「秋蕎麦(新蕎麦)」
鴨南蛮

 昨日は「立冬」、冬の始まりでした。
季節感覚はまだ晩秋ではありますが、一昨日昨日までの「秋晴れ」は、「冬晴れ」あるいは「小春日和」となります。

 気温が下がってくるにつれ暖かい鍋や汁物が恋しくなりますが、ちょうど今は夏蒔きの秋蕎麦(新蕎麦)の時期で、温かい蕎麦が温もりを与えてくれます。

 今は便利な世の中になり、外食産業のチェーン展開により、どこに行ってもいつでも均一な料金で均一な味を求めることができます。しかしながら、料理には本来、地域性や食文化を反映した百種百様の味やスタイルがあります。
蕎麦も然りで、地域や店ごとに風味や食感または製法が違うもので、その違いも美味
しさの一つとなります。

 料理を提供する店の中にはただ作って出すだけの店もありますが、身も心も温めて
くれる料理を提供してくれる店も少なくありません。
ただ美味しいというわけではなく、決して客に媚びているわけでもなく、味に嫌味でない程度の「伝統」や「仕事に対する誇り」「客への思いやり」を感じつつ、口の中に風味が広がる瞬間は思わず笑みがこぼれてしまいます。

 先日、よく行く蕎麦屋で”あつあつ”の鴨南蛮を堪能した後、蕎麦団子を注文しました。
その店では初めてのメニューで、個人的にも初めて口にしましたが、つぶ餡のほのかな甘さと素朴な味わいに身も心も温まる心地でした。