藤原正彦著「新渡戸稲造『武士道』は魂の書」
 藤原正彦著「新渡戸稲造『武士道』は魂の書」。『文藝春秋』2004年5月号に掲載されていた特集を、あらためて読んでいる。

 著者は勤務先の大学で、新入生を相手に開くゼミで読む本として、本誌でその模様を紹介していたものを読んだ。前後関係からすると、この特集のあとに藤原ゼミの公開が続いたとおもう。

 原著を読んだ記憶はない。「記憶はない」など恥ずかしくて書いてはおられないのかも知れないが。藤原氏は申される。「桜の花のごとく世界に誇るべき日本の民俗精神」、と。

 「二十一世紀は、武士道が発生した平安時代末期の混乱と似ていないでもない」とする(273p)。「武士道なくして日本復活なし」ともするなかで、救済のモデルとその哲学はなにか?。
 
 人物に吉田松陰をあげ、「行き着く先はわかっていても、正しいと信ずることをせずにはおれない」(272p)の生き方。
 世はアメリカ化の趨勢。「日本復活」というより、日本の主体性が求められているのに、その芽が出ないかの感。
 
 ≪新渡戸の発言に注目を≫ということなのかも、知れない。

編集 ペン : 日本人は色々なものを上手く取り込んで日本独自のものにするのが得意です。土壌に合わせることの巧みさは世界に類を見ないと思います。