「十二支」干支(えと)
十二支は、古代の中国で天空を十二の方角に分け、それぞれに動物の名前をあてたことが起源とされていますが、それに纏わる民話があります。

 ある年の暮、神様が動物たちに言いました。「元旦に新年のあいさつに来なさい。早いものから順に十二番まで一年間ずつその年の大将にしてあげよう。」

 足の遅い”牛”は大晦日のまだ暗いうちから出発しました。
それを見ていたネズミは牛の背中に飛び乗ります。
そうとはしらない牛はゆっくりながらも御殿を目指し歩きました。
牛は神様の御殿の前に最も早く到着しましたが、門が開くと同時に牛の背中に乗っていたネズミがぴょんと飛び降りて門をくぐり、一番乗りで神様に挨拶をしました。
だから、ネズミ(子)が十二支の最初になったそうです。(^^)

 ちなみに、鶏が犬と猿の間にいるのは、仲の悪い両者の仲裁をしていたから。
また、猫が入らなかったのは、ネズミが猫に「挨拶は二日の朝」と嘘を伝えたから。
一日遅れで着いた猫は、神様に「寝ぼけていないで、顔を洗ってきなさい」と言われ、それ以来、猫はしきりに顔を洗うようになり、騙したネズミを追いかけるようになったと言います。

 ところで、現在は十二支を指して干支(えと)と言っている場合が多いのですが、単に「干支(かんし)」とも呼びます。
「壬申の乱」や「戊辰戦争」なども干支にちなんだ呼び名のようです。

 十干は甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)・・などからなり、十干と十二支で60通りの組み合わせが循環するようになっています。来年の干支は「庚寅(かのえとら、)」ですが、前回の「庚寅」は60年前(1950年、昭和25年)ということになります。

 江戸の頃までは「人生五十年」などと言われるほど、平均寿命は今と比べて大変短いものでした。
そこで六十干支を一回りすることを「還暦」といってお祝いします。
この儀式には、もう一度生まれた時の干支を迎えて「生まれ変わって出直すつもりで、心機一転始める」との意味があります。

 現代では60歳と言ってもまだまだ若く、退職後の人生を「セカンドライフ」として謳歌する
雰囲気があり、還暦のお祝いに赤いチャンチャンコを贈ったりしたら叱られそうですが、
還暦に赤いものを身につける風習は、赤は赤ん坊の赤であり、「今一度生まれ変わる」という意味が込められているそうです。