継承
 『現代用語の基礎知識』が発刊され六〇年。編集者の書いたエッセイを読んだ。後発の『知恵蔵』や『イミダス』が、現れて消えたのに、『現代用語』が残った意味はなにか。
 類書との競合に、インターネットも情報源にくわわった。そこで『現代用語』は時代を読む総合雑誌、今がどんな時代かに「ネットは答えてくれない」と、編集者は書く。新しい用語を解説するだけでなく、その選択と配列の群れで、「今、どんな世界に生きているかを示す」とする。
 活字文化はITなど新勢力におわれる。継承と存続にカギありとすれば、「群」の有意に道がありそうだ。
(「番茶の味」 16159 『釧路新聞』 平成20年7月17日掲載)