「さつま芋」
 焼き芋売りの元気のいい声を聞く機会は少なくなりましたが、代わりにスーパーの陳列棚に真空パックとなった焼き芋を見るようになりました。

 サツマイモの種類は多く、よく見かけるのが、皮が赤、実は黄、ほくほくした食感の「紅あずま」や「紅小町」といった品種です。
埼玉県の川越で発見された「紅赤」は“金時”とも呼ばれ美味しいサツマイモの代名詞となっています。

 その金時も市場に出回る量は少ないのですが、栗に勝るようなまろやかな甘さが売りの「クリマサリ」という品種も生産量がわずかであるため、ほとんどが菓子業者へ
出荷され、わずかに産地の直売所で売られるくらいでお店でお目にかかることはまずありません。

 ところで、関東のサツマイモ栽培は、飢饉の際の”救荒作物”として、江戸時代の
初期の蘭学者、青木昆陽(甘藷先生)によって広められたといわれます。

 当初、焼き芋は栗に近い美味なる甘さという意味で「八里半」と呼ばれたそうですが、そのうち「栗より(九里四里)うまい十三里(九里と四里で)」という看板を立てる焼き芋屋が現れ、人気を博したそうです。
当時、産地の川越が江戸から十三里の距離にあったことに由来するという説もあります。

 サツマイモの栄養価の高さは以前ご紹介いたしましたが、アメリカの国立がん研究所がお墨付きを与える抗がん効果(主に肺がん)もあります。

 新芋は7月頃から出回りますが、やはり美味しいのは今の時期からです。
貯蔵して少し水分が抜けたくらいのものは、甘みが増して本当に美味ですね。