「畑ワサビ」
 葉や花を食用にする畑ワサビ(葉ワサビ、花ワサビ)が収穫の時期を向かえているようです。

 ワサビは徳川家康も愛好したそうで、大御所として駿府にいた頃、門外不出の御法度品にもなっています。
また、日本的なものをイメージさせるワサビは、仏映画の題名になるほど海外でも知られた香辛料です。

 日本食によく合うワサビと並ぶ香辛料にカラシ(芥子)がありますが、ワサビとカラシは同じアブラナ科の植物で、辛味成分も「アリルイソチオシアネート」という同じ物質だそうですが、ご存知でしょうか? 
ワサビとカラシの風味の違いは主に、グリーンノートという香り成分にあるそうで、これがワサビには含まれ、カラシにはありません。

 ワサビは特別の肥料や手間を必要としないのですが、競争力が弱く、天然のものはあまり大きくなりません。
他の植物を寄せ付けないようにするため、その効果があるアリルイソチオシアネートを土中に出すワサビは、その効果のため自身の成長も阻害されます。

 そのため生食用の沢ワサビは、常に新鮮な水が流れ、アリルイソチオシアネートが土中に留まらない水はけの良い段々畑のようなところで大きく育てられてます。
一方、畑などで栽培される葉ワサビの根は小ぶりで、葉や花が食用にされ、わさび漬けに加工されます。

 ちなみに、チューブ入りワサビの原料には、主に大根臭の少ないワサビダイコン(西洋わさび、ホースラディッシュ、レフォール)を緑色に着色したものが使われており、メーカーによってはワサビ(主に地下茎以外の部分)が50%以上含まれるものを「本わさび使用」、50%未満の場合を「本わさび入り」としているようです。