彼岸花(曼珠沙華)
 燃えるような花色の彼岸花は、秋の彼岸の頃に咲く花ゆえにこの名がついたと言われます。
国や地域によって花に対する感じ方も様々で、彼岸花にもいくつかの異名があります。

 根に毒を持つ花なのですが、*飢饉の時は澱粉が豊富な根を食用にすることもあったそうです。
毒抜きが十分でないとあたることもしばしばで、彼岸(死)の花という説もあり、その毒性と相まって、葉のない状態で地上に突出し神秘的な花を咲かせる様から「地獄花」「死人花(しびとばな)」などと呼ばれることがあります。


*ヒガンバナは生命力が強く、痩せた土地にも育って、大きな 球根をつくります。
 球根には毒が含まれていますが、よく水洗いすれば消えてし まいます。
 ヒガンバナは毒」と信じて、人々は誰も近づこうとしません でした。
 ところが、草花について博識なある殿様が、しきりにヒガン バナの球根を集めていました。
 冷害と日照りが続いたある年、米が凶作のため、全国で多く の人が飢え死にしました。 
 しかし殿様が治めていた地方では、殿様が蓄えていたヒガン バナの球根のお陰で、飢え死にを免れました。


 日本に存在する彼岸花の遺伝子は全て同一で、中国から伝わった1株の球根から日本全国に広まったものといわれています。
彼岸花は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の名でも親しまれていますが、これはサンスクリット語の音写で「天上界に咲く小さな赤い花」という意味で、吉事の兆しに赤い花(曼珠沙華)が天から降りてくると仏教の経典にはあるそうです。

 葉のあるときには花はなく、花のときには葉がない曼珠沙華を、おとなり韓国では「花は葉を思い、葉は花を思う」という意で「相思華」と呼ばれるそうです。

 ちなみに、曼珠沙華はその花の美しさから、海の女神を意味する「リコリス」という学名を持ちます。