子に、7月15日に先祖を供養すれば母は苦しみから逃れられると弟子に教えたのが始まりですがこの日は古代中国の「三元論」を起源とする「中元」でもあります。

 古代中国の道教の影響で、旧暦では1月15日、7月15日、10月15日をそれぞれ「上元」「中元」「下元」とし、年の折り目の日と考えられていました。

 中元は本来、この半年間の無事を祝い、先祖を供養する日でありました。それが盂蘭盆と結びつき独特の行事となった経緯があります。
現代では、目上の人や恩人に贈り物をして感謝の心を表す風習として形を残しており、中元以外では1月15日の「小正月」に上元の残影があります。

 ちなみに、「御中元」は7月15日までに先方に届くように贈りますが、時期が過ぎてしまった場合、のし紙の表書きは、立秋(8月7日)までなら「暑中御見舞」、立秋を過ぎてしまった場合は「残暑御見舞」、目上の方には「残暑御伺」となります。
コメント (0)

「枝豆」
冷たいビールが美味しい頃となりましたが、おつまみの定番「枝豆」も今が最も美味しい季節です。

 今では1年中冷凍品が食べられますが、7~8月が本格的な旬でしょうね。
日本では栄養豊富な食品として平安時代から食べる習慣があったそうですが、最近では米国でも健康食品として注目が集まっています。

 たんぱく質やビタミンB1、B2、カルシウム、食物繊維を含んでいますが、ビタミンB1にはアルコールの分解を促す働きがあるそうで、ビールのつまみにはもってこいです。

 ちなみに、枝豆を美味しくゆでるコツは、4%の濃度(水1リットルに塩40グラム、枝豆250グラム)で3~5分ゆでることだそうです。
枝豆の場合、4%が最もバランスがとれた濃度であり、硬くならずに軟らかいまま、さらに水分を失わないので「プリプリ」、「ふっくら」。とても美味しく出来上がるそうです。
コメント (0)

「七夕(たなばた)の節句」
 本日7月7日は七夕(たなばた)の節句です。
桃の節句や端午の節句と並ぶ五節句の一つです。
月遅れの8月7日に七夕祭りを行うところが多いようですが、もともとは中国からきた行事で、年に一度牽牛と織女が天空で逢瀬を楽しむというロマンチックな伝説は皆様、ご存知のことと思います。

 この日は短冊に様々な願いを書いて笹の葉に結びつけるという風習がありますが、織女はその名の通り天帝のために衣を織る星であり、中国ではこの日に裁縫の上達を願うところから広まってきたようです。

 ちなみに、春夏秋冬と季節が美しく移り行く日本では、気候の変り目の祝祭日のことを節日(せちび・せつび)といい、お供え物をしたり行事をおこなって祝ってきたという歴史があります。

 この節日の供物、「節供(せちく)」という言葉が、節日そのものを指すようになって「節句」ということばになったともいわれます。
よく五節句というように現在にも下記のような五つの節句が伝えられています。

 1月7日・・・七草粥で新年を祝う「人日(じんじつ)の節句」
 3月3日・・・ひなまつりとして有名な「上巳(じょうみ・じょうし)の節句」
 5月5日・・・男の子の成長を祝う、こどもの日「端午(たんご)の節句」
 7月7日・・・おり姫、ひこ星の物語で有名な「七夕(たなばた)の節句」
 9月9日・・・菊花の香りの酒で月をめでる「重陽(ちょうよう)の節句」
コメント (0)

「生姜は百邪を防御する」


徐々に暑さが増してくる時期ですが、室内の冷房により冷え性に悩む方が少なくありません。
ストレスや睡眠不足などによって自律神経のバランスが崩れてしまうことも冷え性の一因です。

 身体の内側から温める生姜(しょうが)は冷え性対策に適した食材で、他にも解熱、鎮静、発汗、殺菌、中毒予防、鎮咳、鎮吐、消化促進、抗潰瘍、強心作用、血栓予防・・・、
生姜の辛味成分と芳香成分には、全身の細胞の新陳代謝を促し、神経中枢に作用し臓器の機能を高めるなど様々な効能・効果があり、科学的にも認められています。

 中国では古来から「生姜は百邪を防御する」とされ、現在でも医療用漢方薬のおよそ7割に生姜が用いられており、これなしでは漢方は成り立たない「万病の妙薬」とも言われるそうです。

 日本では漢方薬の自給率は低く、約8割を中国からの輸入に頼っているそうです。
先の四川大地震では生薬が大打撃を受け、中国産離れの影響もあって国内産の新生姜の卸値は前年比3割前後上昇しているそうです。

 スーパーにはすでに新生姜が並んでいます。
白い部分は白く、赤い部分は赤く、色がはっきりしているものが新鮮なのですが、不自然に鮮やかなものは漂白剤の影響のようです。
尚、チューブ入りの生姜にも辛味と香味が備わっており風味はありますが、加熱処理しているため酵素が働かず、肉などを柔らかくする作用や旨みを増す作用はあまり期待できません。
豚肉のしょうが焼きなどには生の生姜を使ったほうが美味しいでしょうね。
コメント (0)

「文月」
7月の和名「文月」は、織り姫に書文(ふみ)を供える風習に由来するというのが定説になっていますが、稲穂がふくらむ「ふくらむ月」から転嫁したという説もあります。

 また、英語の「July(ジュライ・7月)」は、およそ2000年前の共和制ローマの独裁官ユリウス・カエサル(英語読みはジュリアス・シーザー)が7月の名称を自身の家門名に変更したことに由来します。
 
 ところで、昔は名のある山は信仰の対象で普段は登山が禁じられていましたが、夏の一定期間だけ一般に解禁されたことが「山開き」の始まりで、雪のため禁止となっていた入山がこの日から解禁されます。
 
 例年だと明日7月1日は富士山の山開きですが、残雪が多いため、先日は静岡県が富士宮口、御殿場口、須走口の三登山道の7月1日開通を3年連続で見送り、昨日は山梨県も吉田口の
閉鎖解除を見送り、山開きに登頂できないのは12年ぶりだと言うことです。
コメント (0)