「金環日食」
5月21日の日食は、日本史上最大の人数が観察できる金環日食だそうです。

 1987年の金環日食は沖縄本島で、2009年の皆既日食はトカラ列島や屋久島など一部の離島でしか観測できませんでしたが、今回は(天候にもよりますが)九州南部、四国、紀伊半島から本州の関東付近にかけて金環が観測できるそうです(他の地域では部分日食)。
ちなみに次回の金環日食は2030年で、観測できるのは北海道のみとなります。

 ところで、太陽は、古代より世界各地で信仰の対象として崇(あが)められてきました。日本においても天照大神(あまてらすおおかみ)が太陽神であり、天照が天岩戸(あまのいわと)に隠れ、世界が暗闇になってしまったというエピソードは日食がモチーフになっているという説もあります。

 また、日本では太陽神の天照大神は女神です。卑弥呼も女性であり、古代においては基本的に母系社会だったと見る向きがあります。
母系社会の対として父系社会、あるいは男系社会がありますが、歴史の大部分で男性が主導権を握る男系社会であったことは間違いのない事実です。

 明治末、欧米で台頭していたフェミニズム(女性の社会的、政治的、経済的権利を男性と同等にし、女性の能力や役割の発展を目ざす主張および運動)の影響を受けて発刊された雑誌が「青鞜(せいとう)」で、主催した平塚らいてう(ひらつか らいちょう)が巻頭に書き記した創刊の辞にあるのが下記の一
節です。


 元始、女性は実に太陽であつた。真正の人であつた。

 今、女性は月である。

 他に依つて生き、他の光によつて輝く病人のやうな蒼白い顔の月である。

 私共は隠されて仕舞つた我が太陽を今や取戻さねばならぬ。

「隠れたる我が太陽を、潜める天才を発現せよ」

 ・・・此叫声、此渇望、此最終本能こそ熱烈なる精神集注とはなるのだ。

 そしてその極(きはま)るところ、そこに天才の高き王座は輝く。