「雪月花」
四季おりおりの風雅な自然の景観を指す「雪月花」という言葉は、古代中国の詩人、白居易の以下の句に由来するそうです。

 「雪月花時最憶君」   雪月花のとき、最も君を憶う

 (四季折々の美しい風景に接するたびに、遠くにいる君の
  ことが思い出される)

 日本三景や日本三名園もそれぞれ雪月花に対応しています。
天橋立(京都府宮津市)は雪、松島(宮城県)は月、宮島(広島県廿日市市)は花(紅葉を花に見立てる)。雪の兼六園(石川県金沢市)、月の後楽園(岡山県岡山市)、そして花の偕楽園(茨城県水戸市)。

 市街地への隣接公園としてはニューヨーク市のセントラルパークに次いで広大な偕楽園で恒例の梅まつりが始まってますが、園内には約百種三千本の紅白の梅があり、見頃は今月下旬から来月上旬だそうです。

 もともと中国の原産ではありますが、古くから日本人に愛されてきた梅。
文を好む花という意で「好文木(こうぶんぼく)」との別名を持ち、奈良時代に編纂された最古の歌集「万葉集」では、桜の歌よりも梅の歌が圧倒的に多く詠まれています。

 百花にさきがけて咲く梅は「花兄(かけい)」「初名草(はつなそう)」とも呼ばれ、春の風を見て待つ草「風見草」「風待草」などの異称を持つそうです。
また、その香(かぐわ)しさから「匂草(においぐさ)」「香栄草(かばえそう)」との名も持ち、その香気をもって春が訪れることを告げます。

 ところで、昔から伝わる言葉に「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というのがあります。
どちらも同じバラ科の植物なのですが、「病気に弱い桜は切った箇所から枯れることがあり、むやみに切ってはいけない。
丈夫な梅の場合は剪定して小枝を多く出させた方が花や実の付きが良い」というのが本来の意味です。