「雨がえる」
関東地方ではしばらく秋晴れの日が続いていたのですが今日もあいにくの雨模様。
行楽の秋はお預けでしょうか?

 ところで雨と言えば、このような昔話をご記憶でしょうか?

 昔、あるところに、かえるの母と子がいました。
子供は親の言うことをまったく聞かず、母親が「川へ行け」といえば山へ行き、「山へ行け」といえば川へ行くというぐあいです。
ある時、重い病気にかかった母がえるが、死の間際に考えました。
「死んだら山にうめてほしいけれど、そのまま伝えるとあの子は川原へうめるだろう。
川原へうめてくれと頼めば、きっと山にうめるにちがいない」と。

 そこで母がえるは子がえるを呼び、「わたしが死んだら、川原へうめてくれ」と言い残して死にました。
子がえるは、親が亡くなって、はじめて今まで逆らってばかりいたことを悔やみました。
「母さんのことばの聞きじまいだから、こんどばかりは言われたとおりにしよう」と思い、母がえるのなきがらを川原にうめました。

 ところが、雨がふりだすと、水かさが増した川の流れに、母がえるのお墓が流され
そうになりました。子がえるは心配のあまり、「母さん、流されるな、げろ、げろ、げろ」と鳴き続けました。
それからというもの、かえるは、雨が降りそうになると、母がえるのお墓が流されるのを心配して「げろ、げろ、げろ」と鳴くようになったそうです。

 これは、親は子供のいうことにその都度グラついてはいけないという物語となっています。

 相手を気遣うあまり、望まない結果を招くということはよくある話です。
また、同調して態度をぐらつかせることは、結局、相手を不安にもします。
短い話ではありますが、結構考えさせられるお話です。