思案
 境界を渡る橋の名に、二つのタイプ。立ち止まり、後先を考え渡る思案橋。まず渡り、終わって一目散に「きよめ橋」。土地柄がうかがえ、たたずむ人の生きザマが浮かぶ。
人はよく、「考えて、そのうえで歩きだす」、「歩きながら考える」、「歩いたあとで考える」。
原稿を頼まれたときには、「よく調べ、そのうえで書きはじめる」。途中から「調べつつ、書きいそぐ」。催促がくると、「本をよむ、ヒマもなく書きあげる」。
学習成果がかさなって、手順よく処理することもまれにはあるが、同じ失策にとらわれること、まま多い。
(「番茶の味」 16158 『釧路新聞』 平成20年7月16日掲載)