「不老長寿」
 明日の日曜日は桃の節句・雛祭りですね。
上巳(旧暦三月最初の巳の日)の頃に咲く桃は、安産や強い生命力の象徴とされ、中国ではその実を不老長寿の仙薬とする伝説もあり、さらに魔を祓う力もあるとされていました。
そんな桃の花が雛壇に添えられるのは、女の子の健やかな成長を願ってのことでしょうね。

 ところで、厚生労働省は一昨日、2010年の都道府県別の平均寿命を発表してました。
それによると平均寿命が最も長かったのは男女とも長野で、最短は青森。長野が男性の平均寿命でトップとなるのは5回連続。女性のトップは今回が初めてで、前回まで7年連続で女性のトップだった沖縄県が3位に後退しています。

 2010年の国勢調査を基にした全国の平均寿命は男性が79.59歳、女性が86.35歳ですが、対して長野県の男性の平均寿命は80.88歳、女性は87.18歳となっています。長野県と青森県の差は男性が3.60歳、女性が1.84歳です。

 尚、長野県は「歩け歩け運動」として適度な運動を日常生活に取り入れるよう推進しており、また「減塩運動」として「味噌汁は1日1杯に」「そばやラーメンの汁は半分残す」「漬物は1日につき小皿1杯」など具体的に県民に働きかけています。
また、長野県は1日あたりの野菜の摂取量も日本一で、その
ことが予防医療の点で効果があるとされています。

 長生きと言えば、江戸時代の儒学者・生物学者の貝原益軒が八十歳を過ぎて発表した「養生訓」には長生きの秘訣として身体の養生だけでなく、心の養生についても記しています。

 例えば、長生きし、人生を楽しむためには飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、いたずらに喋りたがる欲といった内欲を抑え、怒り・憂い・悲しみなどを少なくするのが良いとしています。

 「古人、禍は口よりいで、病は口より入といえり。

       口の出し入れに常に慎むべし」(養生訓・第三巻 飲食上)

 まさにそのとおりです。「人生を楽しむこと」の実践者であった貝原益軒には次のような逸話も伝わっています。
 
 園芸好きの益軒は自分の庭に季節の花を植え大切に育てていました。
ある日、お城での用向きで益軒が家を留守にしていた時、留守を預かっていた若者が不注意で益軒が大事にしていた牡丹の花を折ってしまいました。
恐縮している若者に対し益軒は「私が牡丹を植えたのは、楽しむためで、人を怒るためではない」と言って安堵させたそうです。

 ちなみに気づいた方もおられるかと思いますが、この話は昨日の安倍総理の施政方針演説でも引き合いに出されています。