「甲子園、石巻工業高等学校散る!」
 春の選抜高校野球の組み合わせ抽選会で、出場32校の中から1校だけに与えられる選手宣誓を引き当てたのは、被災地宮城の石巻工業でした。

 当たりくじを引き当てた阿部翔人(あべしょうと)主将は、マイクを向けられ「何か縁があるなと思った。被災地の代表として自分が言わないといけない使命があるのかなと感じた」と感想を述べています。

 そして昨日の選手宣誓。壇上に上がった阿部主将は、正面を見据え、堂々と、ゆっくりと、はっきりと、よどみのない声で、今の思いを伝えました。
昨年の大震災直後に行われた選手宣誓も感動を呼びましたが、今回も記憶に残る素晴らしい宣誓でした。

 東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋選手が昨年4月に行ったスピーチの名フレーズを引用した、その全文をご紹介したいと思います。


 宣誓。

 東日本大震災から一年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中 には、苦しくて心の整理がつかず、今も、当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、悲しみに暮れている方がたくさんいます。

 人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。

 しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。

 だからこそ、日本中に届けましょう。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、絆を。

 我々、高校球児ができること、それは、全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

 平成24年3月21日

 選手代表、宮城県石巻工業高等学校野球部主将、阿部翔人



 尚、石巻工業は21世紀枠で、春夏通じて初出場。昨年3月の大震災の津波
でグラウンドが浸水、校舎も1階が水没。部員の7割の自宅が被災。部員がグ
ランドの汚泥を除去して練習を再開するなど、困難な状況を乗り越えての出場
でしたが、残念ながら本日の1回戦での敗退となっています。