ムンクの「叫び」
昨日、5/3の報道によれば、ニューヨークで行われ競売でノルウェーの画家エドバルト・ムンク(1863-1944)の代表作「叫び」が、1億1992万2500ドル(約96億1千万円)の高値で落札されたそうです。
また、この落札価格は絵画競売の史上最高とのことです。

ムンクの「叫び」には、同題名、同構図の作品が4点あり、①1893年(油彩)②1895年(パステル)③1895年(リトグラフ)④1910年(テンペラ)が残っています。
競売で落札された作品は、②の1895年にパステルで描かれたノルウェー人実業家所有の作品とされています。

「叫び」の同題名・同構図の4作品


この「叫び」は、極度にデフォメルされた人物、血のように赤く染まったフィヨルドの夕景と不気味な形、赤い空に対比した暗い背景、遠近法を強調した構図等、ムンクが感じた幻想に基づいて描いたとされています。

「私が歩道を歩いていると太陽が沈み、空が血の色に変わり、私は酷い疲れを感じて柵に寄り掛かる。炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと街並みを覆うようであり、立ち尽くしたまま不安に震え戦っていた。そして、私は自然を貫く果てしない叫びを聴くのだった。」

「叫び」は、この絵の人物が発しているのではなく、「自然を貫く果てしない叫び」のことであり、この人物がこの叫びに怖れおののいて耳を塞いでいるのだ、としています。この絵を発表したとき評論家たちに酷評されましたが、その後、高く評価されるようになりました。